記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/4/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
布団に入ってもなかなか寝つけない、それほど寒くない日でも手先や足先が冷えてしまうなどの辛い症状に悩まされてしまうのが「冷え症」です。その原因はさまざまですが、本来なら働くべき体温調節機能が正常に働いていない状態だと考えられます。
そんな冷え症を、漢方で改善するにはどんな薬を飲めばよいのでしょうか。冷え症改善に使われる漢方薬や、生活習慣からの改善方法を見ていきましょう。
冷え症とは、体感的に寒さを感じないくらいの気温であっても、全身や手足、下半身など体の一部あるいは全部が冷えてつらい症状のことです。冷え症の主な原因は「血行不良」と考えられています。血行不良が起こる理由として、自律神経・心臓・筋肉などの働きが関係しているのではないかと言われています。
冷え症は特に女性に多いとされますが、それは月経の影響などにより、血が少なくなって全身に熱を運べなくなったり、腹部の血流が滞りやすくなったりすることが原因と考えられています。一方、男性に冷え症が起こる場合、運動不足による筋肉の減少やストレス、生活習慣病による動脈硬化などで血流が悪くなっていることが多いと考えられています。冷え症からくるそのほかの症状として、「肌荒れ・腰痛・頭痛・皮膚疾患・下痢・便秘・膀胱炎」などが挙げられます。
一口に冷え症と言っても冷える部位によって少しずつタイプが異なります。具体的には、以下の4つのタイプに分けられます。
漢方医学には「気・血・水(き・けつ・すい)」という概念があり、冷え症はこれらに何らかの異常が起こって生じると考えられています。具体的には、「血虚(けっきょ:血が足りない状態)」「瘀血(おけつ:血が滞っている状態)」「水毒(すいどく:水分が異常に溜まっている状態)」「気虚(ききょ:気が不足している状態)」などがあり、さらにはいくつかの状態が重なって冷え症となっている場合もあります。
このほか、それぞれ個人の体質や状態などを考慮して、その人に合った漢方薬を処方することになります。代表的な漢方薬は以下の通りです。
このほか、最近働く女性に増えているとされるのが「ストレスによる冷え」です。ストレスを改善するためには、以下のような漢方薬がよく使われます。
いずれの場合も、個人の体質や状態も加味しながら、その人に合った漢方を処方してもらいます。漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる方法がとられ、月経の状態や日常生活のことなど、冷え症とはあまり関係のなさそうなことを問診で尋ねられたり、お腹・舌・脈などを診たりすることがありますが、いずれも症状に合った漢方薬を出す上で必要なことです。
冷え症を改善するためには、前述のような「気・血・水」がバランスよく巡るようにしなくてはなりません。そのためには漢方薬を飲むのと同時に生活習慣も改善すると、より早く効果的に冷え症を改善することができます。以下にご紹介する食事・衣服・運動・入浴の4つのポイントをおさえましょう。
日常生活の中で、冷え性を改善できるポイントはたくさんあります。もし、冷え症の人で上記のポイントを改善できる余地があれば、できることから少しずつ実践していきましょう。たとえば、血行を良くして体を温めるために、定期的な運動とその後の入浴を習慣化するだけでも、少しずつ体質は変化してきます。
冷え症とは、体感的に寒いと感じるほどの気温でなくても体の一部または全身が冷えてしまう症状のことです。漢方医学で冷え症は主に「血虚・気虚・瘀血・水毒」のいずれかと考えられ、それぞれの状態と体質を考慮した漢方薬が処方されます。
漢方薬以外にも、生活習慣を改善することで冷え症をより効果的に改善できます。体を温める食事や、血行を良くする運動や入浴、体を締めつけにくい衣類などを心がけましょう。