記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「また吸ってしまった・・・」
禁煙を決意した人の多くは失敗を経験しています。
次こそ成功させるには、
自分の「吸ってしまったときの言い訳(状況)」と「対策」を学ぶことが大切です!
具体例を交えてご紹介します。
禁煙に失敗するときの言い訳は、たいていの場合、以下の7つに分類できます。
すでにがんなどにかかる可能性が高く、今さらやめてもたいして変わらないと思ってしまうパターンです。
しかし実際は、禁煙を始めるとすぐに体が修復しはじめます。禁煙からわずか数日後に、呼吸と味覚の変化に気づき、また家族や友人の受動喫煙のリスクもなくなります。
「喫煙すれば痩せられる」と聞いたことがあるかもしれませんが、実は、ニコチンは空腹感を抑えないことが医学上明らかになっています。
喫煙するとカロリーが速く燃焼するのは事実ですが、食べる量を減らせば禁煙によって体重が増えることはありません。 禁煙で空いた穴を食べ物やアルコールで埋めるのではなく、砂糖と脂肪を減らし、運動するようにしてください。
ニコチンが気分を落ち着けることはありません。禁煙後しばらく経つと現れ始める「吸いたい欲求」でストレスを感じるため、タバコを吸うと穏やかな気分になりますが、タバコをやめてこの欲求がなくなると、あまりストレスを感じなくなります。
タバコを吸いたくなったら、10分間待てば吸いたい欲求が落ち着くことが多いです。ストレスを和らげるために深呼吸したり歩いたりして、気をそらしましょう。
ストレスの多い時期に禁煙を始めないほうがいいのですが、それを口実に禁煙を先送りしてはいけません。
禁煙スタート日は休日や平日の始まりなど、特定の日を選びましょう。紅茶やお酒を飲んだ後など、タバコを欲しくなる状況を把握し、吸うきっかけから離れることが大切です。
また、禁煙していることをたくさんの人に伝えれば、禁煙できる可能性が高くなります。失敗して周りをがっかりさせたくないでしょうし、喫煙者にタバコを勧めないよう頼むこともできます。
多くの喫煙者にとって、タバコは社会生活の重要な部分を担っています。交流のためにタバコを吸っていると思っている人は、喫煙者の友人といるときや、夜外出している間はタバコがあるからうまくいっている、と思っているかもしれません。
ただ実際には、現在も喫煙している人は5人中1人以下で、周りを見回せば、社交的であるためにタバコを吸わない人がたくさんいるのです。
タバコを吸う人が魅力的に、かっこよく見える人もいるかもしれません。
しかし、大半の人は喫煙者は魅力的ではないと思っています。黄色い爪や黒っぽい指、舌や歯など、見えにくいところが汚れているのです。また喫煙は、顔色を悪くし、肌の老化を早めます。実年齢より若く見られたいなら、禁煙したほうがいいのです。
そしてタバコの煙は髪の毛や衣服につくので、喫煙者とキスするのは、灰皿とキスするようなものだと思う人もいます。
喫煙はやめるのがものすごく難しい中毒症状です。しかし禁煙は不可能ではなく、毎年何千人もの人が禁煙に成功しています。確固たる決意をもてば、あなたも禁煙できるのです。
禁煙に成功するためには、ニコチンに対する依存や、喫煙が日常生活の一部になっているという事実と向き合う必要があります。
ニコチン依存は、禁煙すると疲れやいらつき、集中力の低下といった身体的症状を引き起こします。禁煙外来でニコチンに代わる薬を処方してもらったり、吸いたい欲求のコントロール法を教えてもらうなど、対策はいくらでも可能です。
結局、禁煙を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?
以下を参考にしてください。
禁煙するときは、前向きで、成功すると心から信じることが重要です。
1回失敗したとしても、心配しないでください。前に逆戻りするわけではありません。これは自分自身について学ぶ大切な機会で、将来禁煙に成功しやすくなるヒントになります。
完全に禁煙するために何度か禁煙にチャレンジするかもしれませんが、そのときは「1本も吸わない」と自分や周りに約束してください。この単純なルールに従うことで、再喫煙を防ぐことができるのです。
再発の危険性は、禁煙を始めてから最初の数週間が最も高いのですが、数ヶ月後や数年後に再び吸ってしまう人もいます。
再喫煙の理由は、吸いたい欲求に負けてしまうことです。この欲求は非常に強く、喫煙者を見たり、お酒に酔ったり、けんかのような感情的な出来事といったストレスによって誘発されます。
この欲求に耐えるいちばんの方法は、禁煙用医薬品と行動修正を組み合わせることです。
また、タバコを吸う人から離れることも重要です。再びタバコを吸ってしまう人の約4分の3は、タバコを吸う人と一緒にいて、その人たちに1本わけて欲しいと頼んでしまうからなのです。
具体的な対処法として、以下も参考にしてください。
・タバコを「1本も持たない」ルールを守る
・なぜやめたいのかを思い出し、気持ちをコントロールする
・サポートしてもらう
・喫煙しづらいようにする
→簡単にタバコを分けてもらえる場所から離れ、タバコをかったりしないでください。
・我慢する
→また吸いたくなったら、2時間辛抱しましょう。そうすれば、本当にタバコが吸いたいのかを決めることができます。
・処方された禁煙用医薬品やニコチン補充療法を利用する
元の生活に戻ってしまっても、がっかりしないでください。できれば1週間以内に、心新たに禁煙を始める日を決めましょう。
そのときは、「なぜ失敗してしまったのか?」「タバコを避ける方法は?」など考え、次に同じような状況になったときに対応する準備もしてください。 医師のサポートも有効です。
そしてなにより前向きでいましょう。失敗から学ぶ心構えがあれば、間違いや失敗は貴重な経験になります。何をすればいいかわかっているから、次は克服しやすくなっていることを忘れないでください。
自分に当てはまる失敗例や、効果のありそうな対処法はあったでしょうか?禁煙失敗は多くの人が経験するものです。失敗から成功法を学び、次につなげる姿勢が大切ですよ!