記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
夏休み目前、海外旅行へ行かれる方も多いでしょう。でも、とても楽しみにしていた旅行が台無しになることがあります。
海外旅行先での水や飲み物、食事に気をつけないと、ひどい下痢を起こすことがあります。
この記事では、海外旅行で起こしやすい下痢についてまとめているので、海外旅行の予定がある方もない方も、今後の参考にしてください。
旅行者下痢症は、食べ物を不衛生に扱ったために発症する胃腸感染です。食品を取り扱う人がトイレに行ったあとに手を洗わないと、食品が汚染され食べた人が感染症を発症する可能性があります。
旅行者下痢症にかかる可能性が高い地域は、アフリカ、中東、中南米、アジアなどです。感染のリスクは、飲食した場所によって変わります。最もリスクが低いのは個人の家で、もっとも高いのが屋台などの飲食店といわれています。
旅行者下痢症の典型的な症状として、以下のようなものがあります。
・急な下痢
・発熱
・吐き気と嘔吐
・お腹の張り
・急に便意をもよおす
・倦怠感(衰弱または不快感)
・急激で痛みを伴うガス
・痙攣
・食欲減退
旅行者下痢症は、通常3~7日間続き、生命に危険が及ぶことはめったにありません。
次のような場合、旅行者下痢症について医師の診察を受けましょう。
・下痢が重度で出血している、または数日経っても回復しない
・下痢に発熱と寒気を伴う
・脱水を予防するために水分を補給しても体力が維持できない
衛生設備に不備のある地域では、沸騰したお湯、沸騰したお湯で作った温かい飲み物(コーヒー、紅茶など)、缶またはボトル入り炭酸飲料、ビール、ワインといった飲み物を飲むのが安全です。
汚染された水で作られている可能性があるため、氷は避けてください。
洗って乾燥させているかわからないグラスなどで飲むより、未開封の缶またはボトルから飲むほうが安全です。
缶やボトルの飲み物の表面も、汚染されている可能性があるので洗ってください。口に触れる缶やボトルの部分はきれいに拭いて乾燥させる必要があります。
水が汚染されている場所では、水道水で歯を磨いてはいけません。
沸騰させることが最も良いでしょう。水に熱を加え、しっかり沸騰させてから冷やしましょう。
氷は加えないでください。高地にいるときは、水を数分間沸騰させるか、化学消毒剤を使ってください。化学殺菌は、ヨウ素もしくは塩素のどちらかで行うことができます。ヨウ素のほうが、解毒作用が強い場合が多いです。
ヨウ素で水を殺菌するには、ヨウ素チンキなどを使います。消毒剤は、スポーツ用品店や薬局で見つけることができます。
病気を引き起こす微生物の多くは、海外のホテルでの温水などの温度で生き残ることができるため、水を使う場合、煮沸もしくは適切な消毒が推奨されています。
食品は慎重に選択する必要があります。避けるべき食べ物として、以下のようなものがあります。
・サラダ
・カットされてある果物(皮を自分でむけば、一般的に安全です)
・殺菌されていない牛乳および乳製品
・生の肉と魚介類
調理済みで、まだ温かい食べ物は一般的に安全です。魚の中には、肉に毒素があるものもあるため、調理しても安全とは限りません。
バラクーダやフグには毒性があることが多く、一般的に食べるべきではありません。西インド諸島と熱帯の太平洋やインド洋の島で取れた魚介類は、毒素を含む可能性が高いため、避けてください。
海外旅行では、より楽しみたいために無理な旅行計画を立ててしまうこともあるでしょう。ただし、あまりに無理をすると体力が落ち免疫も働きにくくなるので、時間や気持ちに余裕を持って過ごすように努めましょう。
また、記事の中にもありますが、水や氷に注意し、衛生面が徹底されていそうな店で食事を楽しむようにしましょう。
次の記事では、旅行者下痢症の治療や対策についてまとめています。
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旅行者下痢症を治すには?