睡眠中のいびき、突然とまる呼吸…睡眠時無呼吸症候群に要注意!

2017/4/17

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

「寝ている間、凄いいびきかいてたよ!」
「大丈夫?いびきが途中でとまってる感じがしたけど…」
なんていわれたことはありませんか?
日中、猛烈な眠気に悩まされていませんか?

もしかしたらそれ、「睡眠時無呼吸症候群」かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は仕事の妨げになるだけではなく、心不全や脳卒中、さらには交通事故など、あなたの命に重大な影響を及ぼす恐れのある病気です。

ということで今回の記事では、
睡眠時無呼吸症候群の症状や診断方法、治療法など医師監修の情報をお伝えしていきます!

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睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に咽喉が狭くなったり閉じたりし、繰り返し呼吸を中断してしまう深刻な睡眠障害です。呼吸が中断することで血液の酸素レベルが低下し、呼吸困難になります。これにより睡眠の質が悪くなり、日中の眠気が深刻になります。

恐ろしいことに、こうした呼吸困難の状態に患者本人が気づかないケースは多々あります。そのため、多くの場合はパートナーや家族の指摘によって判明するのが実情です。

睡眠時無呼吸症候群の症状は?

睡眠時無呼吸症候群の主な症状は以下のとおりです。

いびき

睡眠時無呼吸症候群はひどいいびきを繰り返します。呼吸が止まり完全に静かになる直前、いびきの音はますます大きくなります。呼吸が止まってから何秒かしたら、再び大きな鼻息かあえぎ声を出し始めます。

睡眠中に呼吸停止がとまる

一度に10秒ほど続くケースがほとんどです。軽度の睡眠時無呼吸症候群の場合は1時間に5~15回ほど呼吸停止し、症状が普通程度の患者は15~30回、重度の患者は30回以上も呼吸が停止します。これらの短い呼吸停止は、毎晩400回まで発生することがあります。

上記2つの症状のため睡眠の質が低下し、睡眠中に十分な酸素が取り入れられないことによって下記のような症状が出現します。

・眠った感じがしない、寝起きが悪い
・夜間の頻尿
・昼間の猛烈な眠気
・朝の頭痛
・集中力の低下や物忘れ
・気分の変化
・性欲の低下

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、
・閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
・中枢性睡眠時無呼吸
の2つのタイプがありますが、閉塞性睡眠時無呼吸のほうが一般的です。

それぞれのタイプによって、無呼吸になる原因は異なります。

閉塞性睡眠時無呼吸の場合

首や喉回りに脂肪がついたり、喉の筋肉が弛緩し舌根が落ちたり、扁桃が肥大するなどして上気道が閉塞することで起こります。閉塞性鼻炎などによって気管が閉塞することが原因となることもあります。

中枢性睡眠時無呼吸の場合

中枢性睡眠時無呼吸はあまり一般的ではありませんが、このタイプの睡眠時無呼吸は中枢神経系の機能に関連しています。このタイプの場合、呼吸するために使用する筋肉は脳からの「動け」という信号を受け取っていません。脳が信号を送っていないか、中断されてしまっているのです。

睡眠時無呼吸症候群にかかりやすいのはどんな人?

30歳~65歳までの太りすぎの男性は、睡眠時無呼吸症候群となる可能性が最も高いです。なお、睡眠時無呼吸症候群は女性ではあまり一般的ではないようです(一部の妊婦さんは発症することがあります)。

ただ、扁桃やアデノイドが拡大している子供も発症する可能性があります。

妊娠中の女性も要注意!

