記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/11
記事監修医師
前田 裕斗 先生
不妊症は、子供を望む人にとって、とても辛い病気です。不妊症はさまざまな原因で発症します。そのひとつが性感染症です。では、不妊症・性感染症を防ぐにはどうすれば良いのでしょう? 今回は、性感染症と不妊症のリスクを解説します。
女性と男性の不妊症については以下のとおりです。
女性の不妊症の症状は、1年の間避妊せずにセックスを行ったにも関わらず妊娠しなかった場合、不妊とみなされます。不妊の原因は以下のことが考えられます。
・性感染症(STD)
・月経異常(無月経や黄体機能不全など)
・年齢が35歳以上
・子宮内膜症または骨盤内炎症性疾患
・がん治療
・卵巣症候群
・早期閉経発症
・ストレス
・喫煙・アルコール
男性は、精子の数が少なすぎる場合、または精子が卵子との結合を阻害する場合、不妊とみなされます。不妊の原因は以下のことが考えられます。
・性感染症(STD)
・精子の数が少ない(精子数が多いほど精子と卵子が結合する機会が増えます)
・男性器に関する問題(停留精巣、拡張前立腺、または睾丸周辺の拡張静脈(精索静脈瘤など)
・がん治療
上記の原因のいずれかがあてはまる場合、不妊症の検査を受けてみることをお勧めします。
不妊となる原因は複数あり、男性・女性の双方が原因となる可能性があります。
以下に女性と男性の不妊治療について解説します。
不妊治療は、不妊症の原因によりさまざまです。排卵異常であれば、排卵誘発剤を用います。また、早発卵巣不全であれば一旦女性ホルモンを外から補い、人工的に月経周期を作りだすことで脳の排卵抑制効果を無くし、自然な月経周期に戻すカウフマン療法を行うこともあります。子宮内膜症やそれに伴う癒着、卵管閉塞が疑われる場合は腹腔鏡手術で病巣を取り除くこともあります。
原因によらず妊娠率を上げる方法として人工授精があります。これは排卵の時期に女性の子宮に健康な精子を注入するものです。通常の排卵時期を計算しセックスを行う方法(タイミング法)よりも妊娠確率は上がりますが、療法の卵管が閉塞している場合には妊娠することができません。体外受精は予めホルモン剤を用いて卵を複数個発育させ、針を腟から刺して卵子を取り出し、精子と受精させ、子宮に戻す方法です。人工授精よりさらに妊娠確率は高まり、両側の卵管閉塞がある場合も妊娠可能ですが、侵襲は高く、費用もかかります。また、いずれの方法も確実に妊娠につながるというわけではありません。
男性にとっては、生活習慣の変化(健康的な生活、アルコールの減少、有害物質の排除、睾丸の状態の改善(高温を避けるなど)で好転する可能性があります。特定の医薬品は、男性の精子数を増加させることができます。また手術によって、精管閉塞の回復、精索静脈瘤の治療もできます。射精することができない男性の場合、外科処置によって精子を得ることもできます。
不妊治療は感情を疲弊させます。何度も試したのに妊娠しないという失望は、夫婦の関係、個人の感情にストレスをあたえます。妊娠できないときは、友人、家族、そして見知らぬ人の赤ちゃんさえ見るのがつらいこともあります。また不妊治療を試みる女性に、ホルモン剤や排卵誘発剤は心身ともに影響を与えることがあります。失望感への対処方法についても医師に相談してみてください。同じように不妊に苦しんでいる人たちに協力を仰ぐこともいいかもしれません。不妊治療に失敗した後、養子縁組に転じる夫婦も存在します。
不妊症の原因となる性感染症にはクラミジアがあります。クラミジアは性感染症の中では症状が軽く、無症状であることもあります。また、男性ではより症状が軽いため、セックスを通じて女性に罹患する場合もあります。おりものの検査で診断がつけば、抗生物質で治療することができます。クラミジアを患っている可能性があると考えられる場合、できるだけ早く検査を受け、治療を受けることが重要です。未治療のまま放置すると、からだのさまざまな部分に広がり、さらなる障害を引き起こします。女性では子宮および卵管に広がる可能性があり、不妊症または子宮外妊娠につながる可能性があります。 男性では睾丸と前立腺に広がり、腫れ、排尿時の痛み、発熱、腰の痛みを引き起こす可能性があります。
セックスパートナーを限定しましょう。 パートナーに感染しているかどうか、過去に感染したことがあるかどうかをたずねてみましょう。自身が感染検査を受けているかどうか、そして検査を受けた方がよいかどうかについても相手のために話すことが大切です。
常に症状を引き起こすとは限りませんが、セックスパートナーの感染症の徴候を探しましょう。 自身またはパートナーが感染症の治療を受けている場合、治療が終了するまではセックスは控えてください。
性感染症を予防することで、不妊のリスクを抑えることができます。自分自身を守るためにも、 パートナーに直接たずねることが最良の方法です。 感染の原因は、複数の相手との性交渉、過去に性感染していることなどがあります。 また、自分が感染している場合、かなり心苦しいですが、パートナーに伝えることも大切です。パートナーと共に治療に取り組むことで治療効果も上がり、病気への理解も深まることでしょう。