記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
思春期の子どもとしっかり向き合うのは、かなり難しいこと。
実際に悩んでいる人もきっと多いのでは?
子どもに対処するには、
「何が子どもをいら立たせるのか」
「どうすれば心を開いてくれるのか」
をしっかり理解することが重要です!
今回の記事では、そのノウハウを
「会話の仕方」「態度」などの観点からお伝えしていきます。
多感な思春期の子どもと会話するときには、以下のような態度を心がけてください。
イライラして当たられる事態を防ぎ、親子の信頼関係を築くことができるでしょう。
子どもが理解不能な行動をしたとしても、正当な理由があると考えるようにしてください。また、知性を尊重し、興味があることを示してください。「愚か」や「間違っている」と決めつけなければ、なぜそうしたのかを話してくれるようになります。
様子がおかしくても、「何かあったんだ!」と決めつけないように注意してください。
「いじめられているの?」ではなく、「心配してるんだよ。いつもと違うから。何が起こっているの?」と聞くようにしてください。
もし子どもが飲酒や薬物を乱用していると思った場合は、穏やかに、そしてダイレクトに、子どもの役に立ちたいことを伝えてください。
保護者が法や規則に従わずに子どもを注意したとしても、子どもは「人のことを言えないじゃん!」と非難します。発言には責任が伴うことを忘れずに。
子どもの人生を監督するのではなく、自分で考えさせ、自立するよう促すのがポイントです。自分で考えられる子に育てるためには、以下のような方法を実施してください。
・「まずい行動かも」と自覚させる
「喫煙をした次の日の体調は?サッカーにどう影響してる?」などと問いかけてください。
・見たり聞いたりしたことを安易に受け入れるのではなく、考えさせる
「○○はこう言うけど、どう思う?」と考える機会を与えるといいでしょう。
・自分は人生の困難に対処できると感じさせる
得意なこと、好きなことを思い出させてください。人生に対しての自信を与えます。
・確かな情報を与える
薬物、性、喫煙の害がわかるサイトを紹介し、事実を知った後で、どうするか自分で決められるようサポートします。
・対処法を考えられるようサポートする
「害がわかったならどうすればいいと思う?」と対処法まで考えられる子に育てていきましょう。
小言ばかり聞かされると、子どもはもう話を聞かなくなります。服装などの小さな問題は見過ごすことで、麻薬やセックスのような大きな問題に対して、きっちり話ができ、断固とした態度が取れます。
子どもは、最も愛する人、信頼している人にきつくあたります。決して嫌いだからではありません。情緒不安定なときや怒り、生理でそうなってしまうのです。ひどいことを言っているとは思わないでください。感情表現の仕方がわからないのです。
子どもは、大人に話すと事態が悪くなると思っています。「助けになりたいと思っていること」「子どもが望まないことはしないこと」をしっかりと伝えてください。
いじめの場合は、特に重要です。いじめのことを打ち明けたら、しっかりと耳を傾け、許容できることではないこと、子どものせいではないこと、一緒に問題に立ち向かうことを伝え、信頼関係をつくってください。
質問の仕方ひとつで、子どもについてもっと知ることができます。
たとえば摂食障害を抱えている場合、「昼食は何を食べた?」「病気になった?」というような直接的な質問に答えは返ってきません。その代わり、「気分はどう?」「最近、調子はどう?」といった寛容的な質問の仕方により、自分の気持ちを話しやすくなります。
臨床心理学者のリンダ・ブレアは、「親自身の行動が、子どもの攻撃対象になります。言うこととやっていることが違うなら言うことなんて聞きません。そして、子どもの怒りはどうしようもない感情、表現のしようがない感情に基づいていることを忘れないでください」と語っています。
「子どもにもどうにもできない」ということを念頭において、静かで落ち着くよう努めてください。耐えて、威嚇したりせずに強くなってください。言葉だけでなく、目や体でも感情は伝わることを忘れないでください。
また、目をじっと見つめていると、子どもは息苦しさを感じ、窮屈になります。言いたいことを言わせてから、大人な対応をしてください。
上述のリンダ・ブレアによると、会話がヒートアップした場合には以下のような対処法が有効とのことです。
・深い深呼吸を5回繰り返し、いら立っている子どもにも深呼吸させる
怒りが多少静まります。
・(どうしようもない場合)一度場を離れ、30分後に再開すると伝える
落ち着く時間があれば、理性的な状態にリセットして再開できます。
・(叫んだり、脅迫したり、困惑させる場合)幼児と同様、しばらく好きにさせる
子どもに心を開いてもらうには、保護者としての態度も重要です。
保護者が、ドラッグをやっているのを見てしまったら、子どもは「自分もやってもいいんだ!」と思ってしまいます。
一緒にいる時間をつくり、必要なときは話します。子どもが話すことに耳を傾けてください。
どこかに行きたいと言ったらドライブに連れていってください。ドライブ中の車内は話しやすい場所でもあります。
自分だけの場所、プライバシーを与えることになります。
「ここまでは許す」という線引きによって、子どもは安心します。ボーダーラインを決めれば、子どもはそれを守るようになります。
いかがでしょうか。思春期の子どもと向き合うときは、保護者自身がどっしり構え、「自分はいつでもあなたの味方だよ」というサインを出し続けることが大切です!正しく対処し、いい親子関係を築いていってくださいね。