記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
何度も寝返りを打つ、眠ろうとすればするほどいっそう目がさえる……不眠症とはなんとも切ない問題ですね。質の良い睡眠を取ることは、私たちにとって重要だけど難しいことです。この記事では、不眠症の原因や症状についてまとめました。
私たちの30%に不眠症があり、そのうちの半数が深刻な睡眠の問題を抱えているといわれています。そして、高齢者の90%に何らかの睡眠問題があるという報告もあります。
また、運転中の眠気は自動車事故原因のおよそ30%を占めているといわれます。
不眠症は、睡眠障害の1つです。睡眠障害はいくつかのタイプに分類できます。
その中には、入眠困難およびすぐに目が覚める(不眠症)、過度の日中の眠気(過眠症)、睡眠-覚醒サイクル異常(概日リズム障害)、および異常な睡眠段階(睡眠時異常行動)があります。
ときどき寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めてしまったりするのは正常であり、たいてい一時的なストレスが原因になっています。しかし、不眠症が数週間または数か月間続く場合は、原因を追求し早期に治療することが重要です。
不安とうつ病は、慢性不眠症の人の半分にあるといわれています。そういった場合、根底にある問題の治療をすると、睡眠の改善につながることが多いです。
慢性不眠症の約5分の1は、いわゆる一次不眠症であり、この疾患はストレス、ひどい睡眠習慣などが原因で起こるといわれています。このような人は、自宅よりも研究室や会社などのほうがよく眠れるという特徴がある人が多いです。
不眠症の主な症状は、入眠や眠り続けることが難しくなることです。これが睡眠不足につながります。不眠症からくる睡眠不足の場合、以下のような症状が見られるかもしれません。
・寝る前に長い間目が覚めている
・短期間しか眠れない
・夜、ずっと目を覚ましている
・まったく眠れなかったような感じがする
・あまりにも早く目が覚めてしまう
不眠症による睡眠不足は、他の症状を引き起こす原因となる可能性があります。目が覚めたときに疲れていたり、十分休めていないように感じたり、日中ずっと疲れているような感じがする場合は注意が必要です。
不眠症は、不安、うつ、またはイライラを感じさせる原因になることもあります。
不眠症による睡眠不足は、日常の活動に影響を及ぼし、深刻な問題を引き起こすことも少なくありません。例えば、運転中にのドライバーの眠気(アルコールとは関係ないもの)は、自動車事故によるケガの約20%を占めています。また、不眠症が高齢女性の転倒リスクを高める、という研究もあります。
不眠症が日常の活動に影響を及ぼしていると考えられるときは、医師に相談してください。不眠症の治療は、睡眠不足が引き起こすトラブルの防止に役立つでしょう。
そして忘れてはいけないことは、睡眠不足が他の健康問題(病気など)の兆候の可能性があることです。病気が起因している不眠症の場合は、原因となる病気を見つけ、病気を取り除く治療をする必要があります。
長期化した不眠症や深刻な症状の不眠症については、病院での治療が必要になります。次のような場合、病院を受診し、医師に相談しましょう。
明らかな原因がないのに1か月以上睡眠障害があり、十分な睡眠がとれていない場合や、日中に何の前触れもなく眠ってしまう場合は、すぐに医師に相談しましょう。
夜間に、一時的に呼吸が止まっているように感じたり、重度のいびきを伴うことがあれば、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が疑われます。
仕事や恋人を失ってしまうなど、人生の中で大きな変化をもたらす出来事と関連していると思われる不眠症は、症状が深刻化するケースも多いようです。短期間に服用期間を限定して、睡眠薬を服用すると眠れることもあるので、早めに医師に相談してください。
睡眠薬が効かない場合、あるいは数日以上薬を服用しているのに眠れない場合は、睡眠パターンを監視したり、潜在的な睡眠障害を検査する必要があります。睡眠障害専門医に紹介されることもあるでしょう。
不眠症は、睡眠不足につながり、生活を揺るがす大きな問題に発展する可能性があり、運転をする人などは命の危険を伴うケースも少なくありません。
睡眠に関して不安を感じている人は、できるだけ早く病院を受診しましょう。
次回の記事では、不眠症を含む睡眠障害とその治療についてお伝えします。
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