記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
現代の日本人は、長時間のPC業務やストレスなどによって、慢性的な頭痛持ちの方が多いと言われています。この辛い頭痛を早く治す方法はないのでしょうか?
ここでは、慢性的な頭痛を緩和する対処法について説明していきます。
緊張型頭痛の痛みへの対処方法には、「ツボ押しやマッサージをする」「頭痛を緩和する体操をする」「頭痛を緩和する飲み物や食べ物を摂取する」「薬を飲む」などさまざまなものがあります。それぞれの方法について、以降で詳しくご紹介します。
緊張型頭痛とは、頭の周囲を締め付けられるような痛みが、ほぼ毎日持続するタイプの頭痛です。肩こりや首こり、めまいなどを伴うことがあります。ストレスや疲労、長時間のPC業務などによる血流の低下が原因と考えられています。
この緊張型頭痛の場合は、「百会(ひゃくえ:頭頂部。鼻と両耳の延長線が交差するところ)」、「完骨(かんこつ:耳の後ろの骨の膨らみから、下後方部にあるところ)」「天柱(てんちゅう:首の骨の両側にある筋肉の外側の窪み)」、「肩井(けんせい:肩先と首との中央部にある、肩の筋肉の中心部のツボ)」を刺激すると良いとされます。
また、凝り固まっている筋肉をマッサージでほぐしてあげることも、緊張型頭痛の緩和に役立つことがあります。
頭痛体操は、頭痛の原因となるこりをほぐすため、緊張型頭痛や一部の片頭痛の改善に効果が期待できるといわれています。体操にはいくつか種類がありますが、ここでは2種類ご紹介します。
立ち上がり、正面を向いた状態で両手を胸の高さまで上げ、腕を水平に振って両肩を回します。このとき、頭は動かさず、1本の軸をぶらさないように意識して行ってください。これにより首と頭を支える筋肉がほぐされ、こりが解消し、頭痛が治りやすくなります。
両手を膝の上で組み、頭上に上げます。手をそのまま肩の後ろまで引くようにして、背筋を伸ばします。
頭痛を治す効果があるとされるのが、コーヒーと梅干です。コーヒーが含んでいるカフェインには血管を収縮させる作用があるので、血管が拡張したことで痛みが引き起こされる偏頭痛に効果的と言われています。また、梅干の成分「ベンズアルデヒド」には鎮痛効果があるとされ、食べたり、あるいは匂いを嗅いだりすることで頭痛の緩和が期待できるようです。
頭痛を少しでも早く緩和するには、すぐに鎮痛薬を服用することが大切です。痛みを我慢していると、痛みの原因物質が体内で増えすぎてしまい、鎮痛薬をもってしても痛みが抑えられなくなる恐れがあるからです。ただし、痛みが強いからといって用量以上に服薬すると、かえって痛みが悪化する可能性があるので注意してください。
なお、鎮痛薬を飲んでも頭痛が治らない方の場合は、脳血管を正常化する薬を服用することをおすすめします。頭痛の根本的な原因は脳の血管の拡張なので、血管を元に戻す薬を服薬すれば、頭痛の回数が減ったり、早く治ったりすることが期待できます。
片頭痛の明確な発症メカニズムは解明されていませんが、脳の血管の拡張によって神経を刺激することで発症すると考えられています。
こめかみなどを中心に頭の一部に「ズキズキ」とした拍動性の痛みが生じるのが特徴で、月に数回~数か月に一度の頻度で頭痛発作を繰り返します。頭痛は数時間~数日続き、吐き気などを伴うことも少なくありません。また、発作前には視野の異常やまぶしさなどの前兆症状が現れることがあります。
片頭痛が生じた場合は、患部を冷やして、暗く静かな場所でゆっくり休むことが大切です。治療薬は軽度な場合は一般的な頭痛薬が使用されますが、効果がない場合や痛みがひどい場合はトリプタン製剤やエルゴタミン製剤など片頭痛に特有の薬が使用されます。
前兆発作がある場合は、事前にこれらの治療薬を服用しておくと発症が抑えられたり、症状を軽くすることができたりしますので、まずは病院を受診して医師に相談してみるようにしましょう。
群発頭痛は、脳の視床下部と呼ばれる部位に何らかの原因によって刺激が加わることで、脳の血管が拡張したり、三叉神経が過剰に刺激されることで発症すると考えられている頭痛です。
眼の奥が抉られるような激しい痛みを生じるのが特徴で、涙や鼻水が流れ、吐き気・嘔吐が引き起こされることも少なくありません。群発頭痛の痛みは、じっとしていられないほど強いため、発症した場合は早めに病院を受診するようにしましょう。
治療法は、発作時はスマトリプタンなどの薬物療法と酸素吸入が有効とされています。また、発作を予防するためにはカルシウム拮抗薬の内服が有用との報告もあり、薬物療法で効果がない場合には神経ブロック注射や照射線治療などが行われるケースもあります。
群発頭痛は市販薬では治りませんので、思い当たる頭痛がある場合は、専門の医療機関を受診して、予防薬の内服などを含めた治療を行うようにしましょう。
頭痛のタイプによって対処法は違ってくるので、まずはご自身の頭痛の種類を見極めることが大切です。体質などによっても効果の得られ方は多少違ってくるので、自分の頭痛がどのタイプかを見極めるためにも、まずは病院で検査してもらいましょう。