卵巣嚢腫

2017/3/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

概要

卵巣嚢腫は、卵巣の中にできた液体で満たされた嚢(ふくろ)です。
卵巣嚢腫にはいくつかの種類がありますが、多くは排卵の結果で生じる機能性嚢胞と呼ばれる「非がん性」の嚢胞です。

症状

卵巣嚢腫には特に症状はありませんが、下記の症状が出た場合は医師に相談してください。
・腹痛
・腹部膨満感
・生理不順
・吐き気
・嘔吐
・少し食べた後の満腹感
・便秘

なお、更年期で閉経している、または生理がない場合は嚢胞がつくられることはありませんが、ほかの種類の卵巣嚢腫を形成する可能性はあります。

診断

医師は触診中に嚢胞を感知することがあります。嚢胞の可能性がある場合、超音波検査や症状があるかどうかによって、以下の検査が必要になるでしょう。

・超音波検査
超音波検査では、卵巣や嚢胞の大きさをみるために超音波を使って体内の器官を撮影します。痛みはなく、腹部または膣を通して卵巣をみることができ、30分ほどで検査は終了します。

・血液検査
嚢胞が「がん性」かどうかをみるために、血液中のCA-125と呼ばれるタンパク質を調べます。この検査では卵巣がんに罹患しているかどうかを正確に判断できるわけではありません。
正常なCA-125値は35未満ですが、卵巣がん患者の中には正常なCA-125値を有する人もいます。また、卵巣がんでなくても出産年齢の女性ではCA-125値が高くなることがあります。これらの理由から、CA-125の血液検査は卵巣がんの兆候や症状を示すか、または卵巣がんのリスクを高める遺伝子変異を有する女性にのみ推奨されます。

治療

卵巣嚢腫は約1〜3カ月で、時間の経過とともに自然に消失します。1〜3カ月後、嚢胞が小さくなったことを確認するために再検査します。
嚢胞が再発する場合は、避妊薬を服用して排卵しないようにします。排卵していない場合は嚢胞は形成されません。

治療法は、年齢、妊娠期間、嚢胞の大きさ、外観、症状などによって異なります。軽度の症状と嚢胞が機能する期間が発生する場合もありますが、手術を受ける必要はありません。ただし、超音波検査で卵巣嚢腫のようにみえない場合でも、嚢胞が何回かの月経期間を経ても消えずに大きくなっていれば、手術で取り除くことがあります。

外科手術が必要な出産年齢の女性では、多くの異なるタイプの卵巣嚢腫がみられますが、幸いにもほとんどが良性(非がん性)です。もし閉経期を過ぎて卵巣嚢腫がみられるなら、手術での摘出がすすめられます。50〜70歳の女性では 卵巣がんのリスクは高くなります。

また、早期に卵巣嚢腫と診断された女性は、後に診断された女性よりもはるかに予後が優れているという報告もあります。

嚢胞が小さく、超音波検査で良性にみえる場合は「腹腔鏡検査」を行います。腹腔鏡検査ではおへその下を小さく切開して、腹腔鏡と呼ばれる細い望遠鏡のような照射付き器具を腹部に挿入し、嚢胞を摘出します。
嚢胞が大きすぎて腹腔鏡で除去できない場合や疑わしい場合は「開腹手術」を行います。開腹手術は全身麻酔下で、嚢胞または影響を受けた卵巣および卵管の全体を摘出します。
ここで摘出された嚢胞はがん性かどうかを調べるために検査します。がん性であれば、卵巣、子宮、大網膜といくつかのリンパ節を取り除く必要があります。

なお、手術前に医師に相談することが重要です。手術のリスク、入院期間や日常生活に戻るまでの期間について説明を受けてください。

医師に相談するための質問

・超音波検査は必要ですか?
・どのような卵巣嚢胞がありますか?
・卵巣嚢腫が機能性嚢胞なら、どのような治療が必要ですか?
・卵巣嚢胞が悪化しているかどうかはどうしたらわかりますか?
・別のタイプの嚢胞がある場合の治療法は何ですか?また、手術が必要でしょうか?
・将来、別の卵巣嚢胞の危険性がありますか?
・更年期ですが、卵巣がんのリスクはありますか?

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