禁煙のメリットとその方法を理解しよう

2017/7/19

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

禁煙には多くのメリットがあることがわかっていても、なかなか行動に移せないという方も多いのではないでしょうか。
禁煙を補助してくれる手段は様々ありますが、最後の最後は「自分の意思」が必要になってきます。「禁煙をする」という強い意志を獲得するためには、禁煙することのメリットをしっかり頭に留めておくことが重要です。
この記事では、禁煙のメリットと禁煙に役立つ対処法を紹介します。禁煙したいと思っている方は、この機会にきちんと理解し、禁煙活動に役立ててください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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禁煙のメリット


禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。禁煙をすると、年齢や喫煙期間にかかわらず健康増進効果が期待できます。また、たばこによって損なわれていた機能が徐々に回復して活力が生まれるというメリットもあります。また、常習化していたたばこへの支払いがなくなり、将来にわたるがんなどの医療費の抑制にもつながり、経済的な面でのメリットも期待できるでしょう。

たばこは薬物


噛みたばこや嗅ぎたばこなどの煙の出ないタイプは、安全性の高い巻きたばこの代替品と考えている人が一部いるようですが、これはまったくの誤解です。煙の出ないたばこは口腔と膵臓のがんのリスクを高め、前がん病変、歯茎の疾患、ニコチン依存症の原因にもなります。

ニコチンはタバコという植物に含まれる、強い依存性をもつ成分です。禁煙を決意した人達の多くが離脱症状を経験し、強い喫煙欲求により禁煙を断念しています。離脱症状は、いら立ちや不安、頭痛や気分の落ち込み、不眠など、様々なものが表れますが、時間とともになくなっていきます。

受動喫煙は危険


たばこの煙には主流煙と副流煙の2種類があります。実は、喫煙者が吸い込む主流煙以上に副流煙は多くの有害物質を含んでいるのです。そのため、受動喫煙は肺や心臓の疾患のリスクとなり、特に赤ちゃんの受動喫煙では、幼児突然死症候群(SIDS)と呼ばれる原因不明の死亡に至らせてしまうこともあります。さらに、幼児期の受動喫煙は、ぜんそくを発生させてしまう確率を高めるといわれています。

ストレスをおさえて脱・ニコチン依存


喫煙歴が長いヘビースモーカーほど、自力で禁煙を達成することは困難です。臨床試験を経て正式に認可された方法を利用することで、安全かつスムーズに禁煙をめざすことができます。

ニコチン置換療法

たばこに含まれるニコチンには強い依存性があり、急に禁煙を始めるとニコチンの欠乏からくる離脱症状や、生活習慣による吸いたいという欲求におそわれます。こうしたトラブルの対処として、たばこではなく別のものでニコチンを補給するのがニコチン置換療法(NRT)です。ニコチンには血管を収縮させるはたらきがありますが、発がん物質のタールがなく、たばこに比べて量も10分の1以下と少ないため、健康のリスクやストレスを少なくしながら、禁煙を促すことができます。日本では主にガムタイプとパッチタイプが用いられています。

バレニクリン

日本では2008年に認可された飲み薬の禁煙補助薬です。脳に作用してニコチンの離脱症状を緩和します。あらかじめ禁煙を開始する日を設定し、開始1週間前から服用を始めます。ニコチンを含まないため、しだいに喫煙の欲求を減衰させていきますが、めまい、吐き気、眠気といった副作用が報告されています。

おわりに:禁煙には意思の強さも必要

ニコチンガムなどの禁煙補助薬は、たばこの欲求を抑えるのに役立ちますが、完全になくすことはできません。寝覚め一服や食後の一服が習慣化してしまっている人は、禁煙を達成するという強い意思を持ち、医師と相談しながら適切なプログラムを作成し実践しましょう。ニコチンの欠乏にともない離脱症状が現れることがありますが、そのようなときは軽めの運動を取り入れることをおすすめします。運動は心身を活発にする効果が期待でき、気分がほがらかになるため、ストレスの緩和にも役立つでしょう。家族や友人のサポートも借りてストレスを解消しながら、禁煙を成功させてください。

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