山本化学工業の解熱鎮痛剤:アセトアミノフェン中国産水増し問題が話題に!アセトアミノフェンとは?

2017/6/23

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

多くの風邪薬で使用されている成分“アセトアミノフェン”。
5月に原薬メーカー・山本化学工業(和歌山市)が、自社の製造するアセトアミノフェンに中国産のアセトアミノフェンを混ぜて水増ししたことが、医薬品医療機器法(薬機法)に違反するとし、厚生労働省が立ち入り調査を実施。
近く処分する見込みです。

厚生労働省は、中国産を混入させても品質に問題はないとしていますが、アセトアミノフェンとはどのような薬なのでしょうか。

アセトアミノフェンとは


まずアセトアミノフェンについて解説した後、今回の山本化学工業の一件における問題点について考えてみましょう。
アセトアミノフェンは、風邪薬などに含まれている解熱鎮痛剤です。アセトアミノフェンには、発熱を抑えたり痛みを止める効果があります。医療用医薬品としてはカロナール®という商品名が有名で、発熱や痛みで医療機関を受診するとよく処方されます。
一般医薬品として薬局でも購入することができます。アセトアミノフェンを主成分とした一般医薬品はいくつか種類があるのですが、タイレノールA®、ラックル®という名前で販売されています。解熱鎮痛効果があるので、他の総合感冒薬にも少量含まれていることも多いです。
下でも詳しく説明しますが、NSAIDsに比べると胃潰瘍などの副作用が少ないため、使いやすい薬です。

アセトアミノフェンとエヌセイズ(NSAIDs)との違い

アセトアミノフェンと似たような薬に、エヌセイズ(NSAIDs)という非ステロイド系抗炎症薬があります。こちらも解熱鎮痛剤ですが、アセトアミノフェンとの違いとして、NSAIDsには強い抗炎症効果があります。
NSAIDsは解熱鎮痛に関して強い効果が期待できる一方で、副作用も多いです。一番問題になるのは、胃潰瘍です。NSAIDsによる胃潰瘍を予防するために、数日続けて飲むような場合には胃薬も一緒に処方されます。NSAIDsの他の副作用として、胎児の動脈管を閉鎖させてしまう危険性があり、妊娠中は使えません。
その点、アセトアミノフェンは副作用が少なく、使いやすいです。常用量であれば妊婦に対しても安全に使用することができます。

 

エヌセイズ(NSAIDs)との使い分け

ロキソプロフェン(ロキソニン®)やイブプロフェンといったNSAIDsに比べると、アセトアミノフェンは副作用が少ないため使いやすいです。NSAIDsに比べると解熱鎮痛効果が弱いと考えられがちですが、適切な量を使用することでしっかりと効かせることもできます。

医療機関ではまずアセトアミノフェン(カロナール®)を使って、効かなければロキソプロフェンやイブプロフェンが使われることも多いです。

また胃潰瘍になりやすい人、腎機能が悪い人、高齢者、子ども、妊婦ではNSAIDsが使えなかったり、使いにくいので、アセトアミノフェンがよく使用されます。

 

アセトアミノフェンの副作用について

アセトアミノフェンの副作用には肝障害があります。特に大量服用したときに肝障害が起きる可能性があるので、医師や薬剤師の指示の下、適切な量を服用しましょう。
またアナフィラキシーが起こることがあります。アセトアミノフェンを飲んでしばらくして、体にじんま疹やかゆみなどの症状があらわれたときは、すぐに医療機関に相談しましょう。

 

ご参考:アセトアミノフェンを含む一般市販薬

アセトアミノフェンを主成分とした一般市販薬には、例えば以下のものが挙げられます。

・タイレノールA®
・ラックル®
・小児用バファリン チュアブル®
・ノーシン錠®   など

おわりに;山本化学工場の一件では何が問題なのか?

山本化学工業は、国内工場でアセトアミノフェンを製造していると偽って、実は中国で製造された安価なアセトアミノフェンを混入して出荷していました。たとえ中国産であっても、アセトアミノフェンという成分に変わりはありません。

問題は2つあります。
1つは中国産のアセトアミノフェンを使いながら全て国内で製造していますと偽って届け出ていたことです。医薬品は重大な健康被害につながるため、製造プロセスや出来た製品の品質は国によって厳しく管理されています。今回偽って届出ているということは、その品質がしっかりと管理されていない可能性があるということです。
そのこととも関係しているのですが、もう1つの問題は中国産のアセトアミノフェンの品質についてです。最悪違う成分が混じっている可能性すらあります。
現在山本化学工業は全商品の出荷を自粛していますが、アセトアミノフェンは成分を指すので、中国産も国産も同じ成分に変わりなく、混じっていても問題はありません。

今後は山本化学工業の経営体制、管理体制の何に問題があったのか、混入させていた中国産アセトアミノフェンの品質に問題はないのか、といったことの究明が気になるところです。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

風邪(103) アセトアミノフェン(33) 解熱鎮痛剤(6) 解熱(2) 鎮痛(3)