記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食べた食物が消化管を通過するとき、体は食物から栄養素と水をとります。 このプロセスの消化管の筋収縮で、食物は腸を通って移動し便を作成します。 便秘になっていると、排便の回数が減ることがあります。 便は非常に硬く、いきまないと便通が難しくなります。
便秘は病気ではありません。 ほとんどの人は、生活のある時点で便秘を経験します。 通常、それは一時的であり、重症ではありません。 慢性(頻回)の便秘の場合は、医師に相談してください。慢性的な便秘は食生活や健康上の問題が原因である可能性があります。
便秘の症状には以下が含まれます。
・排便後も、便意が残る
・腸や直腸がつまった感じがある
・出すのが難しいほど硬くて乾燥した便
・1週間に排便が3回未満
・排便時にいきんでしまう
それは個人差があります。 誰もが1日に1回便通があるわけではありません。 便通が毎日あることが「正常」ということではありません。通常の範囲は、1日3回〜週3回の間です。 便通が通常よりもはるかに少ない場合や、便の状態が悪い場合は、便秘になっているかもしれません。
通常、便秘は便があまりにもゆっくりと腸を通過するために起こります。 これにより、便が硬くなって乾燥します。 腸の動きがゆっくりとなる原因には、次のようなものがあります。
・食生活に繊維が足りない。日本人の食事摂取基準(2010年版)では、食物繊維の目標量は、18歳以上では1日あたり男性19g以上、女性17g以上とされています。 ほとんどの人の摂取量はこれよりずっと少なくなります。
・食事に水分が足りない。腸の水分は便の一部です。十分な水分をとらないと、便がより早く硬くなることがあります。
・運動不足。 規則的な運動をすると腸が正常に機能するのに役立つと言われています。
・便意を無視する。排便したい衝動をいつも無視していると、最終的に便意が低下することがあります。 便が腸内に蓄積し、より大きくなり排便を困難にする可能性があります。
・特定の医薬品。新しい薬を服用した後に便秘が起きたことが判明した場合は、医師に相談して下さい。下剤を使用すると、逆に便秘になることもあります。下剤に依存するようになると、下剤を飲まないと、腸がしっかりと動かなくなることを意味します。
・妊娠や老化などの年齢や体の変化、また旅行などの日常生活の変化。
・閉塞、腫瘍、過敏性腸症候群、または骨盤底機能不全などの腸の問題。
・特定の疾患。多発性硬化症、脳卒中、糖尿病、甲状腺機能低下症などの特定の疾患も便秘の原因となることがあります。
成人と同様に多くのものによって引き起こされます。 子どもが十分な水分、牛乳や他の飲み物を飲まないとき、または十分な繊維を含む健康的な食事をしていないときに起こる可能性があります。
便秘は、赤ちゃんを母乳や、タンパク質アレルギーに対応できるように作られた乳児用フォーミュラから全乳に切り替えるときや、ベビーフードから固形食品に切り替えるときにも始まることがあります。 便秘は、子どもが病気になったり、ある種の薬を服用した後に起こることがあります。 子どもが短期間便秘になった場合、心配するべきではありません。 便秘は小児では一般的であり、通常は自然と消失します。
慢性的な便秘を患っている幼児は、しばしば排便の衝動を無視しています。遊びを中断したくない場合や、トイレを教師に申し出たり、公衆トイレを使うのが怖くて恥ずかしいかもしれません。
子どもが排便を避けると、便が腸の下部に蓄積します。便は大きくなり、より固くなります。便の通過は痛みを伴うことがあり、排便をさらに避けたいと思うようになります。
医師は身体検査し、症状についてたずねます。 度々便秘がある場合、排便の記録をつけることで原因を早く見つけることができます。 子どもの場合は排便の記録を残すべきでしょう。 症状の頻度や重症度に応じて、直腸検査、血液検査、X線検査、大腸内視鏡検査などの他の検査を行う場合もあります。排便記録には、以下を含める必要があります。
・子どもがいつ排便したか
・大きさや硬さなど、便がどのようであったか、および血が混ざっていたかどうか
・胃の痛み、食欲不振、排便中のいきみなど、他の消化器症状はないか
・排便の衝動を無視する場合、家族のトイレルームの習慣や環境に問題はないか
おそらく必要ではありません。 便秘のほとんどの症例は、生活習慣によって自宅で簡単に治療されます。 しかし、症状がひどい場合、または次の場合は、医師に相談してください。
・急に便秘になった
・自宅での食事を気をつけたにもかかわらず、3週間以上便秘が続く
・腹痛がある
・理由なしに体重の減少がある
・便に血が混じっている
便秘を引き起こす原因によって、治療法は異なります。 健康的な食事を食べること、繊維を十分に摂取すること、定期的に運動すること、十分な水分をとることが便秘を解消する主な解決策です。
50歳以下の女性は1日あたり少なくとも38グラムの繊維を消費し、50歳以上の女性は1日当たり少なくとも25グラムを消費すべきと言う説があります。食生活で食物繊維を豊富に含む食品を食べます。食事から繊維を摂取する場合は、ゆっくりと徐々に量を増やしてください。 これはガスと腹部膨満を防ぐためです。 そしてたくさんの水を飲んでください。
食品のほかに、繊維サプリメントも効果があります。
・豆類(白インゲン豆、インゲン豆、ピント豆など)
