日本各地に広がりを見せた「手足口病」はどんな病気?

2017/8/1 記事改定日: 2018/3/5
記事改定回数:2回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

手足口病は手、足、下肢、口腔内、口唇に紅い水疱(水ぶくれ)とそれに伴う発疹が特徴的な、ウイルスが原因で生じる病気です。
この記事では「手足口病」の症状・原因・治療法を、医師監修のもとお届けします。

手足口病とは?

手足口病は、「コクサッキーウイルス(※)」というウイルスによって引き起こされる感染性の疾患です。発症するのは5歳未満の子供がほとんどですので、手足口病は夏場に流行する子供の病気と考えられています。実際、手足口病患者の約9割は5歳以下の乳幼児といわれています。
しかし、2017年のように成人が手足口病にも流行するケースは少ないながらも存在しており、子どもだけの病気というわけではありません。

※コクサッキーウイルス:エンテロウイルスと呼ばれるウイルスの一部です。

手足口病の代表的な症状

手足口病の人と接触後、およそ3~7日後に以下のような症状が現れます(必ずしもすべての症状が現れるわけではありません)。
・発熱
・頭痛
・食欲不振
・喉の痛み
・口周辺、手、足の水疱やただれ、赤い斑点

ただれや水疱は発熱してから1~2日後に現れることが多く、触れたり押されたりすると痛みを感じる人や、まれに肘や膝、性器、おしりにただれや水疱が現れる人もいます。また、口に水疱ができてしまった場合は嚥下が苦痛になり、脱水症状を引き起こす場合もあります。
発熱は3分の1程度の患者さんにみられますが、高熱が続くことはあまりありません。
1週間ほどで治るケースがほとんどです。

まれに重症化する可能性も

しかし、まれにですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などのさまざまな症状が出ることがあります。特にEV71に感染した場合には、他のウイルスによる手足口病と比べて中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかとなっています。
また、手足口病の典型的な症状がみられずに重症になることもありますので、手足口病にかかった場合には経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。

手足口病の診断方法について

症状や年齢、また手、足、口のただれや水疱の有無を調べます。
また、検査のために喉の検体や便のサンプルを採取することもあります。

手足口病の予防法は?

手足口病は感染性の病気なので、まずは感染者との接触を避けることが重要です。
手足口病は飛沫感染(咳やくしゃみで出る飛沫)や、ウイルスの付着したもの(ドアノブ、おむつ、水疱から出た液体など)に触れた後に鼻や口を触ることによって広がります。
特に保育施設などの乳幼児の集団生活では感染が広がりやすいので、職員もこども達もしっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、処理後には流水と石けんで手洗いを入念に行ってください。
また、患者とはタオルなどの共用をしばらく見合わせましょう。

手足口病の治療法は?

手足口病のウイルスそのものに有効な治療薬はいまのところありませんが、ウイルスはおよそ1週間で消滅する場合がほとんどです。アセトアミノフェンやNSAIDs(ロキソプロフェンなど)の鎮痛薬によって発熱や喉の痛みを和らげながら(薬の用量については医師に相談してください)、自宅で安静にしてゆっくり休みをとるようにしてください。

水分補給も大切

また、口の中の痛みのために飲食が不十分となって脱水症状を起こさないように注意しましょう。
水分補給にはオレンジジュースなどの柑橘系飲料、酸っぱいもの、味の濃いもの、熱い食物などの口の中の痛みを増強するような刺激あるものは避けてください。
プリンやアイスクリーム、冷ましたおかゆなどの刺激が少ないものを摂るのがおすすめです。

おわりに:子供と接触する機会の多い大人は要注意!

手足口病は一般的には子どもがかかる病気なので、成人が発症するケースは珍しいです。
しかし、子育て中の方や子どもと接触する機会が多い方は、手足口に感染する可能性も高くなるので注意する必要があります。
日頃から、こまめに手洗いをして予防するよう心がけましょう。

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