タバコ中毒

2017/9/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

概要

喫煙によって起こる変化は、身体面における変化と行動の変化に分けられます。 身体面の様々な変化は、ニコチン中毒によって引き起こされます。 行動の変化は、タバコを買い、火をつけて、吸うという一連の流れを長年繰り返すことで生じます。このようにして、喫煙は習慣になっていきます。 喫煙が習慣化すると、コーヒーやお酒を飲んでいるとき、ストレスや心配ごとがあるとき、電話で通話しているとき、運転中、友人と交流しているとき、手持ち無沙汰になったときなど様々な場面で吸いたい欲に駆られます。

タバコには、自分から体内に入れようとは決して思えないような有害物質が含まれています。 例えば、タール、一酸化炭素、DDT、ヒ素、ホルムアルデヒドのような化学物質が含まれています。 また、中毒の原因ともなるニコチンも含まれています。 これらはすべて体にとって悪い物質です。ニコチンは、心臓発作や脳卒中のリスクを高めます。タールと一酸化炭素は深刻な呼吸の異常を引き起こしますし、タバコの煙が癌を引き起こすことはよく知られています。

1日に数本のタバコでも健康には悪いのです。 一旦喫煙を始めたら、止めるのは非常に難しいかもしれません。 タバコのニコチンは毒で、常習性があります。一度始めると、体はそれなしでは機能できないと感じてしまいます。

治療

次のようなことが、禁煙に大いに役立つ可能性があるでしょう。
・周囲のサポートを受ける
・禁煙によるストレスや喫煙欲求への対処法を知る
・禁煙薬を正しく使用する
・努力を続ける

禁煙に役立つ手順

1.禁煙日を決めます。
2.2〜4週間後をめやすに日付を設定し、喫煙を終了する準備をします。 可能であれば、引越しのタイミングなど生活が変わる転換日を選択してください。 そうでなければ、職場や自宅で余計なストレスがかからないと予想される時期を選んでください。
3.なぜ禁煙したいのかのリストを作成します。 ニコチンが切てタバコが欲しくなるタイミングを見ることができるように、リストを手元に保管してください。
このリストにはいつ、どこで、なぜタバコを吸ったかを記録しておきます。 タバコが欲しくなる時とその理由を知るために、1週間ほど記録するとよいでしょう。
4.喫煙の代わりに何をするかを計画してください。 また、喫煙するよう誘惑してくる人には、何と言って断れば良いのかを事前に考えておくことも効果的です。
5.持っているタバコをすべて捨てます。 また、喫煙習慣と結びつく灰皿やライターなどもすべて捨ててください。
6.友人に禁煙していることを宣言してください。また、喫煙以外のことで友人と一緒にできることがないか探してください。
7.最初に計画した禁煙日が来たら、完全に禁煙します。 タバコを吸わなかった日、週、または月ごとに、自分にご褒美をあげてください。 たとえば、新しいシャツを買ったり、友人を映画に誘ったりしてみてください。

禁煙を助けるためのニコチン代替製品や医薬品の効果

ニコチン代替製品は、喫煙することなくニコチンを取り込む方法です。これらの製品には、ガム、パッチ、鼻スプレー、吸入器、ロゼンジなどがあり、医師の処方なしに買うことができます。ニコチン代替製品は、ニコチンへの欲求を軽減し、禁断症状を和らげる働きをします。 これにより、必要な習慣や環境を変えることに集中できます。 一度非喫煙者としての自信を得ると、ニコチン中毒をコントロールできます。ブプロピオンやバレニクリンなどの処方薬が、禁煙の助けになる人もいます。 これらの医薬品にはニコチンは含まれていませんが、喫煙の衝動を抑えてくれます。これらの製品のどれがあなたとって禁煙の可能性を広げてくれるかについては、医師にご相談ください。なお、ニコチン代替製品の使用中に喫煙しないことが非常に重要です。

合併症

喫煙は寿命を10数年も短くする可能性があります。喫煙は、肺癌、口腔癌、心臓病といった多くの疾患を引き起こし得ます。また、止まらない咳を引き起こし、呼吸を困難にする可能性もあります。

