記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
多くの女性が発症するという腟カンジダ症。
外陰部がかゆくなったり白くてポロポロとしたおりものがでたりと不快な症状がみられますが、適切な治療をすることで比較的早く改善することができます。
今回は、腟カンジダ症にはどのような治療法があるのかをお伝えします。
腟カンジダ症はカビの一種であるカンジダ菌によって腟や外陰部に起こる真菌感染症です。カッテージチーズや豆腐のカスのような白いおりものが増えて、痒みをともなうのが特徴です。
病院ではまず原因菌が何なのかを検査し、その原因菌に対して有効な薬剤を処方します。
治療には真抗菌剤のクリームや腟錠(腟に挿入する形で使用する薬剤)が使われることが多いです。
外陰部の炎症がひどいときにはステロイド剤を使用することもあります。
※生理(医学的には月経というのが一般的です)になった場合は腟錠の使用を一度停止して、生理期間が終わったら再度使用してください。
また、カンジダ症の発症は免疫力の低下によるカンジダ菌の増殖が引き金となることが多いです。
カンジダの菌が増殖しないように日頃から生活習慣や栄養状態に気をつけ、免疫力が低下しないようにしましょう。
過去に病院で腟カンジダ症の治療を受けたことがあり、原因がわかっている場合には市販薬で治療をしてもかまいません。
ですが、始めて腟カンジダ症になった方や再発でも病院で治療を受けたことがない方は病院で診察を受けて適切な治療薬を処方してもらうようにしてください。
腟カンジダ症は適切な処置をすれば比較的簡単に治ります。
医師の判断によって多少の差はありますが、一般的に治療期間は10日間ほどといわれます。
症状自体は4~5日で改善することが多いのですが、完治する前に自己判断で治療をやめてしまうと再発のリスクが高くなるので、医師からの指示があるまで薬剤の使用はきちんと続けましょう。
特に妊娠中の場合は、カンジダ症を完治しておかないと、出産のときに腟内のカンジダが新生児の口腔に感染して「口腔カンジダ症(鵞口瘡)」を引き起こす原因になるので、できるだけ早く治療を開始ししてきちんと治しきることが重要です。
腟カンジダ症の治療中の性行為は基本的には避けたほうが良いです。
性器カンジダは性行為をした相手にうつる可能性があり、また、性行為の際に痛みがあるケースがあるからです。
また、腟カンジダ症にかかっているときは性器が炎症を起こしているため、性行為で刺激することにより状態が悪化することも考えられます。
腟カンジダにかかった場合はパートナーに相談して性行為は控えるようにしましょう。
腟カンジダ症は再発しやすい病気です。
再発を防ぐために心がけると良いことを見ていきましょう。
カンジタ菌は体の免疫機能が落ちたときに繁殖しやすくなるため、予防には日頃の体調管理が大切になります。バランスの取れた食事と十分な休養をとりましょう。
カンジダ菌はあたたかく湿った環境で増えやすいため、普段から通気性のよい下着を着用し、濡れた下着や湿った衣類はなるべくすぐに着替えるようにしましょう。
入浴や水泳の後には、外陰部をよく乾かすようにしてください。
おりものシートやナプキンを使用するときは、こまめに(2時間に1回程度が目安)交換するようにしましょう。
また、カンジダ菌は腸内にも存在するので排便の後は前から後ろに拭くようにしましょう。
腟カンジダ症の治療には真抗菌剤のクリームや腟錠(腟に挿入する形で使用する薬剤)が使われることが多いです。
適切な治療をすれば比較的短期間(4~5日ほど)で症状の改善がみられますが、完治しないと再発する危険性が高いので、医師から指示があるまで治療を続けるようにしてください。