記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
私たちの血液の主成分のうち、多くを作っているのは骨の中心部にある骨髄です。
今回は骨髄にあり、血液の主成分をつくる重要な役割を持つ細胞「造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)」について、移植が必要になるケースとあわせて解説します。
造血幹細胞とは、人体の維持と健康に欠かせない血液を作るために欠かせない細胞です。骨の中心部にあるスポンジ状の組織である骨髄に存在していて、以下の「分化」と「自己複製」と繰り返しながら、日々造血に励んでいます。
「分化」と「自己複製」、造血細胞がこれら2つの働きをバランスよく行うことで、私たちの体に必要な血液が日々作られているのです。
造血幹細胞移植とは、その人がもともと持っている造血幹細胞を、ドナーとなる健康な第三者から譲り受けたものに入れ替える治療法です。たとえば、以下のようなケースの治療法として、造血幹細胞移植が検討されます。
なお造血肝移植は、どこから造血幹細胞を採取して移植するかによって以下の3種類があります。
造血幹細胞移植を受ける場合、まず患者は移植予定日の1週間ほど前から、大量の抗がん剤投与や放射線照射による「移植前処置」を受けます。この移植前処置は、患者がもともと持つ造血幹細胞を傷つけて壊すことで免疫機能を抑制し、移植後の拒絶反応のリスクを減らす目的で行われるものです。
そして移植の当日には、前もってドナーから採取しておいた造血幹細胞を静脈から点滴で投与する「輸注(ゆちゅう)」という処置を行います。
静脈から入ったドナーの健康な造血幹細胞が骨髄に到達し、患者の体で増殖して白血球が増えてくれば「生着(せいちゃく)」と呼ばれる状態になります。
生着が順調に進めば、移植をしてから数カ月以内には患者の造血幹細胞がドナーのものにすべて入れ替わり、造血幹細胞移植は成功です。
骨髄に存在し、白血球の一部・赤血球・血小板のもととなるのが造血細胞です。もともとは一種類の細胞ですが、分化してそれぞれの血球細胞へ成長するとともに、自己複製も繰り返して血球細胞のタネがなくならないよう働いています。このため、病気や治療の影響で正常に働けなくなると、造血が滞り健康な血液をつくれない深刻な状態となってしまいます。その場合、医師に相談のうえ造血幹細胞移植を検討する必要があります。