妊娠中の出血の特徴について ~この出血は大丈夫?~

2017/9/11 記事改定日: 2018/3/22
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

妊娠中に腟からの出血があるとびっくりしたり不安になったりする妊婦さんも多いのではないでしょうか?
腟からの出血はそれほど問題が無いケースが多いですが、中には注意が必要な場合もあります。
この記事で、妊娠中に起こる出血の特徴を見ていきましょう。

問題の無い妊娠中の出血

妊娠初期に少量の出血を経験する妊婦さんはおよそ5人に1人で、妊娠が進むにつれて出血がなくなることがほとんどだといわれます。
以下のような場合は問題が無い出血である可能性が高いです。
(※下記の出血は妊娠の継続には問題が無い場合が多いですが、念のため産婦人科で診察を受けることをおすすめします)

〈1〉着床出血、セックス、内診、子宮頸癌検査による出血

一般的に少量の出血や生理(医学的には月経というのが一般的です)の最終日に見られるような、茶色かピンクがかったものである場合は問題が無いと考えられています。

◆着床出血
妊娠初期に受精卵が子宮内膜に着床するときに少量の出血が起こることがあります。
この出血は「着床出血」と呼ばれ、全体の2~3割の妊婦さんが経験するといわれています。

◆セックス・内診・子宮頸癌検査による出血
妊娠中は血管が充血してるため子宮頸部が傷つきやすいです。
そのため、内診やセックスなどのさほど強くない刺激でも頸部が傷ついて出血することがあります。

〈2〉腟や子宮頸部などの炎症による出血

感染症(細菌性膣炎など)によって腟や子宮頸部が刺激されたり炎症を起こすと、出血することがあります。
また、絨毛膜下血腫といって絨毛(胎膜の中で胎盤に一番近いもの)のひだ、もしくは胎盤の層に血液が溜まりって出血するケースもあります。
どちらも自然に治り、妊娠そのものには影響しないことが多いと考えられています。

〈3〉おしるし

妊娠37週以降になると赤ちゃんがいつ生まれても良い時期です。
この時期の出血は体のトラブルではなく、「おしるし」と呼ばれる出産のサインである可能性があります。
お産が近づくと子宮口が徐々に開いていき、赤ちゃんを包む卵膜と子宮壁の間にできたすき間からわずかに出血が起きることがあります。
(※おしるしがないままお産を迎えるケースもあります)

注意が必要な妊娠中の出血

一方で、子宮内のトラブル早産のサインとして出血が見られている場合もあります。
出血の色が鮮血である場合や出血量が多い場合には特に注意が必要です。
出血が起こった時期によってどんなトラブルが隠れている可能性があるのかを見ていきましょう。

〈1〉妊娠初期にみられる出血の原因

◆異所性妊娠(日本では子宮外妊娠と呼ばれることが多い)
妊娠初期に鮮血がみられた場合、異所性妊娠が原因となっている可能性があります。
週数が進むほど出血量が増えて痛みもひどくなるため、早めに対処することが大切です。

◆胞状奇胎(ほうじょうきたい)
染色体異常によって胎盤や卵膜の元となる「絨毛細胞」という細胞が異常増殖した状態で、水泡状になった絨毛細胞が子宮内を覆い尽くすという特徴があります。
ほとんどの場合は妊娠の継続ができなくなり、早急な治療が必要です。

〈2〉妊娠中期~後期にみられる出血の原因

◆前置胎盤
妊娠後期に起こる出血の原因の代表例で、胎盤が子宮口の一部分を覆ってしまう病気です。
分娩には必ず帝王切開が必要となり、妊娠経過中に出血した場合は量によっては早急な帝王切開と入院が必要となります。
また、へその緒が子宮口をふさいで胎児が死亡してしまう「前置血管」などの深刻な状態を招く可能性があるため、速やかに医師に連絡して必要な処置をしてもらってください。

◆胎盤早期剥離
胎盤が子宮壁から早期に剥がれてしまう症状で、ほとんどが妊娠後期に起こります。
胎児・母体共に死亡する可能性のある重篤な疾患で、月経痛のような子宮収縮の痛みとは異なる、腹部の痛みやけいれん、腰の痛みがが特徴です。
加えて、性器出血や腹部全体が板のように硬くなる症状、胎児心音異常などがみられることもあります。

◆切迫早産
子宮の出口である頸管が短くなることで、陣痛が妊娠20週~37週に始まってしまうことを切迫早産と呼びます。
予定日より早く〈定期的な陣痛、生理痛のような痛み、腰の痛み、骨盤の圧迫感〉などの症状を感じたら、直ちにかかりつけ医に連絡してください。

おわりに:妊娠中に生理のような出血がみられたら、早めに病院で診てもらおう

出血が少量であるときや血の色が茶色やピンク色がかっているには問題がないことが多いですが、妊娠中は念のため産婦人科で診てもらいましょう。
特に生理のような鮮血がみられる場合や出血量が多い場合は、できるだけ早めに医師の診察を受けるようにしてください。

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