巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症

2017/3/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

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概要

巨細胞性動脈炎(以下、GCA)は、動脈が炎症を起こす状態です。動脈は、血液を心臓から体の他の部分に運ぶ血管です。
GCAは、腕、上半身および頸部の動脈に発生する可能性があります。しかし、それは通常、両側の耳の上および前にある動脈(側頭)に影響を及ぼします。このタイプのGCAは時には側頭動脈炎とも称されます。
リウマチ性多発筋痛症(以下、PMR)は、首、肩、腰、太ももの筋肉が炎症を起こす状態で、これらの領域に硬直と痛みが生じます。

GCAとPMRの関連性

PMRを持っている人の10%から20%はGCAを持っており、GCAを持っている人の約半数もPMRを持っており、同じタイミングでこれらの病気を持つことがあります。またはGCAはPMRになった後に発症することがあります。

症状

GCAの症状には以下のものがあります。
・重度の頭痛
・一方または両方の側頭の痛みと圧痛
・顎の痛み(特に咀嚼時)
・複視
・視力喪失
・頚部と腕の痛みと硬直
・意図しない減量

PMRの症状には次のものがあります。
・首、肩、腰、太もものうずく痛みと硬直
・疲労
・一般的な筋力低下
・意図しない減量

原因

GCAやPMRに伴う炎症の原因は明確にわかっていません。しかし、免疫系や老化の問題が考えられます。

GCAとPMRにかかるのはどんな人?

50歳以上の人の場合、GCAとPMRを発症する可能性が高いです。70〜80歳の女性で多くあらわれます。

診断

GCA

GCAの状態を確認するために側頭動脈の生検が必要です。この生検では、側頭動脈の小さな片を取り出し、顕微鏡下で見ます。また、動脈の炎症と他の異常がないかを診るために血液検査を実施する場合もあります。

PMR

医師は理学的検査を行い、症状について質問します。動脈の炎症を検出し、血球数を確認するため血液検査が行われる場合もあります。筋生検を行い、PMRを確認することもあります。

治療

軽度のPMRでは、市販の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用することをお勧めします。しかしながら、NSAIDsはGCAの治療には有効ではありません。
GCAに関連する炎症および痛み、より重篤なPMR症例を治療するためには、経口投与(錠剤)のコルチコステロイドを処方されることがあります。コルチコステロイドの服用を始めると、すぐに気分が良くなるはずです。この薬は最大2年間服用する必要があります。しかし、コルチコステロイドを長期間服用すると、血圧や血糖値が上昇したり、骨が弱くなる可能性があります。医師による副作用のチェックを受けながら治療を続ける必要があります。

自分でできる対処法

健康な食事を摂って十分な運動をすることで、GCAとPMRの両方の症状を和らげることができます。

医師に相談するための質問

・症状の原因は何ですか?
・血液検査や生検が必要ですか?
・巨細胞性動脈炎症です。リウマチ性多発筋痛症である可能性は高いですか?
・リウマチ性関節炎症です。巨細胞性動脈炎症である可能性は高いですか?
・一番いい治療法は何ですか?薬が必要ですか?
・コルチコステロイドを服用する際のリスクとメリットは何ですか?

この記事に含まれるキーワード

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