多発性骨髄腫

2017/4/5

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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概要

多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)とは、骨髄の癌の一種です。骨髄は、新しい血球が作られる骨の内部の組織です。多発性骨髄腫は、骨髄の中の形質細胞という特定の血液細胞が無限に増殖するようになったときに発生し、これにより異常な形質細胞が一緒に腫瘍を形成します。そして周りの造血細胞を障害し、身体に必要なほかの血液細胞を作れないようにします。

症状

多発性骨髄腫の症状には、以下のものがあります。
・骨の痛み(重荷背中、肋骨、腰)
・頻繁な骨折
・便秘、排尿の増加
・脱力感と疲れ
・混乱

原因

多発性骨髄腫の原因は現在不明です。 通常、60歳以上の人々に発症し、女性よりも男性がややかかりやすいといわれています。家族で遺伝するケースもあります。農業や石油産業の労働者は、化学物質を浴びることで発症しやすくなるという研究もあります。

診断

多発性骨髄腫の診断には、複数の検査が用いられます。まずX線では、骨損失の領域を特定します。また何種類かの血液検査を通じて、貧血かどうか、血液中のカルシウム濃度が高すぎないか、腎臓がうまく働いているかを確認することがあります。
多発性骨髄腫が後期段階にある場合は、より多くの検査が必要な場合があります。場合によっては、磁気共鳴画像スキャン(MRIスキャン)を行い、多発性骨髄腫が背骨にあるかどうかを確認することがあります。
そして、多発性骨髄腫の唯一の確認方法として、骨髄吸引があります。針を使って骨の内部の組織の非常に小さなサンプルを採取する方法です。少し痛みを伴いますが、その後は特に注意する必要はありません。

治療

現在、多発性骨髄腫の治療法はなく、鎮痛薬や、異常細胞を破壊し病気の発症を遅らせる化学療法が実施されています。骨折あるいは血球数が少ない、感染や腎臓の損傷がある場合は治療も必要です。治療をしても症状が悪化することもあります。多発性骨髄腫の治療に最もよく使用される3つの薬は、メルファラン(化学療法薬)とプレドニゾン(ステロイド薬)とボルテゾミブ(分子標的薬)です。
多発性骨髄腫の場合は、活発に活動してください。活動的でいれば、血液だけでなく骨にカルシウムが保持され、骨を強く保てます。また、バランスのとれた食事をすることも大切です。

副作用

ほとんどの癌薬と同様、副作用があります。病院では、月に1回程度血液検査を実施するでしょう。
メルファランは癌細胞を殺す際、良い細胞も殺します。副作用として髪の一部を失うかもしれませんが、化学療法をやめた後は元に戻ります。しかし、熱、出血(鼻血、出血性歯肉や重度の挫傷)、皮膚発疹、咳がなくならない場合は、すぐに医師に相談してください。これらはメルファランの重大な副作用の一部です。また服用により赤ちゃんに害を及ぼす可能性があるため、妊娠してはいけません。
メルファランとプレドニゾンの併用療法でも効果がない場合は、ほかの治療法を検討することがあります。例として、ほかの医薬品、放射線治療または骨髄移植があります。

医師に相談するための質問

・可能な限り健康でいるためには何ができますか?
・非常に痛みを感じています。痛みを止めるために服用できるものはありますか?
・多発性骨髄腫はどれくらいの期間生存できますか?
・頻繁に鼻血が出ます。止めるために何ができますか?
・多発性骨髄腫は私の子どもが罹患しやすいですか?
・若い頃、たくさんの化学物質を扱っていました。多発性骨髄腫のスクリーニングを受ける必要がありますか?

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