乗り物酔い

2017/4/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

概要

乗り物酔いは、車、ボート、電車、飛行機、遊園地で突然起こる気分の悪化です。ほかにもゲームや回転するものを見たときなど、非乗り物起因の酔いを感じる人もいます。症状は警告なしで現れ、すぐに悪化する可能性もあります。
乗り物酔いは生命を脅かす症状ではありませんが、旅行中に気分を害することがあり、予防、回避、軽減するためには事前対策が必要なことがあります。乗り物酔いのきっかけには、以下のものがあります。
・揺れ(ボートなど)
・飛行機など空気の乱気流
・車の後部座席(地平線が見える座席)
・車中で何かを読む
・車中の空気
また、高齢者や妊娠中の女性、5~12歳の子どもの多くが乗り物酔いを起こします。動きが止まると、乗り物酔いも止まり、徐々に気分が良くなります。まれに、内耳の問題(体液の蓄積や耳の感染症)によって引き起こされることもあります。パーキンソン病のような深刻な病気の場合も、頻繁に起きる可能性があります。

症状

乗り物酔いの症状は不快感です。
旅行中の揺れは、胃に違和感を感じさせるかもしれません。典型的な症状は、悪心、嘔吐などで、ほかの症状としては肌が青ざめる、頭痛、冷や汗、めまい、神経過敏などがあります。

原因

乗り物酔いは、身体の感覚部分(目、耳、感覚神経)とほかの部分との不均衡によって引き起こされます。たとえばゲームをプレイするとき、視界ではあなたが動いていることを感じるかもしれませんが、実際の身体は動いていません。この不均衡が、酔いを感じさせる原因です。

診断

旅行中の気分の変調に気づく場合、乗り物酔いの可能性があるかもしれません。繰り返し乗り物酔いを経験する場合は、医師に相談してください。治療前に、病歴の問診や耳の内部や目を検査します。

治療

特定の医薬品で、乗り物酔いの症状を和らげることができます。
スコポラミンは、眠気を誘発せずに吐き気や嘔吐を緩和するのに役立ちます。スキンパッチが最適です。
抗ヒスタミン剤として知られているアレルギー薬も、吐き気や嘔吐の治療に有効です。しかし、基本的には眠気が現れます。非眠気の抗ヒスタミン剤は、乗り物酔いの治療や予防に有効ではありません。
鎮吐薬も、乗り物酔いの吐き気や嘔吐を和らげる薬です。
これらの薬の中には、処方箋や店頭で入手できるものがあります。医師に相談して、あなたにはどれが合っているかを判断してください。旅行前に服用するとより効果的です。吐き気が始まると少ししか物が食べられませんが、プレーンクラッカーと透明な炭酸飲料(ジンジャーエールが一番です)が吐き気の緩和に効果的です。

予防

旅行で乗り物酔いをするとわかっているなら、以下のような、症状の防止や緩和のための措置があります。
・旅行の1~2時間前に酔い止めの薬を飲む
・正しい座席を選ぶ
車内では助手席、船では中心点、 飛行機では翼の位置、列車では前方向きの窓の近くが最善です。これらの位置では地平線が見え、揺れがより少なくなります。クルーズ船の場合は、水面に最も近い船の正面または中央にキャビンを予約してください。
・空気をたっぷり吸う
暑い日に車に乗っている場合は、空調が整っているか確認してください。もっと空気が必要だと感じるときは窓ガラスを下げます。飛行機の場合は空調用換気口を手前に向け、窓で覆われた船の場合は窓の近くに座ってください。
・できるだけ酔う状況を回避する
たとえば、スピードボートの揺れや波で具合が悪くなると知っているなら、避けるか、事前に薬を飲んでください。
・車、飛行機、船で携帯電話やタブレットを見ず、窓から地平線や遠くの場所を見る
・めまい、吐き気、頭痛を感じ始めたら横になる
・旅行中に重い食事を食べない
マッシュポテトのような柔らかく普通の食べ物を少量とるようにして、旅行の直前や途中で脂っこいもの(あるいは刺激物や酸っぱい物)を食べないでください。
・たくさん水を飲み、飲酒しない
・旅行前に十分な睡眠をとる
・具合が悪くなる特定のにおいを極力避ける
タバコの煙も含まれます。喫煙者の場合、旅行前に喫煙しないでください。
・圧力帯などの代替療法
使用に関しては、医師に相談してください。これらのブレスレットのような製品は、手首に圧力をかけて吐き気や嘔吐を軽減することが報告されています。
なお、乗り物酔いの症状が数日以内に治まらない場合は、医師に相談してください。

関連知識

乗り物酔いになりやすい人

事前対策は、乗り物酔いの最善の対処法です。軽度の場合、治療薬で改善する可能性はより高くなります。乗り物酔いするとわかっている場合は、食事、休息、回避、座席選択などで対処してください。

医師に相談するための質問

・吐き気や嘔吐が起こった後、酔い止めの薬が有効ですか?
・乗り物酔いがより深刻な病気の兆候かどうか、どのように診断しますか?
・酔い止めの薬は妊婦にも安全ですか?
・母乳育児の場合、スコポラミンを服用できますか?
・スコポラミンはほかの薬と併用できますか?

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