バレリーナ・飯島 望未さんのメンタルマネジメントQ&A ①

2017/6/5

現在バレリーナとして活躍中であり、今年7月に米・ヒューストンバレエ団へ復帰予定の飯島望未さん。
若干15歳にしてヒューストンバレエ団に入団し、言葉の壁・怪我の経験等様々な困難をご自身の力で乗り越えます。
今回は、そんな飯島さん独自のメンタルコントロール法について、ご自身の経験を踏まえたお話を、3シリーズに分けてお届けします!
シリーズ第1弾。

ポジティブ思考形成までの道のり

−15歳からお一人で海外にてバレエをすると決心する中で、不安や迷いはありましたか?

迷いは全くなかったですね。
元々、向上心はある方だと思います。実際、アメリカに行った後でもホームシックになったことは一度もないです。言語やバレエの技術面で多少の不安はありましたが、「寂しい」という感情より「早く周りに追いつかないと」という焦りの方が大きくて、ホームシックになっている余裕がありませんでした。
英語が話せないというのは一つの不安要素ではありましたが、とにかくアメリカ人と会話して話せるようになりました。幸い、皆さんとても優しかったので色々教えてくれて・・ 当時は大変でしたが、そのおかげでなんとか乗り越えられました。

−これまでのバレエ人生で一番大変だったのは、初めて渡米されたその当時でしたか?

いえ、ロザンヌのコンクールに出た時です。ここでは初めて屈辱を味わいました。
本気で練習し、「絶対賞を取りに行く!」という気持ちで毎日練習して、周りの方々や先生からもとても期待されていたのですが、ファイナル(決勝)にもいけませんでした。今までコンクールにでたら上位にばかり入賞していたのに、ロザンヌではファイナルにもいけないなんて、と。踊り終わった直後も、ミスはなかったと思ったしみんなに良い踊りだったよといわれて自信があったのに、審査員たちからは評価されなかったんですよね。初めてそこで自分はまだまだだなと思いました。
その時の踊りに自信があった分、何が良くなかったのかを自己分析するのにはとても時間がかかりましたね。
私は結構ポジティブ人間なのですが、その時は持ち前のポジティブは発揮できなかったです。1週間へこみました。

−1週間だけですか?

普段なら半日で持ち直すんですけどね(笑)。

その時は、自分の踊りの欠点をみつけて徹底的に直そうと思いました。ヒューストンに行って半年後なので、15歳のときです。

あと、ヒューストンバレエ団のあとチューリッヒ・バレエ団に入団したのですが、チューリッヒへ入団当初もなかなか周囲に認めてもらえず苦しかったですね。
子どもの頃は踊りの技術面だけが問題としてフォーカスされるけど、大人になってプロとして経験を積んでくると、カンパニーとの関係性やその他人間関係の問題などの配慮があり、複雑で難しくなりました。どのカンパニーでも合う合わないはあるし監督との相性もありますが、ちょっとネガティブ思考になったり気分がのらないときこそ怪我もしやすいですしね。
骨折したときフィジカルトレーナーの方に、「楽しいことを考えなあかん。ネガティブになると治りも遅いから」と言われたんです。

−その時、楽しいことは何を考えたんですか?

大好きな焼肉のことですかね(笑)。
あとは日ごろより常に”ポジティブに。ポジティブに。”と言い聞かせています。意識的に笑うなんて変じゃないですか。だから”ポジティブ”という言葉を自分自身に言い聞かせるんです。無理やり楽しいことを考えるなんてできないですよ。ポジティブでいようってそのまま。不思議なことに、そうしていると結果ポジティブになれるんですよ。

私の仲が良い友達に、膝の靭帯をきって手術した子がいるんですが、リハビリも痛いし精神的にもしんどくてすごく落ち込んでしまって。結果、怪我の治りも遅くなって復帰できず、バレエをやめてしまったんです。
精神力は本当に大事ですね。

−ポジティブシンキングには怪我の治りを早くさせてしまう身体的効果もあるんですね。

アスリートだけではなく、日ごろの仕事や人間関係などで大きなストレスを抱えている方にもいい影響があるかもしれないですね。

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