記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
不眠症は、その原因が様々であり、ときには複数の原因が影響しあって起こっていることも多く、自力で解消することは簡単なことではありません。回復には早期の原因の特定と治療が重要であり、病院では詳しく検査が行われます。この記事では、不眠症で病院にかかったときに行われる検査についてまとめました。どのような質問がされるか知っておくと、前もって答えを控えておくことができるので、正確な診断に役立ちます。
不眠症の原因を特定するため、過去の病歴や現在の健康状態について調べます。仕事、運動、カフェインの摂取、喫煙習慣、飲酒についてなど、生活習慣をさらに点検していくと、不眠症の原因に近づく手がかりとなります。また、仕事や私生活のなかで、新しく生じた問題やストレスや、継続して抱えている問題・ストレスがないか尋ねられることもあります。その他、家族に睡眠障害に悩まされている人がいないかどうかも確認されるでしょう。
・新しく起きた、もしくは現在も続いている健康問題がないか
・痛みを伴うような怪我や関節炎のような病状がないか
・市販薬、処方薬を服用していないか
・うつ病、神経不安症、もしくは精神病の症状、病歴がないか
・離婚や死といった大きなストレスを伴う出来事に向き合っていないか
診察を受ける前に、睡眠習慣を自分でまとめておきましょう。眠りについた時間、起きた時間、昼寝をした時間を記録し、気持ちよく眠れたか、一日を通してどれくらい眠気を感じるかなどをまとめたデータが1週間分以上あると医師の重要な参となるでしょう。
・眠れないと感じる頻度と、いつからその症状を経験しているか(期間)
・平日と休日それぞれの就寝時間と起床時間
・眠りに落ちるまでにかかる時間、夜に起きる回数、そして再び眠りに落ちるまでにかかる時間
・目覚めた際にどれくらいすっきりしているか、日中どれくらい疲労を感じるか
睡眠障害の悪化を招いているものや原因となっているものを明らかにするため、以下のような問診を受けることもあります。
・眠りに落ちること、眠り続けること、十分な睡眠を得ることに不安があるかどうか
・何を食べているか、もしくは飲んでいるか、就寝前に薬を服用しているかどうか
・就寝前にどのような習慣や日課があるか
・就寝する環境の騒音レベル、照明、温度
・寝室に睡眠を妨げるものが置かれているか(テレビやコンピュータなど)
甲状腺疾患やその他の病気が不眠症を起こすことがあります。そうした異常がないか調べるために身体検査を行い、場合によって血液検査も行います。
潜在的な睡眠障害が不眠症を引き起こしていると思われる場合、医師から睡眠ポリグラフ(PSG)という睡眠検査を勧められることがあります。睡眠検査センターで一晩を過ごし、このときの脳の活動、眼球運動、心拍数、血圧、血中酸素量、呼吸のしかた、いびきなど細かに記録をとり、判断します。
冒頭でも述べましたが、不眠症の原因はひとつではありません。体の病気やうつ病などの精神的な不調が原因で起こることもあります。睡眠の不調に限らず、何か不調や不具合がある場合は早めに病院を受診し、医師の適切なサポートのもと、規則正しい生活習慣を心がけながら、不調の解消をめざしていきましょう。