記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
とてもポピュラーな性病であるクラミジア感染症。自覚症状がほとんど出ないため、知らない間に他人に移す可能性があるうえ、女性にとっては不妊症の原因にもなるコワイ病気です。
その症状や予防法を学んでおきましょう。
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis: CT)という細菌によって起こる性感染症(STI)です。
感染の初期段階は症状が出ないことも多く、感染していることに気づかないままの人もいます。感染してから1~3週間後に、下記のような症状が現れます。
・排尿時の痛み(しばしば灼熱感)
・下腹部痛
・セックス中の痛み
・女性の腟(ちつ)分泌物が増える
・生理不順
・妊娠しにくい
・男性の陰茎からの分泌
・男性の睾丸の痛みや腫れ
クラミジア感染症の細菌は、性交や感染した精液、または腟液との接触によって広がり、次のようなことで感染します。
・安全でない腟、肛門、オーラル(口)でセックスを行うこと
・洗浄されていない、もしくは新しいコンドームで覆われていない大人のおもちゃを共有すること
・自分の性器がパートナーの性器と接触すること(たとえ挿入、オルガスムまたは射精がなくても感染する可能性があります)
・感染した精液、または腟液が目に入ること
クラミジアは通常、何も症状を引き起こすことがなく、たいていは短期間の抗生物質で治療することができますが、早期に治療しなければ深刻な事態となることがあります。
未治療のまま放置すると、感染は体の他の部分に広がり、骨盤内炎症性疾患(PID)、精巣上体炎(睾丸の炎症)、不妊症などの長期的な問題につながります。
クラミジアの感染が疑われる場合はできるだけ早く検査を受け、治療を受けることようにしましょう。
誰でも感染する可能性はありますが、とくに性的に活発な人は感染する可能性が高くなります。新しい性的パートナーがいる場合や、性交の際にコンドームなどの避妊法を使用しない場合もリスクが高まります。
誰にでも可能性がある限り、常に注意と予防を怠らないようにしましょう。
以下に、クラミジアを予防するための方法を示します。
腟内の良好な細菌の量を減少させ、感染の危険性を増加させる可能性があるため、腟洗浄(ビデ)を避けましょう。
膣でのセックスやアナルセックス、オーラルセックスをする際には、常にコンドームを使用しましょう。
オーラルセックスをするときや女性の生殖器を触るときにデンタルダム(オーラルセックス専用の女性が使うコンドーム。薄くて柔らかいプラスチック、またはラテックスの小片)を使用しましょう。
大人のおもちゃを共有しないようにしましょう。共有する場合は、洗浄するか、使用するごとに新しいコンドームで覆いましょう。
クラミジア感染症は、キスや抱擁、お風呂、タオル、プール、便座、食器などの共有などでは感染しませんが、妊娠中の女性では胎児に感染させる危険があります。
クラミジア感染症かもしれないと思ったら、できるだけ早く検査や治療を受けることが重要です。
性感染症への罹患は、他人に対して恥ずかしいことのように思うかもしれませんが、クラミジアは抗菌薬で簡単に治療できます。
治療を受けずに放置すると、女性の不妊症や男性では陰嚢の痛みを伴う腫れを引き起こす可能性もあります。最初の症状が軽いからといって安心せず、早めに医者にかかりましょう。