記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/8/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
慢性的な疲労感や、うつ状態の原因となるものの1つに副腎疲労があり、副腎疲労は5月病の原因になることもあるといわれています。今回は副腎疲労がどのような症状を伴う状態なのか、その原因や発症の兆候、副腎疲労をの検査方法・治療方法などについて解説していきます。
副腎疲労は、一対の腎臓の上に1つずつある小さなピラミッド型の臓器である副腎が疲労し、機能低下を起こした結果、適切に働かなくなる状態のことです。
通常、副腎は高ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」を分泌して、ストレスによる心身への悪影響を軽減してくれています。しかし副腎疲労の状態になると、コルチゾールの分泌状況が悪くなり、以下のような症状を引き起こします。
副腎疲労は、過剰なストレス、睡眠不足、栄養不足の3つのうちいずれか、または複数の原因が影響して発症するものと考えられます。以下に過剰なストレス、睡眠不足、栄養不足から副腎疲労が起こるメカニズムを解説します。
通常であれば、ストレスを感知した脳の視床下部という部分からの刺激により、副腎はストレスの緩和に十分な量のコルチゾールを分泌します。しかし、多量にコルチゾールを分泌しなければならないような強いストレス状態が続くと、副腎が疲労し、適量のコルチゾールを分泌できなくなることがあります。
副腎は起床直後の朝8時頃に最も働き、多くのコルチゾールを分泌しています。しかし残業や夜更かし、生活サイクルの乱れなどで睡眠不足に陥ると、夜間に副腎が十分に休息できず、疲労状態に陥るケースがあります。
コルチゾールをはじめ、副腎で作られるホルモンの原料は主にコレステロール、ビタミンC、ビタミンB、マグネシウムなどです。
このため、これらの栄養素が不足すると材料不足で副腎ホルモンを作れなくなり、副腎疲労の症状が現れやすくなります。
以下のような症状が複数現れている場合は、副腎疲労の兆候かもしれません。あてはまるものがないか、自身の状態をチェックしてみましょう。
上記のうち、あてはまる項目が多い場合は病院を受診し、症状に応じた治療を受けることをおすすめします。
副腎疲労かどうかは、唾液中のホルモン変動を1日4回程度計測することで判断できます。このように、唾液のホルモン変動から副腎疲労かどうかを調べる検査方法を「唾液中コルチゾール検査」と呼ばれています。
検査の結果、副腎疲労であると判明した場合には、状態にあわせて以下の方法を組み合わせて治療を進めていくのが一般的です。
副腎疲労の治療に、特効薬はありません。生活と食事習慣の改善を中心に、医師の指示のもと、体が楽になるよう少しずつ治療していくことになります。
ストレスを緩和するためのコルチゾールをはじめ、副腎ホルモンを適量分泌し続けるのが、一対の腎臓に1つずつ付いている副腎の役割です。しかし強いストレスや睡眠不足、栄養不足で副腎疲労の状態になると、副腎ホルモンが十分に分泌できなくなり、うつのような症状や強い倦怠感、疲労感が現れるようになります。自身に副腎疲労の兆候を感じたら、できるだけ早く病院で適切な検査・治療を受けてください。