高齢者の処方薬乱用

2017/3/15

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

概要

処方薬乱用とは、処方されていない処方薬を服用したり、医師が指示していない方法で処方薬を服用することです。処方薬には、多くの鎮痛剤や抗不安薬、睡眠薬が含まれます。処方薬を乱用する人は、医師の指示よりも多くの薬を服用したり、必要がないときに薬を服用したり、酒やほかの薬と混ぜて服用したりします。これらは中毒、薬物相互作用、過剰摂取などの重大な問題につながる可能性があります。
ただ、全ての処方薬が中毒を引き起こすわけではありません。ほとんどの処方薬は、医師の指示に従って服用すれば安全で効果的です。

症状

高齢者はほかの年齢層よりも処方薬が多いため、乱用のリスクがあります。毎日複数の処方薬を服用することで、服用時のミスや薬物相互作用が出る可能性が増加します。薬物相互作用は、複数の薬物が互いに反応するときに生じ、薬の効果を下げたり、有害な副作用を引き起こす可能性があります。
さらに、加齢により身体から薬をろ過する肝臓の能力が低下するため、低用量でも中毒や副作用を起こす可能性もあるのです。

原因

あらゆる処方薬で乱用の可能性がありますが、一般的に高齢者は中毒の可能性が高い2種類の薬を服用しています。
・オピオイド
疼痛を和らげるための処方薬です。オキシコドンやヒドロコドンなどを長期間、あるいは過剰に服用する場合、中毒になることがあります。
・ベンゾジアゼピン
不安、パニック発作、不眠症を治療する処方薬です。バリウム、ザナックス、クロノピン、アティバンなどを長期間服用すると中毒に陥り、服用量を増やすことになる場合があります。

なお、ほかの鎮痛薬や睡眠薬などの処方薬も中毒を引き起こす可能性があります。

治療

乱用している薬の種類や中毒の状態、そして薬をやめることによるリスクによって治療は異なりますが、カウンセリングか医師(または両方)によって治療されます。適した治療法は医者が判断します。

関連知識

乱用の可能性を判別する方法は?

処方薬中毒の場合、以下のことをする可能性があります。一緒に暮らしている場合はよく観察してください。
・異なる医師から同じ薬の処方箋を入手する
・異なる薬局で同じ薬の処方されている
・以前よりも多くの処方薬を服用する、または指定の服用回数よりも頻繁に服用する
・指定と違う時間、またはより高頻度に薬を服用する
・明らかに内向的になったり、怒りっぽくなるなど行動が変化する
・薬のことばかり考えたり、話したりする
・薬を飲まずに外出することを恐れる
・薬について尋ねられると不快感を表したり、守りに入る
・薬が必要な理由を言い訳する
・財布やポケットに余分な薬を保管する
・薬をこっそり持ち出したり、隠したりする
・過去にアルコール、薬物、処方薬の乱用の治療を受けていた

乱用可能性がある場合の対処法

薬を処方した医師に相談し、懸念を打ち明けてください。実際に薬を乱用しているか、中毒か医師が判断し、治療につなげます。

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