記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。この記事では、女性ホルモンのうちプロゲステロンの働きや役割について、分泌量が過剰に増える・減ることのリスクとあわせて確認します。
プロゲステロンは、エストロゲンと同様に卵巣で分泌される女性ホルモンです。1カ月のうち、エストロゲンと入れ替わりに排卵後2週間にわたり分泌量が多くなる特徴を持っています。プロゲステロンの分泌量が増えると、子宮内膜を柔らかくして着床と妊娠の発生・継続に備えるほか、以下のような変化も引き起こします。
妊娠が起こらなかった場合は、プロゲステロンの分泌量は少しずつ減少していき、やがて子宮内膜が剥がれ落ちて月経となります。このように、プロゲステロンはエストロゲンとのバランスよく女性の体に作用することで、規則正しい月経周期を作っているのです。
プロゲステロンの分泌量が多くなりすぎた場合、また少なくなりすぎた場合には、それぞれ以下のような症状が現れます。
上記から、プロゲステロンの分泌量が多すぎると、月経前特有の辛い症状が強く現れやすいことがわかります。
また、特に注意が必要なのは、プロゲステロンの分泌量が少なすぎることによる、黄体機能不全症や多嚢胞性卵巣症候群など婦人科疾患リスクの上昇です。黄体機能不全症とは、プロゲステロンの不足が一因となって子宮内膜が厚くならず、妊娠しづらい、または流産を繰り返してしまう状態を指します。そして、多嚢胞性卵巣症候群は、妊娠に必要な排卵が起こりにくくなる病気で、やはり不妊の原因となり得る疾患です。
排卵が終わり、プロゲステロンの分泌量が多くなる時期は黄体期と呼ばれ、精神の不安定さや体のむくみ、疲労、だるさを感じやすい時期です。このため、いつもより感情のコントロールが効きにくくなったり、体形や肌の調子の維持もどうしても難しくなってしまいます。
ただ、これらは妊娠に必要な女性ホルモンの影響のため、こうした症状が出てしまうことはやむをえないとも言えます。プロゲステロンの影響で上記のような不調を感じるときは、無理せずできるだけリラックスして過ごしてください。
プロゲステロンの分泌量が少なく、黄体機能不全や多嚢胞性卵巣症候群発症のリスクを感じるときは、以下の方法で状態を改善できる可能性があります
ビタミンEが豊富な食材として、アーモンド、あん肝、松の実、いくら、焼きタラコ、モロヘイヤ、オリーブ、うなぎのかば焼き、かぼちゃ、焼きのり、卵黄などがあります。
体調改善のためなら、ひとまず上記の改善策を行いながら、数カ月ぐらい体調の変化を観察してみましょう。ただし、できるだけすぐの妊娠を希望している場合や、不正出血が見られる場合には、早めに婦人科の医師の診察・治療を受けるのが望ましいです。
プロゲステロン不足を補うため病院で受けられる治療としては、以下が挙げられます。
どの治療法を選択すべきかは、その人の状態や医師の判断により変わってきます。主治医としっかり相談したうえで、治療法を決めましょう。
女性ホルモンのうち、プロゲステロンは排卵を機にエストロゲンと入れ替わり、約2週間分泌されることで妊娠の準備をしています。子宮内膜を柔らかくしたり、体温を上げ乳腺を発達させるなどして、妊娠可能な体の状態を作り出します。ただし、分泌量が多すぎても少なすぎても不調の原因となり、特に少なすぎるときは、不妊症の原因となる可能性も。不足による深刻な不調や不妊が心配なら、早めに病院へいきましょう。