ウォーキングのすすめ

2017/3/15

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

昨今のマラソンブームに、最近では街中を颯爽と走るランナーの姿をみかけます。健康にいいことをやってみたいけど走るのはどうも…という人におすすめなのがウォーキングです。
ウォーキングにはなにもいりません。お金もかからず、ただ歩くだけで健康が手に入る、まさに一石二鳥な運動です。

とりあえず歩いてみよう

ウォーキングから健康効果を得るためには、中程度の運動に相当する必要があります。散歩のときのペースよりは早くしないといけないということです。でも、初めは速く歩けることができるのが数分間であっても気にしないでください。中程度の運動を保っている限りは、10分間隔でもかまいません。最初からがんばりすぎないことが重要です。

歩くことは、お店や職場に歩いていく、エスカレーターでなく階段を使う、犬の散歩をするなどのさまざまな機会があると思いますが、一歩一歩を意識して歩くようにしましょう。

ほとんどの人は最低でも3000~4000歩は歩いているといわれているので、1万歩を1日で達成するのは思っているほど難しくないかもしれません。

ウォーキングの注意点

・始めはゆっくりとしたペースで歩き、徐々にペースを上げていくようにしてください。

・数分たって準備ができたと思ったところで、少し速く歩くようにしましょう。

・終盤に差し掛かったら、徐々にペースを落としてクールダウンしましょう。

・終わったら軽くストレッチをして、柔軟性を高めましょう。

・汗をかいていなくてもからだの水分は失われていきます。適度な水分補給を忘れないでください。特に夏場はこまめに水分補給をしましょう。

歩くことを習慣にしよう

歩く量を増やすために一番手っ取り早い方法は、歩くことを習慣にすることです。どのようにしたらウォーキングを日常生活に取り入れやすくなるか、考えてみてください。

たとえば、

・職場までの道のりの一部を歩く

・買い物に歩いていく

・エレベーターを使わずに階段を使う

・短距離の移動には車を使わないで歩く

・子供の送り迎えに歩いていく

・友人と一緒に歩く

・夕食のあとに家族や友だちと散歩に出かける

このように、日常生活のいろいろなところにウォーキングのチャンスが転がっています。

ウォーキングにバリエーションを増やす

充実したウォーキングをするために、わざわざ遠くまで出かける必要はありません。街中であっても、公園、川沿い、広場などのコースをみつけることで、有意義なウォーキングをすることができます。

ウォーキングをする団体に所属したり、グループでウォーキングをすることは、ウォーキングを始めるには効果的で新しい仲間をつくったり、モチベーションを維持するのに有効です。

自分なりの目標を定める

人は、10分間で1000歩は歩けるといわれています。
「万歩計」をつければ、楽しく歩数を管理することができます。万歩計をつけて、まずは一日に歩ける平均を調べ、徐々に歩数を増やしていきましょう。65歳以上の方は7000~8000歩を、65歳以下の方は10000歩をそれぞれ目安にしましょう。

最近では、携帯電話やスマートフォンを持ち歩くだけ、またはポケットやバッグの中に入れたままでも歩数と消費カロリー、距離、歩行時間、時速が自動で記録される「歩数計アプリ」がいろいろ出ているのでモチベーションもあがります。

有酸素運動で、最初の20分間は骨格筋のグリコーゲンを分解しますが、それを過ぎると脂肪組織の中性脂肪の分解が始まります。したがって、できるだけ20分以上ウォーキングをするようにしましょう。

ウォーキングの効果

最近の研究では、日常的なウォーキングは生活習慣病の予防、心臓病、2型糖尿病、喘息、脳卒中、がんなどの重大疾病にかかるリスクを減らすことができることがわかっています。このような効果は運動によるAMPK(AMPキナーゼ)、SIRT1、LPL(リポプロテインリパーゼ)などの分子の活性化を介しています。

また、定期的に骨格筋を動かすことで、変形性関節症などのロコモーティブシンドローム発症の予防や、うつ病、認知症の発症の予防につながります。

おわりに

いつもの道を歩くだけで、体重を減らしたり、筋力アップにつながり、より健康になることができるウォーキングは、運動量を増やしたいと思っているすべての世代にとって理想的な運動といえるでしょう。ほら、歩いてみたくなったでしょう?

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