記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/21
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠・出産は中で、女性は母親になるためのさまざまな変化や出来事を経験しますが、妊娠後期から出産後にかけて現れる“思うようにいかなくなること”のひとつが排尿のコントロールです。今回は、とくに出産後の尿漏れに関しての対処法を解説します。
妊娠中の多くの人が経験する尿漏れ。例えば、声を出して笑ったときや、くしゃみや咳をしたとき、激しい動きをした時などに起こります。
主な原因は、妊娠や出産によって膀胱や骨盤の周りの筋肉が弱まってしまうからです。そのため、おしっこが出るときと止めるときのコントロールが難しくなります。また、妊娠中は子宮が膀胱を直接圧迫するので、尿意をコントロールしにくくなります。
妊娠中や産後の尿漏れは、珍しいことではありません。3割以上の女性が尿漏れを経験するとも言われています。正常に戻るまでには、3~6ヶ月、場合によってはもっとかかることがあります。より早く正常に戻したいという人は、次に紹介する方法を試してみてください。
・ケーゲル体操(骨盤底筋の体操)をしましょう!
・妊娠で増えた体重を徐々に落としていきましょう。余計な体重が膀胱を圧迫する一因にもなっています。
・膀胱を意識的にトレーニングしましょう。30分ごとにおしっこをしましょう(つまり、尿意を催す前にする)。一日ごとに、その間隔を長くしていきましょう。
・毎日少なくとも8杯以上の水分を摂取しましょう。尿意をコントロールするために水分の摂取量を減らしてしまうと、脱水症状や尿道炎などにかかりやすくなってしまいます。
・コーヒー、かんきつ類、トマト、アルコールなどの膀胱を刺激しやすいものを避けましょう。
・ナプキンや尿漏れパッドを活用しましょう。
・最終手段として、咳、くしゃみをする時や笑う時に、足を交差して漏れないようにしてみましょう。
骨盤底エクササイズ(ケーゲル体操)は、膣の筋肉と骨盤底の筋肉の調子を良くし、尿漏れを防いでくれます。骨盤底エクササイズは、いつでもどこでも、座っていても立っていてもできる簡単な体操エクササイズです。尿漏れに悩んでいる女性は、今日から試してみましょう。
1.肛門を絞りあげ、膣を閉じて上に引きあげる
2.筋肉をすばやく緊張させたりリラックスさせたりしながら、1をすばやく行う
3.1をできるだけ長く引き絞るようにしてゆっくりと行う。力を入れる時間は10秒以内にする
4.1~3を10回繰り返すのを1セットとして、1日に4~6回繰り返す
排尿や排便を止めたり、タンポンを入れている感覚を想像してください。
洗濯中やテレビを見ながらでも、ショッピングで並んでいるときでも、どんなときでもこのエクササイズはできます。
失禁したら誰だって恥ずかしいと感じます。でも、妊娠中や産後の尿漏れは珍しいことではありません。これは母親になった証明でもあり、むしろ誇らしいことと言えるでしょう。焦る必要はありませんので、トレーニングをしながらゆっくり改善を待ちましょう!