記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「頭痛がしたら薬を飲む」という人が多いと思いますが、実は特定の食べものが頭痛の緩和や悪化に関係していることを知っていますか?
この記事では、頭痛を緩和に役立つ食べものと頭痛の悪化の原因になる食べものについて解説していきます。
マグネシウムやオメガ3脂肪酸、ビタミンB2は、頭痛を緩和し、頻度を減らす効果があると考えられています。
片頭痛は脳の血管が拡張することで起こるとされている頭痛です。
マグネシウムには血管を収縮させる作用があるため、片頭痛の緩和に役立つことがあります。マグネシウムを多く含む食べものとしては、バナナ、アーモンドなどのナッツ類、大豆製品、緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類があります。
このなかでもバナナはカリウムが豊富です。カリウム不足は頭痛の原因になるので、バナナを食べることで頭痛が改善することもあります。
オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があるとされ、血管の拡張で起こる片頭痛や群発性頭痛の緩和に役立つことがあるといわれています。オメガ3脂肪酸を多く含む食べものは、サバ、イワシやサーモンなどの魚です。
ビタミンB2は血圧を下げる作用があり、片頭痛や二日酔いによる頭痛の緩和に役立つと言われています。ビタミンB2を多く含む食べものには、ヨーグルトや牛乳などの乳製品、ホウレンソウ、納豆、レバー、うなぎなどがあります。
夏場に多い脱水症状による頭痛には、スイカやキュウリ、トマトなどの水分を多く含む食べものが効果的と考えられます。
以下の食べものや飲みものは、頭痛の原因となる可能性があるといわれています。
コーヒーなどのカフェイン飲料は、頭痛の緩和にも悪化にもつながる可能性のある飲みものです。実際、多くの頭痛薬にはカフェインが含まれており、コーヒーを少量摂取することで頭痛が和らぐこともあります。
ただし、毎日コーヒーを大量に飲む習慣がある人の場合、コーヒーの摂取量が少ない日に離脱症状として頭痛が起きることがあります。
アルコールが原因で頭痛が起こる人もいます。頭痛を引き起こすアルコール飲料として一般的なものは、赤ワイン、ビール、シャンパン、ウイスキー、スコッチなどです。
アルコールが頭痛を引き起こす理由については正確にはわかっていませんが、以下の説があります。
チラミンとは、特定の食べものや飲みものに含まれる天然の化学もの質です。
チラミンは交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を促進することで、血管収縮を引き起こし頭痛を生じさせることがあります。
ただし、すべての人がチラミンの影響を受けやすいわけではなく、影響の出やすさには個人差があります。
強い匂いが特徴のチェダーチーズや、年代もののブルーチーズなどの熟成タイプのチーズもチラミンが多く含まれています。
チーズがお好きな場合は、頭痛予防のためにモッツァレラチーズやリコッタチーズなどマイルド系のチーズを選ぶことをおすすめします。
ベーコンやハム、サラミ、ランチョンミート(SPAM®など)の加工肉に含まれる硝酸塩や亜硝酸塩は、脳の血管を拡張し頭痛を引き起こすことがあります。
硝酸塩や亜硝酸塩は肉を新鮮に保つために使われるものではありますが、加工肉を食べると頻繁に頭痛を起こすような「影響を受けやすい人」は、できるだけ控えたほうがいいでしょう。
また、サラミなどの塩漬肉にはチラミンが多く含まれています。この影響で頭痛が起きることもあります。
頭痛持ちだからといって、わざわざ特別な食事に変える必要はありません。ただし、「ブルーチーズを食べるといつも頭痛がする」というような、頭痛を引き起こす特定の食べものがわかっている場合は食べないようにしましょう。
頭痛を引き起こす食べものを把握するためには「頭痛日記」をつけることをおすすめします。
頭痛日記の書き方には様々なものがありますが、日本頭痛学会では、1枚を4週間の記録とし
を記録するとしています。
用紙は日本頭痛学会のHPからダウンロードもできますのでぜひ活用してみましょう。最近では頭痛日記のアプリも開発されていますので、続けやすいものを選ぶことが大切です。
数か月に渡って頭痛日記をつけると、頭痛が起こる周期や起こりやすい時間帯、誘因、改善策などを推測することができます。
頭痛の原因になる食べものや改善する食べものを探るには、頭痛日記にそれらのものを記録しておくようにしましょう。
バナナや魚、コーヒーなど、頭痛と関連性のある食べものは意外と身近にあります。鎮痛薬を使うのも大切ですが、日々の食生活の中で対策をすると、より頭痛が改善しやすくなるかもしれません。ぜひお試しください。