記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胎便吸引症候群(Meconium Aspiration Syndrome;MAS)は、新生児が胎便(赤ちゃんの最初の便)と羊水(胎児を取り囲む体液)を吸うと起こります。 それは、分娩中、または出産前後に起こる可能性があります。
胎便吸引症候群の新生児は呼吸困難で、非常に速く息を吐いたり(頻呼吸)、息をするときに喘いだり、余分な筋肉を使って息を止めることがあります。この場合、皮膚が酸素の欠乏により青みがかっていたり、または胎便染色で緑がかっていることがあります。
または、異常な低血圧になっている場合もあります。
胎便吸引症候群は、赤ちゃんの最初の便(胎便)、または、羊水(母親の子宮にいる間に赤ちゃんを取り囲む液体)によって引き起こされます。赤ちゃんがいずれかを、分娩時または、出産前後に肺に吸入すると危険です。
胎便吸引症候群の兆候はいくつかあります。 出生前に、胎児モニターが低い心拍数を示したり、出産中または出生時に、胎便が羊水の中にあったり、乳児へ付着しているのがみられる場合などです。
赤ちゃんが呼吸困難の場合、医師は胸を聴音して、血液ガス分析を行います。胎便吸引症候群では、低血液pH、低酸素、二酸化炭素の増加を示します。そのほかに、胸部X線撮影を行い、赤ちゃんの肺に斑状または縞状の領域が見つかる可能性もあります。
早期発見が重要です。 赤ちゃんがストレスを受けているかどうかを胎児モニターで検出できます。医師が赤ちゃんが胎便を吸うおそれがあると判断した場合は、特別なケアチームを出産中に配置させるべきです。 赤ちゃんが生まれた後、活発に泣いている場合は、治療は必要ありません。
しかし、赤ちゃんが呼吸困難の場合、吸入胎便量を減らすためにできるだけ多くの胎便をすばやく取り除く必要があります。 医師は、赤ちゃんの口、鼻、喉から胎便を吸い出した後、赤ちゃんの喉の下に喉頭鏡と呼ばれるチューブを気管に挿入しそこから胎便を取り除きます。
赤ちゃんが呼吸していない、または心拍数が低い場合は、酸素マスクにより肺を膨らませ、呼吸を助けることができます。
この場合、赤ちゃんは新生児集中治療室(NICU)で密に観察される必要があるかもしれません。 NICUでは、以下の治療を受けることができます。
・酸素療法
・感染症を治療するための抗生物質
・サーフェクタント(肺が適切に膨張するのを助ける物質)
・体温を制御するための保育器
・十分な酸素摂取量があるかの(頻繁な)確認
医師の助言を受け、妊娠中に自分自身と赤ちゃんををケアすることで出産時の胎便が起こす問題を防ぐことができます。妊娠中に喫煙すると、胎便吸引症候群を持つ赤ちゃんができる可能性が高くなります。胎便吸引症候群を引き起すその他の要因には、以下があります。
・40週を超える妊娠
・母親(妊婦)に糖尿病や高血圧がある
・長時間の分娩など困難な出産
・子宮内の乳児への供給酸素の減少
・子宮内の成長不全
親にとって胎便吸引症候群は非常に恐ろしいものかもしれませんが、ほとんどの赤ちゃんはかなり短期間で良くなります。 頻呼吸は数日間続くかもしれませんが、症状が長引くことはまれです。 しかし、胎便吸引症候群を経験した乳児は、「反応性気道疾患」と呼ばれる喘息様疾患のリスクが高まります。これは、喘鳴、咳、および息切れを引き起こす可能性があります。
赤ちゃんは自宅で特別なケアを必要としますか?
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