流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
2017/4/5
概要
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、耳下腺炎の一般的な名称で、耳下腺(耳と顎の間にある、唾液をつくる腺)を腫脹させるウイルス感染症です。深刻な場合、ほかの臓器に影響を与える可能性があります。ワクチンを受けていない2~12歳の子どもが最もかかりやすいですが、どの年齢でもかかることがあります。
症状
最も顕著な症状は、腫れた唾液腺によって引き起こされる顔面腫脹、すなわち膨れた頬です。
この腫れは非常に痛いことがあり、通常、罹患後2日目に発症し、5〜7日間続きます。
・顔の痛み
・最初の数日から2〜3日間続く39〜40℃の高熱
・寒気
・食欲不振
・頭痛
・喉の痛み
・喉仏や顎の腫れ
・片側性の難聴
医師に診てもらうべき時期
治療薬はありませんが、通常は2週間以内に自然に治ります。また、ウイルス感染のため、抗生物質での治療もできません。
まれに、流行性耳下腺炎は身体のほかの部分に広がり、深刻な病気(睾丸、卵巣、膵臓、脳の腫脹や、難聴、髄膜炎など)につながる可能性があります。
以下のような自覚症状があれば、医師に相談し、治療を受けてください。
・重度の頭痛
・肩凝り
・目の赤み
・眠気
・腹痛
・嘔吐
・精巣の痛み、しこり
また、妊婦の場合は流産を引き起こす恐れもあります。妊娠中に流行性耳下腺炎にかかった可能性のある女性は、症状がなくても医師に相談してください。
原因
流行性耳下腺炎の原因は、感染した唾液によって広がるウイルスです。一般的な風邪のように広く流行し、例えば、感染者が近くでくしゃみをしたり、感染者が触れたものに触ってしまったり、予防接種を受けていない場合に感染することがあります。通常、感染してから12〜24日間は潜伏期間のため、症状が現れません。
治療
あなたや子どもが耳下腺炎に罹患している場合、行うべき唯一のことはそのまま経過を見守ることですが、不快感を和らげる方法もあります。以下を参考にしてください。
・腫れた頬に氷やヒートパックを当てる
・イブプロフェン、アセトアミノフェンで痛みや腫れを緩和する
ライ症候群のリスクのため、18歳以下の子どもや10代にはアスピリンを与えないでください。 ライ症候群は深刻な病気であり、死に至ることがあります。
・十分な水分を補給する
・多くの咀嚼を必要としない柔らかい食べ物を食べる
・酸性食品や柑橘類など唾液を作る食品を避ける
・暖かい塩水で一日に数回うがいをする
・棒つきアイスキャンディを食べて喉を冷やす
・(睾丸が腫れている場合、)運動用サポーターで陰嚢を支え、アイスパックで痛みを軽減する
無精子症などの病気を引き起こすリスクは非常にまれです。
・発症後最低5日間は、公共の場所や緊密な接触を避ける
最も感染させやすい期間になります。
なお、流行性耳下腺炎を一度患った人は、免疫ができるため、再発することは基本的にありません。
予防
MMRワクチン(流行性耳下腺炎、はしか、風疹用のワクチン)によって、80~90%の人が流行性耳下腺炎を予防できます。1回投与より2回投与が効果的です。
MMRワクチンは通常、12〜15ヶ月齢の乳児に投与されます。未接種の子どもの場合、4~6歳、または11~12歳の間に接種することが多いですが、受けるのに遅すぎることはありません。あなたが公共施設や医療分野で働いており、未接種の場合は予防接種を受けるべきです。ワクチン接種を受ける必要があると思う際は、医師に相談してください。
医師に相談するための質問
・子どもの不快感を和らげるために、何ができますか?
・どのくらい感染期間は続くでしょうか?
・どのくらいの期間、子どもを自宅待機させなければならないのですか?
・合併症のリスクがありますか?
・流行性耳下腺炎で無精子症になりますか?
・子どもはすぐに予防接種を受けるべきですか?
・子どもから感染しなくなるまで、ほかの家族から隔離すべきですか?
・気分が悪くなったら、いつ医者を受診すればいいですか?
・予防接種を受けていなければ、ワクチン接種すべきですか?