記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2025/4/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏に流行しやすい感染症のひとつにヘルパンギーナがあります。ヘルパンギーナは子どもに多い感染症であり、発症すると発熱・口内の発疹などの症状が現れます。この記事では、ヘルパンギーナの原因・症状・潜伏期間・感染経路など、ヘルパンギーナの特徴と発症後の対処法、予防対策などについて解説していきます。
ヘルパンギーナとは、代表的な夏風邪のひとつです。2日から5日程度の潜伏期間があり、発症すると発熱や口腔粘膜の水泡性の発疹などの症状が現れます。ヘルパンギーナの感染経路と症状の特徴として、以下が挙げられます。
ヘルパンギーナは、おもにコクサッキーA群ウイルスが原因ウイルスであり、以下の経路で感染します。
ヘルパンギーナは乳幼児を中心に流行しやすく、唾液や鼻水が付着したおもちゃを介して感染したり、くしゃみ・せきを介して感染したりすることがあります。
ヘルパンギーナを発症すると、突然38℃以上の高熱が現れ、発熱が2日~4日程度続きます。また、口の中に水疱性の発疹ができ、せき・鼻の炎症・のどの炎症・下痢なども現れます。口腔内にできる発疹は、直径1mm~2mm程度のものが多く、5mm程度まで大きくなることもあります。発疹は水ぶくれのような状態になっていて、頬の内側・のどの奥(食道につながる部分)など、やわらかい部位に現れるという特徴もあります。2日~4日程度を過ぎると、発疹がつぶれて潰瘍のようになり、痛みで飲食が困難になることがあります。
ヘルパンギーナには、特効薬やワクチンがありません。そのため、感染・発症したときの対処法と予防対策として、以下を心がけることをおすすめします。
ヘルパンギーナの治療では、発熱などの症状を抑える薬が処方され、自然回復を待つ保存療法により治療が進められます。発症したときは、のど・口内の痛みで飲食が難しくなることが多いため、水分補給と栄養補給に気を配り、脱水症状にならないように注意する必要があります。熱いもの・辛いもの・酸っぱいもの・塩分の多いものなどは発疹を刺激して強い痛みを生じさせるため、これらの飲食物を避け、おかゆ・ゼリーなど、口当たりが良くなめらかなものを摂るようにしましょう。
飛沫感染・接触感染・経口感染を予防するため、うがい・手洗いを敢行し、必要に応じて除菌・消毒を行い、清潔に保つことを心がけましょう。適宜マスクを着用したり、食器・タオル・洗面用具・おもちゃなどの共有を避けることも大切です。
家族のなかに感染者が出た場合は、排せつ物を適切に処理する必要があります。マスク・手袋を着用しながら処理を行い、ふき取った汚物は隔離して処分しましょう。処理した後の殺菌・消毒処理も忘れないようにしてください。可能であれば、寝室やトイレも分けることをおすすめします。なお、症状が落ち着いた後も、しばらくは排せつ物にウイルスが混ざっている場合があるため、気をつけるようにしてください。
ヘルパンギーナは乳幼児を中心に流行しやすい感染症であり、高熱・口内の水疱性の発疹が現れ、口内やのどに痛みが現れます。特効薬がないため、発症後は処方薬などで症状を緩和しながら回復を待つことになりますが、口内とのどの痛みで食事が困難になることが多く、そのようなときはおかゆ・ゼリーなど消化が良く食べやすいものを用意するなどしながら、脱水症・低栄養に注意する必要があります。また、流行しやすい夏の時期は、うがい・手洗い・除菌などの感染症対策をとくに心がけるようにしてください。