心不全

2017/3/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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概要

心不全は、心臓がポンプ機能を果たしていないことを意味します。心不全は、心臓が機能しなくなったこと、または心臓発作を起こしていることを意味するものではありません(心不全を抱えている人は過去に心臓発作を起こしていることが多いです)。

症状

心不全を患っている人には、問題や症状がほとんどみられない人もいれば、症状が多い人もいます。以下は、心不全を有する人が経験する可能性のある症状のリストです。これらの症状がある場合、特に以前に心臓に問題があった場合は医師にご相談ください。
・息切れ(歩く、階段を登る、または活動しているときなど)
・横たわったときの息切れ
・食欲不振
・夜中に突然目が覚め、息切れがする
・一般的な疲労または衰弱(運動能力の低下を含む)
・足、足首の腫れ
・腹部の腫れ
・急速または不規則な心拍
・急速な体重増加(1日に500g~1kg増が3日連続した)
・慢性咳嗽(まんせいがいそう)または喘鳴
・吐き気

原因

心不全にはさまざまな原因があります。原因が見つからないことがあります。心不全の最も一般的な原因は以下のとおりです。
・冠動脈疾患(心臓への血液供給が部分的または完全にブロックされている場合) ※過去の心臓発作の有無にかかわらず
・心筋の問題(心筋症)
・高血圧(高血圧症)
・心臓弁の問題
・異常な心臓リズム(不整脈)
・有毒物質(アルコールや薬物乱用など)の使用
・先天性心不全(生まれつきの心臓の問題)
・糖尿病
・甲状腺の問題

診断

医師は、病歴と症状について尋ね、診察を行います。その後、次の検査が行われる場合があります。
・血液検査
・尿検査
・胸部X線
・心電図(EKGまたはECGとも呼ばれる):
心電図は心臓の電気活動を記録します。心臓リズムの問題や心臓の損傷を診断するのに役立ちます。
・心臓超音波 :
体内に音波を送信し、心臓の写真を見る検査です。心臓が正常にポンピングしているかを写真で見ます。

治療

治療は心臓ポンプ機能を改善し、症状の緩和に役立ちますが、心不全は完全に治癒することはできません。治療は、血圧を低下させる、または心臓弁を固定するなど、根本的な問題を治療することが重要になります。治療には、生活習慣の変化や薬剤も含まれます。

薬の服用

心不全を治療するためには多くの薬剤が使用されます。症状によっては、複数の薬を服用する場合があります。医師はこれらの薬について説明しますが、最適な薬と最適な薬量(用量)を見つけるのに時間がかかることがあります。
・ACE阻害剤: 動脈を開き(拡張)、血圧を下げて血流を改善する効果があります。
・利尿薬: 頻繁に排尿し、体内に尿が蓄積しないようにします。また、肺に集まる体液を減らすことができ、呼吸をしやすくします。
・ベータ遮断薬: 血圧を下げ、心拍の早さを遅くすることができます。また、不整脈を防ぐのにも役立ちます。
・ジゴキシン(ジギタリスとも呼ばれる): 心臓の筋肉収縮を強化することによって心臓のポンプ機能を助けます。
心不全を治療するために、いくつかの種類の医薬品が一般的に使用されています。他の問題がある場合や、副作用がある場合は、他の薬を服用する必要があります。
心不全のために薬を服用しているときは、カリウムレベルと腎機能をチェックするための血液検査も必要です。血液検査を行う頻度は、使用している薬の種類と強さによって異なります。多くの患者がほとんど問題なく心不全薬を服用しています。しかし、薬に懸念があったり、副作用があると思われる場合は、医師に相談してください。医師の指示どおりに薬を服用することが重要です。

診察をうける頻度

心不全で入院した場合、帰宅した次の週に必ず経過観察を受けてください。まず、毎週何度もチェックを受けて、どのように薬に反応しているかを確認します。医師が薬を調整し、気分が良くなった頃には、受診回数は減っていくでしょう。

医師に連絡するタイミング

次のいずれかの場合は、医師に相談して下さい。
症状や薬剤について質問がある場合は、医師にご連絡ください。
・息切れが悪化する
・1週間で2kg以上の体重増加
・足が腫れた
・夜間の咳や喘鳴、または居眠りをしてしまう
・胸の痛みや胸の重い感じ
・薬の副作用
・多量の利尿薬を服用しても体重が減らない

自分でできる対処法

過度の塩分摂取、塩辛い食べ物(缶詰の野菜やスープ、チップやピザなど)の食べ過ぎは避けてください。塩辛い食べ物や高ナトリウム食は体に水分を保持させる可能性があります。塩代用品を使用する前に医師に相談してください。塩代用品はカリウムが含まれていることが多く、健康に良いものではない可能性があるからです。これは腎機能と服用している薬によって異なります。
カリウムを余分に必要とする人もいますが、多くはカリウムを必要とはしません。
少量のアルコール(1日1ドリンク)は、心臓病のある人にとっていいもののように思われていますが、飲み過ぎると心不全を起こし、薬を妨害する可能性があります。アルコールの量が安全かどうか、医師に相談してください。
そして血圧を抑えてください。高血圧は心臓を圧迫し、弱めます。
運動すると健康になります。医師に運動プログラムについて相談してください。
また、日常のストレスを軽減し、十分な睡眠を取ってください。喫煙している場合は禁煙してください。太り過ぎの場合は、安全に体重を減らす方法について医師に相談してください。
そして、薬を服用する前には医師に相談してください。ナプロキセンやイブプロフェンなどの一般的な関節炎薬は体液貯留を引き起こす可能性があります。
体液貯留と体重増加は、心不全の兆候です。毎日同じ時間に体重を測定し、原因がかわらない変化があれば医師に報告してください。

医師に相談するための質問

・鬱血性心不全の原因は何ですか?
・どれくらい重症ですか?
・心不全を患って、今後の人生はどのように変化しますか?
・自分の状態が悪化しているかどうかはどうすればわかりますか?いつ連絡するか、治療を受けるべきですか?
・最良の治療法は何ですか?薬や手術は必要ですか?
・心不全治療薬の副作用は何ですか?
・心臓移植が必要ですか?
・運動は安全ですか?どのような運動がいいですか?
・合併症のリスクを軽減するために生活習慣を変える必要がありますか?

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