記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/3/16 記事改定日: 2017/8/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
足は、人体のなかで最も成長のスピードが速い部位ですが、シーバー病は、子供の足の成長板(かかとの成長部分)が損傷することで発生します。
通常、筋肉や腱よりも骨の成長が速い思春期前半に起こり、体重を支える活動(立ったままで行われる活動)の際、堅くなったかかとの腱が、アキレス腱が付着するかかと後部に強い圧力をかけうことで、かかとを傷つけてシーバー病を引き起こします。
シーバー病は思春期の子どものかかとの痛みの原因として、最も頻度が多い病気です。
思春期前半の成長が早まる時期に発症リスクが高くなります。 シーバー病は、8歳~10歳のよく運動する女児、10歳~12歳のよく運動する男子によく起こります。
サッカーや体操、陸上や跳躍運動をしている子供にリスクが高くなるようです。 かかとの後部は、15歳までに成長を完了するので、年長のティーンエイジャーの発症は、ほぼありません。
シーバー病では、かかとの痛みは片方または両方のかかとに出ます。 3分の2くらいの割合で、両方のかかとに症状があらわれます。通常、子供がスポーツを始めた後に生じます。 親が早く気づくために、子どもの歩き方がおかしかった時には様子を尋ねるようにしましょう。
痛みは、走ったり、ジャンプしたりすると高まり、 かかとの両側を握ると、痛がります。これは、スクイーズテストと呼ばれます。
まず、かかとの痛みを引き起こす活動を減らすか、止めさせます。1日3回、20分くらい氷を当てて冷やし、裸足で歩かないようにします。 足の甲が高かったり、平べったい、また屈曲している場合、医師は矯正具を勧めます。
重度のかかとの痛みを抱えている場合は、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの薬が役に立ちます。
ストレッチ運動がとても役に立ちます。 ハムストリングとふくらはぎの筋肉など、脚の後ろにある腱を伸ばすことが重要です。 ストレッチは1日2〜3回行うと効果的で、それぞれの部位で約20秒間続けさせてください。 痛みが片方のかかとだけでも、ストレッチは両方の脚で行ってください。
また、脛前部の筋肉(前脛骨筋)を強化するためのエクササイズも行ってください。 座った状態で脚をまっすぐにさせ、ゴムチューブの一端をつま先周りにかけ、 もう片方の端をテーブルの脚などにかけます。
チューブが十分に伸びるところまで下がり、続けて、ゆっくりと自分の体に向かって足を曲げさせます。 子供が足をそれ以上曲げることができなくなったら、ゆっくりとに足を伸ばさせます。 このエクササイズ(“足曲げ運動”15回)は、日に3回程度行うのが効果を高めます。
適切なケアで、2週間~2カ月以内に症状は緩和します。 再開のタイミングは医師のアドバイスを受けてください。
シーバー病と関連する長期的な問題はありません。 しかし、かかとの痛みがなくならない、痛みが悪化した場合、または、色の変化や腫れに気づいたら、医師に相談してください。
柔軟性を維持させることによって、シーバー病は予防できるため、 ストレッチは、子供が急成長する時期の怪我のリスクを軽減することができます。 また、衝撃吸収ソールを備えたタイプの靴も役立ちますが、 硬い地面を長距離走らせるのはよくありません。
また、シーバー病から回復した場合、運動後のストレッチ、そしてかかとに氷を当てることで再発防止につながります。