記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは、紫色や赤紫色の隆起を引き起こし、皮膚にかゆみを感じる状態です。隆起の頂部は平坦で形状が不均一です。隆起部をよく見ると、白い鱗のようなものが見えることがあります。
扁平苔癬は、主に内側の手首、前腕、足首に影響を与え、頭皮、爪、口の内側、性器、肛門にも影響する可能性があります。 また、古傷にも出ることがあります。
性別や年齢を問わず誰でもかかる症状ですが、中年の人が最も多いです。
通常、かゆみを引き起こします。小さな隆起物が1つ以上現れ、数週間または数ヵ月間出続けます。隆起がなくなった後、皮膚に濃い茶色の部分が残ることがありますが、傷ではありません。ゆっくり消えたりすることもあれば、何ヵ月も残ることがあります。
・頭皮の場合:扁平苔癬が脱毛の原因となることがあります。
・爪の場合:脆くなり、爪が割れやすくなる可能性があります。
・口(頬の内側や舌の上)、肛門の場合:痛みやヒリヒリ感を引き起こすことがあります。 口の中の扁平苔癬は食事を困難にしたり、痛みを伴う傷の要因になったりします。
多くの場合は原因不明ですが、伝染性ではありません。またストレスに起因するものではありませんが、ストレスによって症状が悪くなることがあります。
一部の症例では、C型肝炎ウイルスとの関連性が指摘されており、場合によってはウイルスチェックのために血液検査を行う可能性があります。また特定の薬が扁平苔癬の原因となることがあるため、服用中の薬について医師に報告することが大切です。
医師だけが診断できます。場合によっては、血液検査や皮膚生検が必要な場合があります。生検では、紫色の隆起のうち1つから皮膚の一部を採取し、検査室に送ります。
殆どのケースにおいて、治療しなくても約1年後には治ります。
かゆみが強い場合は、かゆみと発疹を緩和する抗ヒスタミン剤が処方され、重度や隆起が多い場合は、コルチコステロイド薬が処方されることがあります。コルチコステロイド薬は、性器や肛門、口の扁平苔癬の治療で使用されます。ただし、多くの副作用があるので、服用する際は医師の指示に従ってください。
口の扁平苔癬でも症状が軽い場合は、治療を受ける必要はないかもしれません。口の痛みによる不快感を和らげるためには、口内洗浄もお勧めです。
紫外線療法(PUVA)やレチノイドを含むピルも、扁平苔癬の治療に有効です。レチノイドには多くの副作用があるため、 服用中は定期的な血液検査を受ける必要があります。
頭皮の扁平苔癬はすぐに治療する必要があります。治療しないともう髪の毛が生えてこない可能性があります。