今すぐ禁煙すべき理由はいくつかあります。
・喫煙は口臭を発生させます。
・喫煙は服や髪を劣化させます。
・喫煙は歯や指を黄色に変え、皮膚のしわを増やします。
・喫煙すると、運動するとき疲れやすくなります。
・喫煙は心拍数と血圧を上げます。
・喫煙は免疫システムに損害を与えます。 喫煙すれば、風邪やインフルエンザ、肺炎などにかかりやすくなります。
・喫煙は、血液の循環を悪くするため、性行為に影響を及ぼす可能性があります。
・喫煙は腱(けん)と靭帯(じんたい)を弱くし、怪我をしやすくさせます。 また、怪我が治りにくくなります。
・喫煙は周りの人々に影響を与えます。 受動喫煙も危険です。
・自分の子供への悪い手本となってしまいます。

長期的な影響として、喫煙は、以下のリスクを増加させます。
・肺癌および他の多くの種類の癌
・心臓病
・深刻な呼吸の問題
・胃潰瘍および胃酸の逆流
・歯周病
・喫煙している妊婦の赤ちゃんへのダメージ

喫煙はまた、あなたを病気にして、仕事をしたり楽しく過ごしたり有意義な時間を奪います。

予防法

テレビやラジオでよく言われているのは、麻薬、アルコール、タバコに「ノー」と言うということですのが、簡単に聞こえて難しいものです。 喫煙している友人が周りにいたり、家庭、学校、職場でストレスを感じるかもしれません。あるいは、喫煙が自分の人格を作っていると思うかもしれません。 誰であれ何であれ、友人もタバコの広告でも、喫煙してもいいよ、とあなたに言うでしょう。喫煙を断るのに助けが必要な場合は、教師、学校のカウンセラー、医師など、信頼できる人と話し合ってください。

関連知識

禁煙の禁断症状

神経質になり、イライラするかもしれません。 また、怒りっぽくなったり、すぐに悲しくなったり、集中するのが難しかったり、いつもよりも空腹を感じたりするかもしれません。 最初は頭痛や咳をすることがあります。 これらのすべてがニコチンからの禁断症状であり得ます。 最もきつい症状は数日で終了しますが、タバコへの欲望はまだこの時点では残ります。 この欲望は、ニコチン中毒とはあまり関係がなく、喫煙の習慣と密接に関係しています。

また、一部の人では体重が数キロ増える人もいます。 体重が増える原因は、喫煙する代わりにたくさん食べてしまうためです。 食事量に気をつけて、忙しくし、仕事に出かけることにより体重を減らすことができます。

噛みタバコの有毒性

タバコを噛むことも健康を害する危険性があります。 噛みタバコは口の中に傷や白い斑点をつくったり、口や歯肉や喉の病気や癌を引き起こすことがあります。 噛むと口臭が出て、歯を変色させ、歯が抜けてしまう可能性もあります。 一回の噛みタバコは、タバコの15倍のニコチンを含んでおり、中毒の危険性がはるかに高いことを意味します。

周囲のサポートを受けるには

家族や友人にどんな助けが必要か伝えてください。周囲のサポートは禁煙に効果的です。また、禁煙の計画を立てるときには、医師に相談してください。 医師は、禁煙プログラムを推奨することもできます。 このようなプログラムは、地元の病院や保健センターで受けることができます。 禁煙できたら、自分にご褒美をあげましょう。例えば、禁煙で節約したお金で、自分自身にプレゼントを買いましょう。
タバコをやめるには何らかの助けが必要であることを忘れないでください。 短期間での禁煙に挑戦する10人中9人は、ニコチンの中毒性に負けて失敗します。

ストレスや喫煙への衝動に駆られた場合

ストレスがあるとき、リラックスするためにタバコを吸う習慣があるかもしれません。 幸い、ストレスを解消する方法は喫煙以外にもいろいろあります。温かいお風呂に入ったり、散歩に行ったり、ゆっくりと深呼吸したりして、リラックスしてください。 喫煙への衝動を抑えるため、今までの習慣を変えることも視野に入れておいてください。 たとえば、コーヒーを飲みながらタバコを吸うことが多かった場合は、代わりにお茶を飲みましょう。

あなたは辞めることができます。 ほとんどの人は成功する前に何度も諦めようとします。 つまずいても、あきらめないでください。 なぜ禁煙したいのかを思い出してみてください。 そして、もしつまずいてしまったら、その原因を考えてみてください。そして次回は、その状況にどう対処するかをわきまえてください。あなたにはできます!

医師に相談するための質問

・喫煙は健康にどのような影響を与えますか?
・どうすれば禁煙できますか?
・禁煙を助ける薬はありますか?

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