もし妊娠中にいびきをしていたら注意が必要です。なぜなら、妊婦さんも睡眠時無呼吸症候群を発症するケースがあるからです。

妊娠中にエストロゲンの値が高まることで、気道とつながる粘膜組織の膨張が起こり、空気の流れが圧迫されることで睡眠時無呼吸症候群になってしまうことがあるのです。

これはどの妊婦さんでも起こりうる症状ではありますが、妊娠中に体重が増えすぎてしまった妊婦さんや妊娠後期の妊婦さんのほうが発症リスクが高いです。妊娠中に糖尿病になった妊婦さんも同様に発症リスクが高くなります。

睡眠時無呼吸症候群は身体への酸素供給を妨害するので、妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんの体内の酸素を奪い、危険を及ぼす可能性があります。事実、睡眠時無呼吸症候群の妊婦さんは、糖尿病と子癇前症という赤ちゃんにとって危険な病気を招く可能性が通常の人よりも高くなります。睡眠時無呼吸症候群だけで帝王切開になることはありませんが、子癇前症などの合併症が重篤になれば帝王切開が必要になることもあります。

睡眠時無呼吸症候群の診断方法

主な診断方法は以下のとおりです。

病院での問診

問診では、体感している疲れの程度や眠さの程度、就寝時の習慣などが尋ねられます。

レコーダーで睡眠時の状態を記録

血液酸素レベルや酸素レベル、いびき、心拍数、呼吸をセンサーで測定するレコーダーによっても診断することができます。レコーダーは専門クリニックでレンタルし、自宅のベッドでそのまま計測できます(詳しくは通院予定のクリニックや病院にお尋ねください)。

睡眠時無呼吸症候群の治療法は?

一般的な治療法はCPAP(継続的陽性気道内圧)と呼ばれる、寝ている間にマスクを着用する治療法です。

鼻と口の上にマスクを着け、機械が呼吸する空気の圧力を上昇させ、調節します。気道が睡眠中につぶれるのを防ぎ、無呼吸を制御することにより、睡眠の質が向上します。リフレッシュした気分で目を覚ますことができ、一日中集中力が下がりづらくなります。また、いびきも抑える効果があります。

なお、CPAPは妊婦さんでも安全に行える睡眠時無呼吸症候群の治療法です。

CPAP以外の治療法

閉塞性睡眠時無呼吸の軽度の症例の場合は、歯科用装具を用いて治療することができます。この装具は顎を前方に動かし、呼吸をしやすくするものです。
また、喉頭から扁桃組織を除去する手術が必要とされるケースもまれにあります。

睡眠時無呼吸症候群のセルフケア

以下のセルフケアは、睡眠時無呼吸症候群患者のほとんどに効果的なものです。軽度の睡眠時無呼吸症候群への処置は、たいてい生活習慣の改善から始まります。

アルコールや睡眠薬の使用をすべてやめる

睡眠薬やお酒は喉の後ろ側の筋肉を弛緩させ、呼吸を困難にしてしまいます。

・(喫煙している場合)禁煙する

・(肥満の場合)体重を減らす
医者と一緒に体重管理プランをつくってみましょう。健康的な体重でありつづけることは、睡眠時無呼吸症候群へのもっとも効果的な処置といわれています。

・仰向けではなく横向きで眠る

・鼻腔を開ける呼吸補助グッズを試す

・(鼻づまりが原因の場合)ゆすぎ洗い、加湿器、点鼻薬を試す
妊婦さんの場合、これらを使っても大丈夫かどうか医者に確認するようにしてください。

睡眠時無呼吸症候群は危険?

睡眠時無呼吸は未治療のまま放置すると、下記のような深刻な病気を引き起こす可能性があります。

・高血圧
・心不全
・脳卒中
・糖尿病

また、車を運転している間に眠ってしまい、交通事故に遭うケースもあります。睡眠時無呼吸症候群は、放置しないことが重要です。単にいびきがうるさいだけ、寝ているときに息が止まるだけと思わずに医者に相談してみましょう。

おわりに:当てはまる症状があれば早めに病院へ

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まってしまっているにもかかわらず、自覚症状のない患者さんが少なくありません。もしもご家族やパートナーにいびきや呼吸停止の指摘をされたり、あるいは日中の眠気や集中力の低下などの自覚症状があったりしたら、なるべく早く病院を受診するようにしてください。

睡眠時無呼吸症候群は、重大な病気や事故にもつながりかねない危険な症状ですが、幸い、CPAPなどの治療法での改善が期待できますよ!

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