記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「寝る子は育つ」ということばがあるように「睡眠」は、子供の成長にとって重要です。睡眠不足は「肥満」につながるということもわかっています。ここでは、子供の睡眠と睡眠時間についてお話します。
子供の成長に必要な睡眠時間にはある程度個人差はあるでしょうが、一般的には以下が目安になります。
生後1週間の赤ちゃんは平均して日中8時間、夜間8時間半と、ほとんどの時間を眠って過ごしますが、少しずつ日中の睡眠時間が減って、夜間の睡眠時間が増えていきます。
2~3歳では、1~2時間程度のお昼寝で済むようになります(なかにはまったくお昼寝をしない子もいますが…)。昼間の活動時間が長くなると、夜間は12時間くらい眠るでしょう。
お昼寝も4~5歳になれば必要なくなりますが、昼間の活動量も増えてくるので、夜の睡眠時間を11時間くらいとれるように、早めに就寝させるようにしましょう。
小学校に入るようになると、子供は朝早くから勉強に運動に、その活動量は幼児期とは比べものにならないくらい増えていきます。夜は10時間の睡眠時間が理想的でしょう。
低学年(1~2年生)では、学校から帰ったら数十分のお昼寝が必要なこともあるかもしれません。
中学・高校の子供は「思春期」の入り口です。1日を学校で過ごす時間が大半を占めるようになります。部活動がはじまる子供がいたりするため、昼間の活動量はかなり増えます。体格も少ししっかりして大人に近づいてきますが、まだ成長途中の段階です。夜の睡眠は9時間(少なくても8時間)は必要でしょう。
十分な睡眠をとっていない子供は、肥満になる可能性が高くなるということがわかっています。これは、日中の活動量が増えると余計に糖分やデンプン質の食べ物を必要以上に欲してしまう傾向があるためです。
常に睡眠不足の状態になっている子供は、イライラして落ち着きがなく、常に刺激を求めており集中力がありません。
このような症状は、軽度の注意・欠陥多動性障害(ADHD)と誤認されることもあります。その他、子供にみられる睡眠障害には夜尿症、睡眠時遊行症、睡眠時驚愕症、肥満による睡眠時無呼吸症候群などがあります。
日本小児保健協会の調査によれば、夜10時以降に就寝する3歳児は半数を超えるとされており、年齢が上がるごとに就寝時間が遅くなる傾向にあるとのことです。
子供の睡眠不足は上で述べたような様々な弊害を引き起こしますので、次のような対策を講じて睡眠不足を防ぐよう心がけましょう。
日本小児保健協会の調査によれば、夜10時以降に就寝する子供の割合は、1歳6カ月、2歳、3歳で約半数を超え、小学校~中学校~高校と学年が進むにつれて就寝時刻が遅くなり、睡眠時間が少なく、睡眠不足を感じている子供が急増していることがわかっています。
最近の子供の生活時間の夜型化は、睡眠時間が減るだけでなく、子供の成長を遅らせ、心身ともに疲れさせてしまいます。私たち大人が率先して、子供たちに睡眠時間の大切さを教えていきたいですね。