記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
人間に欠かせないミネラルのひとつにリンがあります。多くのミネラルは不足しやすい傾向にありますが、リンは摂りすぎに気をつける必要があることがわかっています。なぜ摂りすぎに気をつけたほうがいいのか、また、摂りすぎないためにどんなことに気をつければいいのかを解説します。
人間のからだは、炭素、水素、酸素、窒素が大部分を占めていますが、ほかに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、マグネシウムなど16種類のミネラルを必要としています。最も多く含まれるミネラルはカルシウムですが、リンはカルシウムの次に多く含まれています。体内のリンの約80%は骨や歯にリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムといった化合物として含まれています。ほかに、筋肉や細胞膜、遺伝情報を蓄えるDNAやRNA、細胞外液などに存在しています。
また、リンはエネルギーを発生させる化合物(ATP:アデノシン三リン酸)の成分でもあります。ATPは、すべての生物の細胞の中にあり、細胞の増殖や、筋肉の収縮、菌類の呼吸など、さまざまな反応にエネルギーを供給しています。
リンは食品に豊富に含まれており、十二指腸、小腸、大腸などで吸収されています。からだの中のリンの濃度は、腎臓のはたらきや、骨の生合成を行いながら、ある程度一定に保たれています。不足するということはほとんどなく、大部分は排泄されています。
リンは、不足すると脱力感や筋力低下などの症状が知られていますが、食品に多く含まれているため通常は不足するということはありません。むしろ、過剰になることが心配されるほどです。
リンは食品添加物として使われているため、加工食品中心の食生活では、リンの摂取量が多くなりがちです。特に腎臓の機能低下があると、尿へのリンの排泄が減り、血液中にリンが残存することになります。
リンは、魚や肉、牛乳やチーズ、卵、豆類など、一般的な食材に豊富に含まれており、むしろ摂りすぎに注意が必要です。
日常的に手に取れるインスタント食品やファーストフード、ハム、ウインナー、かまぼこなどの加工品や清涼飲料水には添加物としてリンが多く含まれています。リンはカルシウムと結合することで骨や歯をつくるもとになりますが、加工食品にはカルシウムは少なくなっています。カルシウムが不足してしまうとリンが過剰になってしまう可能性があります。
そのため、日々の食生活では次のようなことを心がけ、リンの摂取量を抑えていくと良いでしょう。
市販の清涼飲料水には、添加物としてリンが含まれています。飲みやすく、おいしいものも多くありますが、飲みすぎるとリンのとりすぎにつながります。麦茶やほうじ茶、烏龍茶などを飲むように心がけましょう。
ハムやウインナー、ベーコン、かまぼこは、大変便利な食材ですがリンが多く含まれます。また、一般的に加工が進むほどリンが多く含まれ、お惣菜などにも含まれています。加工品ばかりを食べるのではなく、魚や肉などの、もとの素材に近いものも食事にとりいれましょう。また、納豆や豆腐は加工食品ではありますが、カルシウムも含まれるため体内でバランスをとることができます。積極的に取り入れていきましょう。
リンは、人間の身体にとって必要なミネラルのひとつで、カルシウムと結合することで、骨や歯をつくるもとになっています。リンは一般的な食材に豊富に含まれているため、不足するということはあまりありません。むしろ、加工食品や清涼飲料水などから過剰に摂りすぎてしまうことに注意が必要です。日々の食生活の中で、少しだけでも意識をしてリンを避けるようにしましょう。