記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
うつ病にも種類があることをご存知ですか?うつ病は「メランコリー(親和)型うつ病」と「非定型うつ病」とに分けられます。どちらも精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起こる心の病気ですが、その対策はそれぞれで大きく異なります。この記事では「メランコリー(親和)型うつ病」と「非定型うつ病」の特徴について見ていきましょう。
一般的にメランコリー(親和)型うつ病は真面目すぎる人や、融通が利かない頑固なタイプの人に多く見られます。加えて、強迫観念が強い人やリラックスが苦手な人がこのタイプのうつ病になりやすいです。
・真面目
・律儀、誠実
・周りへの配慮ができる
・仕事熱心
・責任感が強く、問題が起きると自分のせいだと思いがち
上記のような方は、うつ病であることを隠そうとしたり、問題が起きても自分一人で何とかしようとする傾向があります。そのため、うつ病になると何もできないぐらい心も体も疲れているという状態になってしまうことが多いです。代表的な症状としては、食欲不振や不眠症があります。
「非定型うつ病(新型うつ病・逃避型うつ病・ディスチミア型うつ病)」は感受性が高く、通常よりもストレスを感じやすい人や特に若い女性に多く見られます。一般的にストレスを感じないことに対してもストレスを感じてしまい、それが重なることでうつ病になります。自分の好きなことをしているときは平気ですが、嫌なことをしているときに抑うつ症状が激しく見られるのが特徴です。自分の都合が悪いときに抑うつ症状が発生するため「わがまま病」のように思われてしまうこともあります。
・責任ある仕事や役回りを避けがち
・問題があると他人のせいにする
・うつ病であることを公言する
・嫌なことをする時には症状が出る
・好きなことをしているときは症状は出ないことも多い
・気分の波が大きい
・うつ病になった原因を自分ではなく周りのせいにしがち
・多くは過食や過眠(睡眠時間が長くなること)になる
・体重が増える場合も多い
非定型うつ病(新型うつ病・逃避型うつ病・ディスチミア型うつ病)の症状としては、突然泣き出したり感情を抑えられなくなったり、「メランコリー(親和)型うつ病」と同じように、体が鉛のように感じて寝床から起き上がれないことなどが挙げられます。
“わがままだ”“気分屋だ”と言われたり、サボっていると周りに思われやすい病気ですが、発症している本人は決して嘘を言っているわけではなく本当に苦しんでいるのです。症状が表れた際には周囲に助けを求めようとしたけれど、周囲の人たちから誤解されてしまい、精神的苦悩がさらに悪化する・・・というような悪循環を招くことさえあります。
とは言っても、非定型うつ病(新型うつ病・逃避型うつ病・ディスチミア型うつ病)になることで無意識的に疾病利得を得ていることは否定できないでしょう。疾病利得とは、文字通り病気によって利を得ていること、たとえば仕事などの嫌なタスクから病気という理由で逃げられるということです。会社や学校、人間関係などで嫌な思いをした時に症状が出やすいのも、非定型うつ病(新型うつ病・逃避型うつ病・ディスチミア型うつ病)の特徴と言えます。
乱暴な言い方かもしれませんが、「メランコリー(親和)型うつ病」の人は頑張り屋さん、「非定型うつ病(新型うつ病・逃避型うつ病・ディスチミア型うつ病)」の人はわがままと言う風に思われがちです。しかし、いずれも“本人は苦しんでいる”という点で共通しています。もしも、上記でご紹介した特徴に心当たりがあれば、それぞれに適した方法で対処することが必要です。