記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/7/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏の猛暑対策として、熱中症対策を心がけなければ…と思う人は多いですが、気温が高くなると血圧が下がりやすいことをご存知の人は少ないかもしれません。この傾向は高血圧の人にもみられ、特に降圧剤を服用している場合、血圧が下がりすぎてしまうリスクもあります。以下、この記事で解説します。
夏は、夏バテや熱中症など、体調不良が起こりやすい季節でもあります。しかし、夏に起こりやすい体調の変化として、血圧が低下しやすいことはあまり知られていないかもしれません。
夏は気温が上がるため、体内の熱を外に出すべく血管が拡張します。そのうえ、大量の汗で血管内の水分と塩分が失われやすくなります。そのため、普段から血圧が低めの人や高齢者などは、血圧が下がりすぎて立ちくらみがしたり、体がだるくなったりすることがあるのです。
高血圧には目安となる数値が設定されているため問題にされやすいものですが、低血圧には明確な基準値がなく、症状もあまり知られていません。病院によって基準は異なりますが、最高血圧がいつも110~85mgの人は、低血圧の傾向があるとみてもよいでしょう。低血圧の症状として、だるさ、めまい、頭痛、耳鳴り、不眠、胃もたれ、肩こり、吐き気、動悸、不整脈、発汗などがあります。こうした自覚症状がある場合は、検査を受けて自分の体調を知ることが大切です。
高血圧が高い人は、血圧を下げる薬(利尿量を増やして血圧を上げる作用のあるナトリウムを減らす薬や、血圧をコントロールする体内物質レニンの活性化させる薬など)を飲んでいると思います。これらの薬の中には、体内の水分量によってそのはたらきが変化するものがあります。
たとえば、レニンは体内が脱水傾向に陥るとはたらきが活性化する特徴があります。そのため、レニンの活性化により血圧が低下するケースや、発汗によって体内の水分量が減っている状態で、さらに排尿量が増えることによる血圧低下などのケースも起こり得ます。
つまり、ほかの季節と同じ薬の量であっても、夏の環境下では血圧の低下を引き起こす場合がある、ということです。急にベッドから起きたり、湯船から立ち上がったりする場合には十分注意しましょう。
血圧低下による不調を防ぐには、まず自分の血圧の数値の変化を正確に把握しておくことが大切です。自宅用の血圧計などを利用し、毎日継続して測定しましょう。また、夏の場合は熱中症への対策も欠かせません。熱中症になると、血圧が高めの人でも急激に低下する可能性があります。こまめに水分を補給し、脱水症状にならないよう警戒してください。日頃から血圧が低めの人は、スポーツドリンクや食事などで塩分を意識して摂取するのもよいでしょう。
一方で、夏は血圧が上昇しやすい要因もあります。暑い屋外と冷房が効いた室内で5度以上の温度差がある場合、涼しいところに急に入ったとたん血圧が上がりやすくなります。血圧が高い人も気をつけましょう。
夏は、血圧が低下しやすい季節でもあります。気温が上がるため、体内の熱を外に出すべく血管が拡張すしたり、大量の汗で血管内の水分と塩分が失われていったりするためです。さらに、体内の水分量の減少などが原因で、降圧剤の効き目が強くなりすぎるケースなどもあります。特に、普段から血圧が低めの人や高齢者、降圧剤を服用している人は、継続して血圧を測定したり、熱中症対策で水分補給をしたりするなどの対策をしましょう。