記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏は気温も高く、日差しも強くて体力を消耗しがちですよね。だからこそ、しっかり食べて体力を復活させたいのに、食欲がなかったり、胃もたれしやすかったりで食も進まず…。このような状態に陥ってしまうのには原因があります。この記事では、夏の食欲不振の原因や症状とともに、改善のヒントもご紹介します。
夏は、気温が高いうえに日本では湿気も多く、暑さ負けや冷房による室内外の温度差で、胃の消化機能が衰えたり自律神経の乱れによる胃酸分泌の異常が起こるため、体温調節が難しくなりがちです。その結果、全身倦怠感や食欲不振に陥ることも少なくありません。
また、大量の汗をかいて体内の水分が失われがちとなり、これを補おうと冷たい飲み物などをついとり過ぎてしまうと、胃腸トラブルを起こしやすくなります。冷たい物をとり過ぎると、外気に反して体内が冷えきって胃の機能が低下し、消化不良や下痢、食欲不振などの原因となります。大量にとったり長期的にとると、腹痛やおう吐、下痢などのほか、疲労感、倦怠感の原因にもなり、感染症などにもかかりやすくなってしまいます。
胃は体調やストレスなどの影響を受けやすいデリケートな臓器で、かつ、他の臓器に比べて自覚症状が出やすい臓器です。胃の不調は、健康に大きく影響するため、胃が発するサインに早く正しく気づき対処することが大切です。
具体的な症状としては、連日の暑さや水分の摂り過ぎなどによる食欲不振や胃のもたれ、水分やアルコールの摂り過ぎなどによって過剰になった胃酸が逆流して起こる胸やけ、夏の疲れで体の抵抗力が落ちているところに過度のストレスが加わって起こる胃痛などがあります。また、抵抗力が落ちると感染性胃腸炎にもかかりやすくなります。この場合、通常は水分補給と消化の良い食事で数日で自然治癒しますが、激しい腹痛や血便などがある場合や乳幼児や高齢者は早めに医療機関で受診しましょう。
まずは、体を冷やし過ぎないことが大切です。胃腸を冷やさないよう、夏でも温かい飲み物を少しずつ喉が乾かない程度に頻繁に飲むようにしましょう。夏野菜には暑気を払う作用もあるので、食事に積極的に取り入れましょう。冷奴などには、ミョウガやシソ、生姜などの冷えをやわらげる薬味を使うと良いでしょう。
また、梅雨から夏にかけては食中毒にも注意が必要です。冷蔵庫を過信せず、なるべくこまめに買い物をして、食べ過ぎや食中毒を防ぐようにしましょう。一日の終わりには湯船につかって体を温め、血行を促進させます。適度な発汗で体内の滞った水を取り除くこともできます。
市販の胃腸薬を利用する際には、症状や体質、原因にあった薬を選ぶことが大切です。なお、感染性胃腸炎の予防には、食事前やトイレの後などの手洗い、うがいを徹底し、食品は十分加熱するか流水で十分に洗い、調理器具も消毒するようにしましょう。
夏の高温と湿気による暑さ負け、室内外の気温差による自律神経の乱れなどもありますが、大量の汗をかくことで失われてしまった水分を補うための冷たい飲み物の摂り過ぎが原因となることが多くあります。胃腸を冷やさないよう飲み物や食事に気をつけることが大切です。