記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
蕁麻疹は、大人ではアレルギーによって引き起こされるイメージが強いですが、大人と比べて体の機能が未熟な赤ちゃんは、アレルギー反応の他にもさまざまな原因で蕁麻疹を起こすことがあります。
赤ちゃんの蕁麻疹はどんな原因で起こるのか、蕁麻疹が出てしまったらどう対処すればいいのか、そして、どんなときに病院に行けばいいかの目安まで、赤ちゃんの蕁麻疹について詳しくご紹介します。
蕁麻疹は強いかゆみを伴う赤い発疹(皮膚の盛り上がり)で、周囲の皮膚との境界線がはっきりしています。突然現れるのが大きな特徴で、虫刺され程度から手のひらよりも大きなものまで、サイズはさまざまです。全身のあらゆる場所に現れる可能性がありますので、皮膚以外にも唇や口の中、喉の奥などにできることもあります。
0~1歳ごろの乳児よりも、2~3歳ごろの幼児に多く見られ、食べ物・薬・細菌やウイルスの感染・温度差などの刺激が原因で起こるアレルギー反応と考えられていますが、原因の特定は難しいことが多いです。ただし、食事の直後、15分~1時間程度で蕁麻疹が現れた場合には、食事の内容が原因である可能性が高いと考えられます。
とくに、体調を崩して抵抗力が下がっているときなどは、普段問題なく食べているものでアレルギー反応を引き起こすこともあります。他にも、急激な温度差によって起こる寒冷蕁麻疹や温熱蕁麻疹、日光に当たると引き起こされる日光蕁麻疹などがあり、さまざまな刺激が原因となる可能性があります。
蕁麻疹は、ほとんどが数分~数時間で跡形もなくきれいに消えます。出たり消えたりを繰り返しながら消えていくこともありますが、その場合も基本的には様子を見ていて構いません。ただし、症状が強く、皮膚だけでなく唇や口の中、喉の奥などにできたときは気道や喉の粘膜が腫れて呼吸困難につながることがありますので、注意してよく見ておきましょう。
蕁麻疹の原因は、上記でも少し触れましたが、食物や温度差、圧迫、薬品など以下のようなものがあります。
蕁麻疹には一部かゆみを伴わないものもありますが、多くは強いかゆみを伴います。このかゆみは冷やすとある程度緩和できるので、保冷剤をガーゼなどで包み、患部に当てて様子を見ると良いでしょう。それでもかゆみがおさまらず、息苦しさ・嘔吐・腹痛・下痢などの他の症状も出てきた場合は、アレルギー反応のアナフィラキシーを起こしている可能性がありますので、すぐに医師の診察を受けましょう。
6ヶ月未満の赤ちゃんであれば、患部を直接保冷剤で冷やすのではなく、部屋の温度を下げたり、薄着にしたり、水分を多めに摂ってもらったりといった対応をするのが良いでしょう。冷やす方法は多くの蕁麻疹のかゆみを抑えるのに有効ですが、寒冷蕁麻疹については逆効果となり悪化してしまうため、温度差による蕁麻疹には注意しましょう。
また、蕁麻疹が出ているときの入浴も控えましょう。体を温めて血行が促進されると、かゆみがより強くなってしまいます。肌に刺激を与えるようなちくちくとした素材の服や、締めつけるタイプの下着なども避けましょう。
蕁麻疹は、最初にもご紹介したように、多くが数分〜数時間以内に消えます。ぽつぽつと皮膚に出ているだけで、数分から数時間できれいに消えたなら、そのまま様子を見てよいと思います。ただ、初めての蕁麻疹で心配な場合や、いつもと違う様子だと感じた場合は、もちろん一度受診しておいた方が安心です。
発疹がなかなか消えない、症状が広く出ているなどひどい状態である、何度も起こるという場合は、様子を見ながら病院の診療時間内に受診しましょう。もし、呼吸困難や意識障害(意識がないなど)の重篤な状態になった場合は、診療時間外であってもすぐに救急診療を受診しましょう。
また、蕁麻疹が出たときには、すぐにデジタルカメラやスマートフォンなどで患部を撮影しておき、受診時に医師に見せるとよりわかりやすいです。受診時には発疹が消えてしまっていることもあるので、こうした写真は診断の重要な資料となります。受診時までに発疹が消えてしまった場合は、何時間くらいで消えたのかも合わせて記録しておき、医師に伝えましょう。
赤ちゃんは、大人と比べてまだまだ体のつくりや機能が未熟です。そのため、少しの刺激が体にとって大きな負担となり、アレルギー反応以外にもさまざまな原因で蕁麻疹を引き起こすことがあります。
赤ちゃんの蕁麻疹が軽度な場合、かゆみを抑えるために保冷剤などで患部を冷やしながら、様子を見ておいて構いません。しかし、呼吸困難などの重篤な症状が出ているときは、すぐに救急外来を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。