記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
心と体が成長を早め、どんどん変化していく思春期は、本人にとっても親にとってもいろいろと混乱する時期となります。
なぜなら、そうした思春期特有の変化には、病気となって現れるものがあれば、病気とは言えないものもあるからです。
ここでは、両方のパターンでよく現れる変化について、特に女の子に起こる変化を中心に挙げてみました。
おそらく10歳以上から体と心の変化に気づくでしょうが、いつからが思春期の始まりだということには正確にはいえません。
始まりが他の人よりも遅い人もいますが、これも正常なことです。ただ、16歳までに思春期の徴候がない場合は、医者に相談にいってみてもいいかもしれません。
はい、完全に正常な状態です。女の子は思春期を経て膣や子宮頸管腺のホルモンが働き始めると、より多くの膣分泌物を作り出します。この液体は膣内を湿潤に保ち、損傷または感染から保護します。
思春期前にはほとんど分泌物はありません。思春期になると、分泌物が多い子、少ない子が出てきます。1人の女の子にとって普通であっても、別の子にとって普通でないことはたくさんあるのです。
また、生理が始まると、月経周期の間の異なる時期に分泌物が変わることに気づくでしょう。それは無色またはクリーム色であり、ベタベタしていたり、量が増えることもあります。
膣のエリアにかゆみや痛みを伴う場合は正常ではありません。これらの症状は、カンジダ症などの感染症の可能性がありますが、これは一般的な病気ですぐに治療できるものです。
コンドームを使用せずにセックスしていて、分泌物が臭くまたは緑色になった場合は、性感染症(STI)を発症する危険性があります。
また、分泌物量が正常な分泌量と異なる場合は、医師または看護師に相談してください。
女の子は通常10歳から16歳までの間に初潮が始まりますが(平均12歳ぐらい)、人によって成長の割合は異なるので、いつ初潮が始まるかについて正しいという年齢はありません。
月経は体の準備ができてから始まります。そして、それを早めることも遅らせることもできません。
ただし、あなたが16歳までに初潮を迎えていない場合は、医師の診察を受けてください。
ティーンエイジャーが乳がんになるのは珍しいことです。塊状、隆起および胸部への変化は一般的であり、それらの大部分は非癌性(良性)です。
胸を検査する決まった方法はありませんが、通常の見た目や感覚を知っておけば変化がわかります。なお、月経周期の間に胸のサイズが変化したり、柔らかくなるのは普通のことです。
思春期の子供の行動は、親が慣れ親しんでいたものから突然大きく変わることがあります。 時に引きこもったり、神経質になったり、態度が悪くなったりするでしょう。
これは思春期の特徴であり、コミュニケーションが非常に重要な時期に入ったにもかかわらず、それが非常に難しくなったことを意味します。
そして、この頃に現れるのが摂食障害の症状。摂食障害は、体重や体型の気にしすぎだけでなく、うつ病や不安症など精神的な問題が原因となることもあります。
もっとも一般的な摂食障害の症状は、神経性食欲不振症(拒食症)、神経性過食症、過食障害の3つ。10代または成人初期に発症することが多く、10代の少女の間で目立ちますが、10代の少年にも見られます。
親の立場としては、慈善団体の最高経営責任者(CEO)のスーザン・リングウッドの次の言葉を覚えておくとよいでしょう。
「摂食障害から回復した人は皆、無条件の愛をくれ、支援をしてくれる人の行動を治療中に理解することは困難だったが、結果的にはその人の存在がどんなに重要だったかを思い知った、と言います」。
急激な心と体の変化を見せる思春期には、特有の症状が多く見られます。多くは成長するにつれて改善されますが、摂食障害のように深刻な事態となることもあります。
とにかくいろいろな意味で不安定なこの時期、何か変化を発見したら早めに周囲に相談することが大切。親の立場の場合は、日頃から充分なケアとサポートを怠らないようにしましょう。