肺高血圧
2017/4/5
概要
肺高血圧症とは、肺に血液を運ぶ血管の血圧が上昇する疾患で、健康上の深刻な問題となります。肺動脈は心臓から肺まで血液を運ぶ血管です。 これらの動脈が狭くなったり、損傷したりすると、肺に血液を押し込むことがより困難になるため、心臓には負担がかかります。 狭窄した動脈では血圧が上昇し、心臓の右側(右心)と肺に血液を運ぶ血管(肺動脈)の高血圧を引き起こします。
症状
肺高血圧症に特定の症状というのはありませんが、多くの人では初期に労作時の息切れ、易疲労感(つかれやすさ)、倦怠感などで発症します。病気が悪化するにつれて、さらに以下のような症状が出ることもあります。
・安静時の息切れ
・咳、喀血
・めまい
・失神
・胸の痛みや圧迫感
・動悸
・身体、特に下肢のむくみ
原因
肺高血圧症を引き起こす原因は多数ありますが、原因がわからないこともあります。 症原因不明の場合、特発性肺高血圧症(IPH:
Idiopathic pulmonary hypertension)と呼ばれます。
別の病気が原因で肺高血圧症が発症するとき、それは二次性肺高血圧症と呼ばれます。 肺気腫、慢性気管支炎、肺線維症や睡眠時無呼吸症などの呼吸障害は、二次性肺高血圧症の一般的な原因です。 その他の原因としては、次のようなものがあります。
・うっ血性心不全
・先天性の心臓障害
・慢性肺血栓塞栓症(肺動脈の血栓)
・後天性免疫不全症候群(AIDS)
・肝硬変 (慢性肝疾患)
・SLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原病
・特定の薬
診断
肺高血圧症の兆候は、他の多くの疾患の兆候と類似している可能性があります。 これにより、診断が難しくなります。 診断にあたってはほとんどの場合、肺動脈の血圧を推定し、心臓と肺がどれくらいうまく機能しているかを調べるため何種類かの検査を実施します。 これらの検査には、胸部X線検査、肺機能検査と呼ばれる呼吸検査、および心エコー検査が含まれます。 また、別の病気が肺高血圧症の原因になっているかを調べるために、他の検査を行う必要があるかもしれません。
治療
肺高血圧症の原因がわかっている場合は、原因を治療することで症状が改善する可能性があります。 ライフスタイルの改善は症状を緩和するのにも役立ちます。 あなたが喫煙しているなら止めてください。 健康な体重を維持し、栄養価の高い食事を食べ、ストレスを減らしてください。 いびきが大きかったり、睡眠時無呼吸の他の兆候があったりする場合は、睡眠テストを受けるべきか医師に相談してください。 医師には、健康を維持できる方法を指南してもらってください。酸素を吸入すると呼吸量の不足を補うことができます。 肺高血圧症の治療用の医薬品には、以下のものが含まれます。
医師があなたにとって適切な薬を処方してくれるするでしょう。
・エンドセリン受容体拮抗薬
・ホスホジエステラーゼ-5阻害剤
・プロスタサイクリン
・抗凝固剤(血液希釈剤)
・カルシウムチャネル遮断薬
・利尿薬(ウォーターピル)
・ジゴキシン など
なお、症例によっては、手術を必要とします。
医師に相談するための質問
・肺高血圧症の原因はなにかありますか?また、それは治療可能ですか?
・どのような検査が必要ですか? それ保険適用内ですか?
・運動をしてもいいですか? どのような運動ができますか?
・他の疾患があります。 肺高血圧症の治療は他の疾患の治療に影響を及ぼしますか?
・手術が必要ですか? 必要な準備はありますか?