記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頭痛には、さまざまなタイプがあります。最も一般的なのは、片頭痛と緊張性頭痛です。そのほかに群発頭痛と薬剤乱用頭痛があります。
ほとんどの人は、頭の両側または周辺の一定した鈍い痛みを訴えます。これが緊張性頭痛です。なかには、顎や首の筋肉が緊張するという人もいます。
緊張性頭痛は通常、徐々にゆっくりと始まります。この頭痛は、「ストレス頭痛」とも呼ばれており、ストレス性の頭痛は緊張性頭痛に含まれます。緊張性頭痛は、軽度から重度のものまでさまざまです。
群発頭痛は、まれな種類の頭痛です。毎日同じ時間に1回または複数回起こり、「群発期」が終わるまで最大12週間に及ぶというのが典型的な症状です。群発頭痛は男性に多く、突然始まります。痛みは片目の後ろやその周辺にあり、非常に重篤です。痛む側の目と鼻が赤く腫れて鼻水が出ることがあります。
群発頭痛は数分または数時間続きますが、45〜90分間のものが多くみられます。発症する時間帯は、午前1時から午前2時の間、または午後1時と午後3時、午後9時頃のケースが多いです。群発期は通常4〜8週間続き、季節的に春や秋に起きる傾向があります。治癒後は、数週間、数ヶ月、さらには数年間発生しません。
投薬過多の頭痛とも呼ばれる薬剤乱用頭痛は、ほぼ毎日起こります。これは鎮痛薬の過剰使用によって引き起こされます。薬剤乱用頭痛は、主に早朝に始まり、痛みは日によって違うことがあります。薬剤乱用頭痛を持つ人は悪心、不安、過敏症、うつ病または睡眠障害を有する可能性があります。
緊張性頭痛は、次の原因によって引き起こされる可能性があります。
・ストレス
・特定の食品および飲料
・睡眠の問題
・副鼻腔およびアレルギーの問題
・顎の締め付け、姿勢の悪さによって引き起こされる筋緊張
・うつ病
・不安感
・女性のホルモン変化
・特定の薬
群発頭痛は、ほかの病気や脳の病気とは関連していないようです。群発頭痛を引き起こす要因には、以下のものがあります。
・特定の投薬(ニトログリセリンなど)
・多量の喫煙
・飲酒
・不規則な睡眠リズム
・異常なホルモンレベル
・視床下部の問題
片頭痛(アスピリンやアセトアミノフェンなど)の処方薬と市販薬は、あまりにも頻繁に摂取すると薬剤乱用頭痛を引き起こす可能性があります。
薬剤乱用頭痛になった場合、これらの薬は週に2日以上服用してはなりません。鎮静剤、精神安定剤、エルゴタミン薬も薬剤乱用頭痛を引き起こす可能性があります。これらの薬の服用を止めるか、量を減らすことができるかを医師に相談してください。
検査や症状の説明によって、頭痛の種類がわかります。頭痛についての説明は医師の診断で役立つので、発症した時間とパターンに関する記録をとっておいてください。これらの記録は、頭痛の改善方法を見つけるのにも役立ちます。
また、頭痛があった際に家族やほかの人から、どのように見え、行動していたかを医師に伝えることも改善につながります。
なお、血液検査、X線検査、脳スキャン(CT、MRI)などは、基本的に頭痛を診断するためには行われません。
最も一般的な頭痛の治療法は、休息をとることと市販の鎮痛薬(NSAIDs)の服用です。
市販の鎮痛剤を選ぶときは、副作用の可能性や他の薬との相互作用に関する添付文書をチェックし、その指示に従ってください。不明な点があったら医師に相談してください。
また、子どもにはアスピリンを服用させないでください。アスピリンは、18歳未満の子どもにライ症候群と呼ばれる重篤な病気を引き起こすことがあります。
頭痛が始まったとき、痛みが増す前のまだ軽度なときに頭痛を治療するのが最もよい方法ですが、うまくいかない場合は医師に相談してください。頭痛薬が処方されるでしょう。
頭痛を予防するための処方薬があります。この薬は毎日服用しなければなりません。薬には以下のものがあります。
・三環系抗うつ薬(アミトリプチリンおよびノルトリプチリン)
・抗てんかん薬(バルプロ酸、ガバペンチンおよびトピラメート)
・ベータ遮断薬(プロプラノロールなど)
これらの薬は頭痛の緩和に効果的ですが、すべての頭痛を改善するものではありません。また、薬が効くには6週間以上かかることがあります。どの薬が適切かについては医師に相談してください。
