記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
がんのリスクは誰にでもあります。 最近のデータでは、国民の2人に1人が生涯にわたってがんを発症する可能性を持っていると言われています。
また、各個人が持っているリスクの程度は、その人が関わっているさまざまな要因によって決まります。
果たしてどんな要因があって、どの程度がんの発症に影響しているのでしょうか。ここでは、喫煙や職場環境の要素など、例を挙げて見ていきます。
喫煙者が健康のために行うことができる最も重要なこと、それが禁煙です。タバコは、肺、喉頭(声帯)、口および食道のがんの主要な原因であり、からだの他の部分のがんにも関係を及ぼします。
厚生労働省の発表によると、喫煙量と肺がんリスクとの間に明瞭な関係があるとされています。
普通の紙巻きタバコ製品だけではなく、例えば葉巻や噛みタバコ、嗅ぎタバコなども同様です。喫煙を止めたい場合は、医師に相談しましょう。 禁煙計画をサポートしてくれます。
喫煙者でない場合でもタバコや葉巻、パイプの煙を吸うと(受動喫煙)、体にダメージを受け、がんにつながる可能性があります。さらに、カーペットや衣服の表面に付着したタバコの煙は、特に幼児に危険をもたらす可能性があります。
家族のだれかが喫煙をしている場合は止めてもらうか、近くで喫煙しないように頼んだほうがよいでしょう。
職場周辺には、がんを引き起こす可能性のある物質や、がんを発症するリスクが高い物質が存在する可能性があります。これには、空気中の塵(ちり)や蒸気、皮膚に触れる化学物質が含まれます。
清掃に使用される溶剤および化学薬品、燃えやすい材料からの煙など、職場にがんを引き起こす可能性のある物質があるかどうか調べてください。
日本には、毒物及び劇物取締法施行令や、労働安全衛生法による規制があります。マスクや保護服などの安全装置を用意して、有害物質への被曝を減らすようにしましょう。
太陽に過剰に曝露されると、たとえやけどをしないとしても、皮膚がんを引き起こす可能性があります。できるだけ直射日光を避けるようにしましょう。
どうしても太陽の下で過ごさなければならない場合は、なるべく肌を出さない服を着て、少なくとも日焼け止め係数(SPF)15の日焼け止めを塗るようにしてください。
なお、特に皮膚がんに関しては、次のような要因によりリスクが高くなる可能性があります。
・色白の肌
・日焼けしやすい
・多くのほくろ、そばかす、母斑がある
・外で長時間労働する
・子どもの頃に太陽の下で長時間過ごした
・深刻な日焼けをしていた
・皮膚がんを患ったことがあるか、または家族のだれかが患ったことがある
ヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌によって引き起こされる胃の感染にかかっている場合は、胃がんになる確率が高くなります。
さらに、もし以下のリストに当てはまることがあれば、胃がんを発症する可能性がより高いと言えるでしょう。
・男性
・50歳以上
・胃がんのある親戚がいる
・喫煙している
・アルコール乱用
・胃ポリープ(胃の内面の小さな隆起)
日本人の死因の代表的なものとして、誰しもの身近に存在している病気、がん。
実際に発症した人という意味だけでなく、その原因となる要素も、常に誰しもの身近に存在しています。
ストレスをためず、適度な運動をしながら、健康でいるための努力を怠らないようにしたいものです。