肝硬変および門脈圧亢進症

2017/3/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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概要

肝硬変とは?

肝硬変を患っている人は、肝臓の細胞が損傷して修復できません。 肝細胞が死ぬと、瘢痕組織が形成されます。
この瘢痕組織が蓄積されると、血液は肝臓をうまく流れることができません。
通常、血液中の毒素や老廃物は、血液が肝臓を通過するときに濾過されます。 瘢痕組織によって血液が正常に流れない場合、血液は濾過されず、毒素や廃棄物は体内に蓄積する可能性があります。 深刻な症例では、肝硬変により昏睡および死に至ることさえあります。

門脈圧亢進症とは?

通常、血液は門脈と呼ばれる主要な血管によって肝臓に運ばれます。 肝硬変のために血液が肝臓に流れにくくなっている場合は、門脈の血液がよどみ、門脈内の圧力が上昇します。
この門脈の高い血圧は門脈圧亢進症と呼ばれています。

症状

肝硬変の症状は以下の通りです。
・食欲不振
・意図しない体重減少
・衰弱と疲労
・吐き気
・黄疸(皮膚と目が黄色くなること)
・暗褐色の尿
・手のひらが赤くなる(手掌紅斑)
吐血
・月経の問題(女性)
・精神的な混乱(集中できない、忘れっぽいなど)
・皮膚のかゆみ
・腹部の腫脹(腹部に溜まった体液によるもの)

原因

肝硬変の原因

肝硬変は、肝炎(肝臓の感染)または有害な化学物質を食べたり飲んだりすることによって引き起こされます。 肝硬変の最も一般的な原因は、大量のアルコールを飲むことです。 これはアルコール性肝硬変と呼ばれます。
大量のアルコールを飲む女性は、大量のアルコールを飲む男性よりもアルコール性肝硬変を発症するリスクが高い可能性があります。 あなたがアルコールを飲む場合、特に1つでも肝硬変の 症状が ある場合は、医師に、肝硬変の兆候をチェックしてもらうようにしてください。 また、定期的、長期的な飲酒とがぶ飲み(短い時間に大量のアルコールを飲む)のどちらも肝硬変を引き起こす可能性があります。

門脈圧亢進症の原因

血液が門脈を通って正常に流れることができない場合、血液は他の血管(多くは胃、食道および腸の血管)を使用して心臓に戻らなければなりません。 これらの血管は流れる血液量の増加のために膨張します。それらは静脈瘤と呼ばれています。 静脈瘤は壁が薄く、そのような高圧の血流に対処できないため、簡単に破れることがあります。破れた血管からの出血は重大かつ致命的になることもあります。 また、門脈が塞がれているため、血液中の毒素は肝臓で浄化されず、体内に留まります。

診断

肝硬変の診断

肝臓がどのように機能しているかを確認するため、検査が行われることがあります。 肝臓の生検をうける場合もあります。 生検では、非常に細い針を肝臓に刺し、検査用の小さな組織を取り出します。 医師は、腹部超音波を使用し、肝臓を観察します。

治療

ひとたび肝細胞が損傷したら、肝臓を修復したり、肝硬変を治癒するためにできることはありません。 治療は、肝臓へのさらなる損傷を回避し、合併症(破れた血管からの出血など)の予防および治療を目的とします。血管が破れるのを防ぐ薬が処方される場合もあります。 血管破裂予防の薬にはいくつかの副作用があり、誰もが服用できるわけではありません。 門脈圧亢進症がある場合、医師は血圧を下げる薬を処方することもあります。
薬では不十分な場合、破れた血管の止血のために手術が行われます。これは食道が胃につながる部位において、腫脹した静脈瘤への血流を遮断する方法です。 長いライト付きのチューブを口から胃に通し、膨張した血管にゴムバンドをかけたり、または硬化剤を注入し、それらを塞ぎます。
これがうまくいかない場合、門脈圧亢進症の人は、血液が肝臓を流れないように血管を接続する外科手術が必要になるかもしれません。 症例によっては、TIPS(経静脈的肝内門脈大循環短絡術)と呼ばれる別の種類の処置が行われることがあります。

予防

大量にアルコールを飲む人の場合、最も重要なことはアルコールをやめることです。 アルコールは肝臓を傷つけます。 薬やビタミン剤、漢方薬も肝臓に障害を与えることがあります。 抗生物質、避妊薬、さらにはアセトアミノフェン(商品名:タイレノール)などの市販薬など、薬を服用する前に医師に相談してください。
また、自分自身を大事にすることも重要です。 休息するとき、特に足が腫れている(むくんでいる)場合は、足を高くして寝ることを忘れないでください。 さらには、バランスの取れた食事を食べることです。その際、タンパク質と砂糖の量に注意する必要もあります。 さらに、塩分を控えることは、体液貯留と腫脹に効果的です。 特別な食事を必要とするかどうかについては、医師に相談してください。

医師に相談するための質問

・どのような治療法が最適ですか?
・どのようライフスタイルを変えたらいいですか?
・食事の内容を変えるべきですか?
・どのような運動が良いですか?
・服用を避けるべき薬はありますか?
・アルコールは少しは飲めますか?
・肝移植が必要ですか?
・肝硬変や門脈圧亢進症の原因は何ですか?
・手術を受ける必要がありますか?
・症状が悪化した場合、いつ連絡するべきですか?

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