・ドライフルーツ(プルーン、アプリコット、イチジクなど)
・新鮮な果物と野菜(1日に少なくとも2カップの果物と2.5カップの野菜を食べる)
・未加工の小麦ふすま(ヨーグルトまたは果物のトッピングとして使える)
・精製されていない朝食用シリアル
・全粒粉パンと玄米(白パンや米の代わりに選ぶ)
・亜麻仁粉
・サイリウムを含む製品は、粉末やその他の形態で入手できます(例としては、オート麦ふすまやオオバコ繊維などがあります)
一般的に、下剤は避けると良いとされています。 長期使用してはいけません。しかし、膨張性下剤は例外です。膨張性下剤は、便に大量の水を加えて腸内をより簡単に通過できるように作用します。 膨張性下剤は毎日使用することができます。 オート麦ふすま、サイリウム(オオバコ繊維のサプリメントであるメタムシルなど)、ポリカルボフィル(繊維のサプリメントであるファイバーコン)およびメチルセルロースが含まれます。
膨張性下剤が効くには毎日使用する必要があります。 ラベルの指示に従ってください。 少しずつ服用しはじめ、同時に大量の水分を補給してください。便が柔らかく通過しやすくなるまで、3〜5日ごとに徐々に使用量を増やしてください。フルーツジュースに混ぜれば、飲みやすくなります。
始めから多い量で飲みはじめたり、あまりにも急に量を増やした場合、最初に腹部膨満やガスや痙攣からくる腹痛になるかもしれません。これらの症状は数週間以内に消失するはずです。
手術を受けており、排便のいきみを禁止されているなどで、医師がすすめる場合に限ってミネラルオイルを使用してください。ミネラルオイルは定期的に使用しないでください。 継続して使用すると、ビタミンA、D、EおよびKの欠乏症を引き起こす可能性があります。
浣腸は通常必要ありません。 体が自然に働くようにしていく方が良いです。
下剤と浣腸を長時間使用していた場合、医師は徐々にそれらの使用を減らすようすすめるかもしれません。 下剤や浣腸なしで生活するために体を訓練しなければならないかもしれません。 これは大量の繊維を食べること、膨張性下剤を使用すること、水を十分に飲むこと、運動をしたり、排便の時間をとることを意味します。 腸が正常に戻るまでには数ヶ月かかることがありますが我慢してください。心配なら医師に相談してください。
便秘の原因、症状の重症度、および他の治療法の有効性に応じて、医師は次のことをすすめるでしょう。
・症状を和らげるためのルビプロストンなどの処方薬
・腸 から大便を取り除く処置
・稀に、損傷した腸を取り除く手術
・便秘の原因を解決するための その他の治療法
子どもを助けるために保護者ができることはたくさんあります。
・ダイエット : 子どもが毎日飲む飲み物の量を増やすことから始めます。 シリアルを食べている赤ちゃんの場合、少しプルーンジュースを追加します。 年長の子どもの場合は、水をたくさん飲ませてください。 また、食事の繊維の量を増やし、排便を助けるために、プルーンジュース、シリアル、果物や野菜を与えます。 キャンディと精白された砂糖は与えないでください。
・排便訓練 : 子どもが排便の衝動を感じているようなら、トイレを教えてください。 毎日ほぼ同じ時間できれば食事後に、少なくとも10分間トイレに座らせることで定期的な排便習慣がついてきます。子どもがトイレに座っている間、床にしっかりと足が届いていているか確認してく下さい。そうでない場合は、足置きを置きます。子どもがトイレに座っている間に、絵本を読んだり、ラジオを聞かせたりするのもよいでしょう。
・ごほうびプログラムを開始する : ごほうびを与え始める。 計画通りトイレで座れた場合、大好きなごほうびを与えてください。排便した場合はさらに、ほめてごほうびを与えます。 ごほうびとして食べ物は使用しないでください。 幼い子どもたちは、シールなどを獲得ポイントにすることが好きです。 年長の子どもなら、ポイントをためて映画館や遊園地行きなど、より大きなごほうびに使うことなども一案です。
・薬 : 多くの下剤は子どもの便秘を治療するために利用可能です。 下剤の選択は、年齢および便秘の度合いによります。 医師に使用できる薬名を教えてもらってください。
場合によっては、便秘は合併症につながることがあります。特に慢性の(頻回な)便秘の場合は特にそうです。 考えられる合併症には、
治療をしないと、これらの合併症は重症になり、手術を必要とする可能性があります。便の中または上に血液や粘液が混じっている場合や、便が全くでない場合は、すぐに医師に相談してください。
・肛門裂傷(肛門周辺の皮膚の裂傷)
・糞便の嵌頓(ルビ)(便が大きくなりすぎて、自分では出せない場合)
・痔核
・直腸脱出(排便をしようといきむことで、腸の一部が肛門から押し出される場合)
症状は、成人の場合と同じです。多くの子どもは、数日おきに排便するのが普通です。 子どもが便秘になっているかどうかは、排便する頻度と、その難易度によって決まります。 便が柔らかく排便が簡単な場合は、数日間なくても心配しないでください。硬く、排便が難しい場合、便秘になりやすくなります。
・便秘は危険ですか?
・便秘は別の健康状態の徴候ですか?
・下剤を定期的に長期間使用してきました。 使用を減らすことができますか?
・赤ちゃんが便秘になっているかどうかはどうすればわかりますか?
・高繊維食品以外に、繊維摂取量を増やすために何ができるのでしょうか?
・便秘を治療し、予防するためのライフスタイルの変更はできますか?