記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血糖値上昇と聞くと「食べたものが影響している」と思うかもしれませんが、食欲不振なのに血糖値が高くなる「シックデイ」という状態があります。この記事では、糖尿病でみられるシックデイの症状や注意点、症状があらわれたときに試したい対処法について紹介します。
シックデイとは糖尿病の方にあらわれる「体調の悪い日」のことで、食事がとれない状態で、血糖値のコントロールが難しくなる状態です。たとえば、感染症など急病に罹って血糖値が乱れたときにシックデイが発生しやすくなります。
通常は血糖コントロールが良好でインスリン製剤の必要性が低い患者さんでも、何らかの原因でシックデイが発生することがあります。1型糖尿病などでインスリン製剤を使用している患者さんは、さらに血糖が上昇しやすくなります。シックデイの間は、重症の高血糖になる場合もあります。
シックデイであらわれる症状は実にさまざまです。高血糖、低血糖、発熱、下痢、嘔吐、発汗、食欲不振、脱水、骨折など外傷、急性合併症などが引き起こされます。シックデイの間はストレスを感じやすくなり、ますます血糖値が上昇することがあります。
また、シックデイでは低血糖に陥る可能性があることに注意してください。体調不良や食欲不振の結果、食事を十分にとれずに低血糖になってしまい、通常通りの量で薬を使用したときに血糖コントロールに悪影響を及ぼすおそれがあります。
シックデイ中は血糖値をこまめに測定し、異常がないか確認を怠らないようにしましょう。血糖に異常を発見したときは適切な対処が必要です。
シックデイと思われる症状が発生したときは、速やかな対処をしましょう。下記のような症状がみられたら、すぐに医療機関に連絡したり受診するようにしてください。状態によっては入院が必要です。
自宅ケアの場合は、食事がとれるかとれないかで対処法は変わります。薬の調整について例を挙げますが、症状によって対処は異なります。担当医や薬剤師にシックデイが発生したときの自宅ケアについて相談しておくことをおすすめします。
脱水状態は低血糖を促します。発熱時は特に水分摂取をしてください。
基本的には糖尿病薬の服用は中断しません。感染症や脱水、ストレスの影響で著しい高血糖が引き起こされる可能性があります。食欲がなくても、消化のよい食べ物や飲み物などを摂取し、エネルギーをとってください。必要なエネルギー量を満たせない場合は、食事量や状態を確認しながら糖尿病薬の調整が必要になることがあります。
1型糖尿病は、インスリン分泌機能が著しく低下している、または分泌が機能していないのが特徴です。インスリンの基礎分泌を薬で補っていますので、シックデイで食事がとれない場合でも基礎分泌を補う薬の服用や投与量は原則として変更しません。追加分泌を補う薬の調整をすることはあります。
糖尿病患者さんに訪れる、食事ができないくらいの不調が続くシックデイ。高血糖や低血糖などあらゆる症状が起こる可能性がありますので、血糖を測定しながら対処する必要があります。担当医と相談し、シックデイが発生したときにどうすればいいか聞いておくと安心です。重症化を防ぐためにも「シックデイかな?」と思う症状があらわれたら早めに対処しましょう。