なお、服用する際は、医師の指示に従うことが重要です。頭痛を発症した場合に備えて、常に薬を携行するようにしてください。
薬を飲むことのほかに、食事を定期的に食べるなど規則的な生活を心がけることでも効果があります。ほかに頭痛を和らげるためにできることは、次のとおりです。
・頭や首にヒートパックやアイスパックをあてる
・熱いシャワーを浴びる、毎日同じ時間に起きて寝る
・十分な休息や睡眠を取る
・ストレスを発散する(短時間の散歩や休暇をとるなど)
・朝食を抜かない(空腹は典型的な頭痛の原因です)
・定期的にいろいろな運動をする(週に4〜6回、30〜60分間の運動)
・ヨガ、瞑想、リラクゼーション療法
頭痛緩和のための代替療法(鍼治療やカイロプラクティック治療など)を試している患者さんもいます。こういった代替療法を検討している場合は、潜在的リスクと利点について医師に相談してください。
なお、頭痛の軽減のためにハーブサプリメントを使うことを検討している場合は、製品の安全性がテストされているかどうかに注意してください。ハーブサプリメントを服用する前、特に処方薬を服用している場合は、医師に確認してください。
心身リラクゼーション療法は、心と体と行動のつながりに焦点を合わせる治療法です。例としては、瞑想、筋肉弛緩、催眠、バイオフィードバック、認知行動療法と呼ばれるカウンセリングがあります。
・バイオフィードバック
自分の考えを使って体をコントロールするテクニックです。身体および精神的な健康問題を治療するのに効果的です。
・認知行動療法
会話療法とも呼ばれます。問題を引き起こす前にそれらを止めることができるように、否定的な考えを特定するのに役立ちます。認知行動療法は、自尊感情やうつ病の治療によく使われますが、一般的なストレスを緩和するのにも効果的です。
はい。研究によれば、心身リラクゼーション療法は特定の種類の頭痛薬と同様に作用することが示されています。
自分ひとりでも、心身リラクゼーション療法を実施することができます。
・瞑想
目を閉じて、呼吸やポジティブ思考に焦点を当てて深呼吸してください。
・リラックス
筋肉の緊張している部分に高温または低温のものをあてます。温熱が効果がある場合は、熱いシャワーを浴びるか入浴してください。または、温熱パッド(低温に設定)または湯たんぽを試してみてください。冷たいものが効果がある場合は、(肌を保護するために)薄いタオルで包まれた冷湿布を試してください。
・側頭や首や肩の筋肉のマッサージ
マッサージは筋肉をリラックスさせるのにも効果的です。
ほかにも、催眠やバイオフィードバックなど別のタイプの心身療法の専門家のアドバイスが必要な場合があります。心身リラクゼーション療法をしたい場合は、医師に相談してください。専門家を紹介され、ストレスに対処するためのアドバイスをもらうこともできます。
群発頭痛にはいくつかの治療法があります。医師と協力して適切な治療法を選択し、薬の副作用について話し、処方薬の服用スケジュールを立てることが重要です。
群発頭痛の開始時に、マスクを介して純粋な酸素を吸入すると、発症を防ぐことができます。しかし、頭痛は非常に早く発症するので、これは必ずしも実用的ではありません。
また、おそらく2つの薬を処方されることになります。
まず、頭痛の回数を減らすために、群発期中に1つの薬を定期的に服用します。効果を得るためには、発作が始まるときに血中の薬物のレベルが高くなければなりません。
群発頭痛が発生すると、もう1つの薬を服用して痛みを和らげます。この薬は頭痛や重症度を大幅に軽減します。症状が出るのが早すぎると、効果を得ることができません。
なお、発症するとすぐにこの薬を飲める準備をしておくことが重要です。頭痛や薬について家族に教えて、発症したときに手伝ってもらうようにお願いしておくといいかもしれません。
ただし、経口薬は群発頭痛の軽減への効きが遅いです。このため、鼻スプレー、注射または直腸坐薬として投与する薬を処方することがあります。ほかにも鼻の局所麻酔で治療する場合もあります。
群発頭痛は非常に痛いですが、適切な治療をすれば、ほとんどの人がうまく対処できます。医師と協力して適切な治療法を見つけることが重要です。
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