記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
痩せるためには「歩き方」が重要です。ダイエットの結果が出ず、あきらめようとしている人にとって朗報です。ここでは、ジムでのトレーニングは少しキツイなと感じている人のため、運動生理学者のMichael Brazeal氏が推奨する1週間のウォーキングプランをご紹介します。
運動生理学者のMichael Brazeal氏は、ウォーキングを最大限に活用するための注意点に関して、以下のように述べています。
・真っ直ぐ前を見ましょう。顎が地面が平行であることが望ましいです。
・ひじを曲げ、脇に近い所でキープしましょう。
・腕を前に振り出し、ひじを背後に動かし、胴の前で腕を交差させないようにしましょう。
・肩を後方に引き、胸をわずかに持ち上げましょう。
・手は、軽くこぶしを握るようにして歩きましょう。強く握り過ぎないように注意してください。
・足の母指球から力強く蹴り出しましょう。先に前に出した足のかかとをまず地面につき、それから足先の方まで進めていきます。
下記で紹介するウォーキング1、2、3を参考にしながら、下記の1週間のプランを実施してみましょう。
1日目:ウォーキング1 元気よく歩く
2日目:ウォーキング2 3km歩いて脂肪を燃焼する
3日目:ウォーキング3 パワーアワー
4日目:ウォーキング1を繰り返す
5日目:ウォーキング2を繰り返す
6日目:ウォーキング3を繰り返す
7日目:休み
運動を始めたばかりの場合には、4日目と7日目に休み、ウォーキング1と2を5日目と6日目に行うようにしてください。
元気よく歩く(Energising Blast)
距離:1.5km
時間:22分(歩く速さによって異なります)
燃焼するエネルギー:750キロジュール
3km歩いて脂肪を燃焼する(3km Fat Burner)
距離:3km
時間:45分(歩く速さによって異なります)
燃焼するエネルギー:1,254キロジュール
パワーアワー(Power Hour)
距離:5km
時間:1時間15分(歩く速さによって異なります)
燃焼するエネルギー:1,672キロジュール
それぞれのウォーキングに合わせて、指定の距離と合致し、なるべく起伏がある道を選びましょう。
総キロメートル数を記録するために歩数計を使用し、持っていなければ見積時間に従い、自覚的運動強度(RPE)に合うように速さを調節してください。
最初は普通に歩く速さに近いスピードから始め、遅刻しそうなときに急いで歩くくらいの速さまで速度を上げていきましょう。余裕が出てきたら、ジョギングの1歩手前ぐらいまで速度を上げてもかまいません。
「会社からの帰り道で歩きたいから、革靴やヒールを履いてウォーキングしてもいいの?」と疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、ウォーキングをするときは「ウォーキングシューズ」を履きましょう。
革靴やヒールは、クッション機能が低く足への締めつけが強く、前傾姿勢になりやすいため重心が前に偏りがちなり、膝や腰への負担も大きくなります。
また、スニーカーならなんでもいいわけではありません。ランニングシューズとウォーキングシューズではソール(靴底)の強度や構造が違っているのです。革靴やヒールほど負担が大きいわけではありませんが、ケガの防止を万全にするためにも、ウォーキングシューズを選ぶようにしましょう。
・かかとの部分が安定している
・つま先から足の甲の屈曲点がちゃんと曲がる
・クッション性が優れている
・自分の足の形にあっている
ことなどを基準にしましょう。専門ショップのスタッフに相談しながら、自分に適したシューズを選んでください。
陸上で歩くよりもプールなどの「水中」で歩く方が1.5倍程度カロリーを消費するといわれています。また、水中では浮力が働くため、足や膝、股関節、腰などへの負担を減らすことができます。歩くと足や膝、腰に痛みが出るという人は、プールでウォーキングすることをおすすめします。
ただし、水中ウォーキングは水の抵抗があるため、いきなり上記で紹介したペースで歩くのは難しいかもしれません。何度か歩いてみながら、自分に適したペースをつかんでください。
「痩せようと思って、何度か運動を試してみたけど続かなかった・・・」という人は、下記のようなことを取り入れて、楽しく続けられるように工夫してみましょう。
ある研究によれば、「音楽は持久力を高め、運動からの喜びを得やすくする効果がある」といわれています。また、別の研究では「好きな音楽を聴くと疲労によるストレスが減り、運動の快適さが増す」という結果がでています。
好きな音楽を聞きながらであれば、苦手な運動にもとりかかりやすくなるのではないでしょうか。
パートナーや友人など、一緒に運動する仲間を作ることをおすすめします。仲間と一緒に運動すると、楽しいだけでなく定期的に運動するようになるので、自然と痩せる習慣が身についていくでしょう。周りで一緒に運動してくれそうな人はいない場合は、フィットネスジムで運動仲間を見つけてみてはいかがでしょうか。
効率よく痩せるためには、「長期間続けること」が重要です。
いきなり歩くスピードを速める必要はありません。自分にできるペースから始めて、慣れてきたら「ちょっとだけ」ペースを上げてみましょう。
このサイクルを繰り返すことで、自然と歩くペースは速くなり、より多くのカロリーを消費できるようになります。
健康的に痩せるためは、運動だけでなく食生活の改善も同時に行う必要があります。
摂取カロリーを減らすだけではなく、たんぱく質や食物繊維、ビタミン類を積極的に摂り、炭水化物や脂肪分の摂取を減らすようにして、バランスの良い食事を心がけてください。全てを食事で賄うのが難しい場合は、サプリメントを利用してもいいでしょう。
食生活を改善して栄養のバランスが整えば、体重が減りやすくなるだけでなく、気分が良くなり、もっと積極的に運動できるようなコンディションを保ちやすくなります。
ウォーキングが健康によいことは多くの人が知っていることです。短い距離を歩くだけでも、全身の健康に役立つとされ、減量の手助けにもつながります。ペースや姿勢について意識する必要はありますが、歩くだけなので簡単に始められることも大きなメリットといえるでしょう。いままで試していた運動は続けられなかったという人は、ぜひウォーキングを試してみてください。