LGBTとカミングアウトすることについて 〜 タイミング、親への伝え方 〜

2017/1/23 記事改定日: 2018/3/23
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

LGBTとはレズビアン(女性同性愛者、Lesbian)、ゲイ(男性同性愛者、Gay)、バイセクシャル(両性愛者、Bisexual)、トランスジェンダー(性別越境者、Transgender)の頭文字をとった言葉です。日本では人口の約8%にLGBTがいると推定されますが、多くのLGBTの人にとって悩むことがカミングアウトについてです。以降ではカミングアウトすべきかどうか、そのタイミングなどについてお話ししていきます。

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LGBTとカミングアウトするのが怖い。カミングアウトすべき?

自分がLGBTであることを周りの人に話すことを「カミングアウト」ともいいます。カミングアウトは自分の気持ちに正直になって、大事な部分を隠したままにはできないという姿勢をあらわすものなので、「カミングアウトすべき」と考える人は多いです。

多くのLGBTの人はカミングアウトにあたって、「相手がどんな反応をするんだろう」「拒絶されるのが怖い」などと不安や恐怖を抱いています。自分の性的指向を話してしまったら、周りの人の接し方が変わってしまう恐れもあります。しかし、うまくいけば周りに隠しごとがなくなって、人生が変わったり、長期的に関係を維持できる可能性があります。カミングアウトによって、「自分が思っていることを周りにオープンにできるようになってホッとした」という人は多いです。

しかし、誰にでもカミングアウトすべきかと問われれば、これはその人の考え次第になってしまいます。LGBTを受け入れられる人もいれば、そうでない人も存在するからです。特に異性愛者の人たちはLGBTに偏見を持っている場合もあるので、そういった人たちに拒絶されるリスクがあったり、あるいは過去にLGBTに関して悪口を言っていたのを聞いたりした場合は、まずは同じLGBTの人など理解が得られそうな人たちの中で、感情を共有するところから始めるのがおすすめです。

カミングアウトのタイミングは?

カミングアウトのタイミングとして、これが正解ということは特にありません。自身の心の準備ができたら、検討するのもいいでしょう。ただ、聞き手に心の余裕がないときにカミングアウトをすると、思わぬ拒絶を受けたり、傷つくようなことを言われたりする恐れがあります。相手の様子も見つつ、タイミングを選ぶことが大切です。

なお、いきなりカミングアウトをするのが怖い場合は、普段の何気ない会話の中で、少しずつ探りを入れてみるのもいいかもしれません。そこでLGBTに対して相手がどういう反応をするか見て、カミングアウトすべきかしないほうがいいか、判断するのも一つの手です。

親にLGBTをカミングアウトするときのポイント

子供からLGBTであることをカミングアウトされた親は、少なからずショックを受けることが多いです。「そんな話は聞きたくない」と拒絶したり、その後話題に触れるのを避けたり、自分自身の育て方を責めたりなど色々な反応をしながら、最終的には、現実を受け入れてサポートしてくれたり、あるいは受容できない結果に終わったり、闘争状態を続けたりとさまざまな態度に落ち着きます。

親にカミングアウトをするときは、以下のポイントをチェックした上で臨むことをおすすめします。

・自身がLGBTであることにためらいがないか
・同性愛についての知識や正しい情報源があるか
親以外にサポートしてくれる人がいるか
家族の精神状態は安定しているか
経済的に自立しているか
・親はある程度柔軟な道徳観を持っているか
・言われたのではなく、自身の希望でカミングアウトをするのか
親が受容できるまで根気よく待てるか

LGBTをカミングアウトされたときの対応はどうすべき?

これまではLGBT当事者の方向けの情報でしたが、逆にLGBTであることを友人からカミングアウトされた場合、どんな対応をするのが望ましいのでしょうか。

先述の通り、カミングアウトにあたっては大きな不安を抱えるものです。その勇気にまずはお礼を言ってみてください。そして、カミングアウトに対して素直にどんな印象を受けたのか伝えましょう。正直な反応をしたほうが、相手もリラックスしやすくなります。あとは、適宜質問を付け加えたりと、LGBTについて理解しようという対応ができれば、きっと友人の方も安心が深まるかと思います。

おわりに:LGBTのカミングアウトは、状況や自分の気持ちから総合的に判断を

以前に比べ、近年はLGBTへの偏見は少なくなっていますが、まだまだそうしたことに偏見を持つ人も少なからず存在します。LGBTへの理解がより一般的なものになるには、まだ時間がかかるでしょう。自分がLGBTと思ったときには、一人で悩まずに、また周囲へのカミングアウトも焦らずに、まずは信頼できる人に相談することが大切です。

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