記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/16
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中は大きくなった子宮で膀胱が圧迫されたり、骨盤底筋が緩むことで排尿コントロールが難しくなり、尿漏れを起こすことがあります。今回は、尿漏れを防ぐためにできる対策についてまとめました。
尿意を催しただけなのに失禁してしまった、あるいはくしゃみや咳をしたり笑ったときに尿漏れしてしまうということは、妊娠中にはよくあることです。
膀胱が言うことをきいてくれないのは、つらいことです。妊娠中の失禁は、厄介で汚いうえに、状況によってはとても恥ずかしい思いをするでしょう。ですが、これは皆によくあることで、たいていは一時的なものです。必ず、漏れているのが尿であることを確認してください。尿は、アンモニア臭がします。もしも透明で臭いがない場合、羊水が漏れている可能性もありますので、その場合は直ちに医師に連絡しましょう。尿であることが確実な場合は、次回の検診のとき医師に伝え、指示に従いましょう。
尿漏れの対策を以下にまとめました。
ケーゲル体操は、乗車中や椅子に座っているとき、またはテレビを観ているときでも実践できます。やり方は、お尻の穴や腟を締めるようにゆっくりと力を入れていき、最大に力を入れた状態を約10秒間キープします。その後再びゆっくりと力を抜いていく、この一連の運動を行います。 1日あたり10~20回程度が目安です。。
骨盤筋を強化するには時間がかかるので、辛抱強く運動を続けましょう。6~12週間、毎日練習してもなかなか排尿コントロールの変化に気付かないケースもありますが、ほとんどは数週間程度で改善したことを実感します。
体重が増えすぎると、膀胱が圧迫されやすくなってしまいます。
尿意を催す前にトイレに行くようにしましょう。例えば、頻繁にトイレに行くような方であれば、まず30分間隔でトイレに行くことから始め、徐々にその間隔を伸ばしていってください。
便秘にならないように気をつけましょう。腸が詰まってしまうと、膀胱が圧迫され失禁しやすくなります。
尿漏れを気にして水分を制限してしまう人もいますが、これは危険です。確かに水分を取ればその分排尿は増えますが、失禁を心配して飲む量を減らしてしまうと、脱水症状や尿道炎となる危険性があります。1日に約コップ8杯以上の水分を摂取するようにしましょう。
コーヒー、柑橘系、トマト、清涼飲料水など、利尿作用があり尿漏れをコントロールするのが難しいと思われるものは避けましょう。その他、尿漏れパッドを使用したり、咳やくしゃみをするときに足を組むようするなども試してみてください。
・弱い骨盤筋は、尿漏れを引き起こす可能性がある
・毎日の運動で骨盤筋を強化できる
・運動により排尿コントロールが改善する可能性がある
・正しい筋肉の使い方をしているか、医師や看護師に確認する
・骨盤筋を収縮させてから、くしゃみをしたり、重いものを持ち上げたり、ジャンプしたりするように心がけると、骨盤底筋の損傷や尿漏れを防ぐことができる
骨盤底筋には、尿を止める役割があります。女性の場合、妊娠、出産や太り過ぎで、骨盤筋が弱まることがあり、骨盤筋は弱まると、尿漏れの原因になります。今回紹介した対策で尿漏れを軽減できる可能性があるので、尿漏れで悩んでいる人は試してみてください。